サッカーの長友佑都選手が古巣FC東京に復帰し、11年4カ月ぶりにJ1の舞台に戻ってきた。長友復帰戦となったその日の試合は、FC東京が4-0で快勝した。
11年ぶりに味スタに帰ってきた。
— Yuto Nagatomo | 長友佑都 (@YutoNagatomo5) 2021年9月18日
4144日ぶりらしい。
最高の勝利でスタートできたことが嬉しい。
僕1人では大したことはできないけど、僕の持っている熱を1人でも多くの人に感じてもらいたい。
熱が伝染し、大きな熱量となった時このクラブは真の勝者となる。
みんなで強い東京を作っていきましょう! pic.twitter.com/l3ihhsDgvI
長友選手も35歳となり、もうピークは過ぎているのだろう。それでもその熱量は衰えることがないようだ。
イタリアセリアAの名門インテルに移籍したときの長友選手は光り輝いていた。インテルのDFの中で身長が一番低く、当時、ある伊紙では「小さな巨人、再発見された至宝」と評された。
ワールドカップに3大会連続で出場し、日本代表チームを長く支えてきた左サイドバック。さすがにもう終わりかと思えば、そうでもないようである。
4度目のワールドカップ出場に向け、「もう一回野心、情熱を持って守備で負けない長友を見せたい」と決意を新たにしているという。
論語の教え
「敝(やぶ)れたる(おんぽう)を衣(き)、狐貉(こかく)を衣(き)る者と立ちて、恥じざる者は、其れ由か。忮(そこな)わず求めず、何を用(もっ)てか臧(よ)からざらんとあり」と、論語「子罕第九」27にある。
「ぼろぼろになった綿入れの着物を着て、上等の毛皮の外套を着た人と並んで立って、ひけ目を感じないでいられるのは、由(子路)くらいだろう。 それは「妬(ねた)まず、ほしがらず、どうして善い人間でないことがあろう」という「詩経」の句にそっくりだ、と孔子が子路をほめたとの意味。
「子路」、姓は仲、名は由、字名が子路。孔子より9歳年少。孔門では年かさの弟子。顔回(顔淵)とともに「論語」の二大脇役。
もとは遊侠の徒で、孔子にからみに来て論破され、心服して門に入ったという。率直勇敢な情熱家で、孔子に愛されたそうだ。
大国の軍政のきりもりを任せられる人材だったとされ、子路は晩年、衛の国に仕える。しかし、そこで内乱に巻き込まれ殺されてしまう。彼が死んだとき、孔子は「天われを祝(た)てり」と嘆いたという。「祝」は「断」と同じ。
長友選手が子路にだぶる。これまでのキャリアからすれば、無理せず引退しても良さそうなものだ。それでもまだチームの勝利と、その先の日本代表にこだわる。
「熱」もたらしたF東京の長友 復帰戦で存在感―Jリーグ:時事ドットコム
絶やすことなく仲間への指示や鼓舞を続けると、呼応するようにチームも躍動し今季最多タイの4得点。「熱のある選手が入ることで伝染していった。不思議なものだなと感じた」。長谷川監督が長くチームに求めていたものだった。 (出所:JIJI.COM)
「其の以(もち)うる所を視、その由(よ)る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや、人焉んぞ廋さんや」と、「為政第二」10にある。
「その人物の日常生活の現在をしっかりと視る。その人物が経てきた過去を観めみる。その人物が落ちつこうとしている未来の着地点を察する。そうすれば、その人物は自分を隠すことはできぬ。本当の姿が分かる」との意味。
人とは面白いものである。これほどに情熱に感化されてしまうのだろうか。