子曰わく、由(ゆう)よ、徳を知る者は鮮(すく)し、と。(「衛霊公第十五」4)
(解説)
孔子の教え。「由(子路)君よ、道徳を理解している者は、すくない」と。(論語 加地伸行)
「雍也第六」29で、孔子は、「中庸の徳為る、其れ至れるかな」といい、「中庸」の重要性を説く一方で、「民 鮮(すく)なきこと久し」といい、中庸を欠いた人々の多さを嘆く。
「子路」、姓は仲、名は由、字名が子路。孔子の弟子で、孔子より9歳年少。孔門では年かさの弟子。顔回(顔淵)とともに「論語」の二大脇役。
もとは遊侠の徒で、孔子にからみに来て論破され、心服して門に入ったという。率直勇敢な情熱家で、孔子に愛された。大国の軍政のきりもりを任せられる人材と桑原はいう。子路は晩年、衛の国に仕えるが、内乱に巻き込まれ殺される。彼が死んだとき、孔子は「天われを祝(た)てり」と嘆いたという伝説があるという。「祝」は「断」と同じ。
「関連文書」
(参考文献)