子曰わく、無為にして治まる者は、其れ舜(しゅん)か。夫(そ)れ何をか為さん。己を恭々(うやうや)しくし正しく南面するのみ、と。(「衛霊公第十五」5)
(解説)
孔子の教え。「自分がなにも動かず、また、しなくても、天下が平和に治まる。そういう政治ができたのは、舜であろうか。舜はなにをしたのであろうか。ただ慎み深くし、正しく王位に即いていただけであった」と。(論語 加地伸行)
「舜」、中国神話に登場する聖人。虞氏、有虞氏と称したという。堯を継いで天子になる。
舜は天子となっても、自分が陣頭指揮するわけではなかったという。それを孔子は、高山を見上げる感じだ(巍巍乎)と表現した。
「巍巍乎たり、舜 禹の天下を有(たも)つや、与(あずか)らず」(「泰伯第八」18)
「南面」、天子が政庁において、南を向いて着座すること。
明治の元号の出処である「易」説卦伝においても「聖人 南面して天下を聴く。明に嚮(むか)いて治む」とある。
「関連文書」
(参考文献)