「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【子張 行なわるることを問う】Vol.384

 

子張(しちょう) 行なわるることを問う。子曰わく、言(げん)忠信にして、行(こう) 篤敬(とくけい)ならば、蛮貊(ばんぱく)の邦と雖(いえど)も、行なわれん。言 忠信ならず、行 篤敬ならざれば、州里(しゅうり)と雖も、行なわれんや。立ちてば、則ち其の前に参(しん)なるを見、輿(よ)に在れば、則ち其の衡(こう)に倚(よ)るを見る。夫 (そ)れ然る後に行なわれん、と。子張、諸(これ)を紳(しん)に書す。(「衛霊公第十五」6)

 

(解説)

子張が、道徳的世界が実現される方法について質問した。孔子はこう教えられた。「発言にまごごろがあり、行為に慎みがあれば、文化のない野蛮国であっても、実現されるだろう。発言にまごころがなく、行為に慎みがなければ、組織された秩序ある文明国であっても、実現できるであろうか。立っているときでも、まごころや慎みが目の前に密集しているように見え、車に乗っているときでも、まごころや慎みが目の前にある横木にありありと見えるようであることだ。そうしてはじめて実現できよう」と。子張はこの答弁を自分の大帯に書きつけた。論語 加地伸行

  

「蛮」は何番、「貊」は北狄

「州」は2500家、「里」は五隣で25家

「参」は群立しているさま

「衡」は軛(くびき)

「紳」は大帯

 

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 「子張」、姓は顓孫、名は師、字名が子張。陳の人で、孔子晩年の弟子。もっと若く秀才といわれる「礼」の専門家といわれる。「史記」に、「師や僻なり」とあるように、時として正統を離れる異説を好んだようである。

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 (参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫