「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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【美談と現実】義足の女性が宇宙旅行へ、スペースXが民間人を乗せ打ち上げに成功、宇宙事業を虎視眈々と狙うコンサルティングファーム ~炉辺閑話 #39

 

 米スペースXが15日午後打ち上げた宇宙船クルードラゴンには、民間人4名が搭乗していたという。地球を周回する約3日間の宇宙旅行をするそうだ。

 宇宙利用がまた一方近づいたと感じる。

 ブルームバーグによれば、今回の打ち上げ目的は概念を実証するためのデモ飛行の役割を果たすだけではなく、小児がん研究のために2億ドル(約219億円)の寄付金も集めることにあるという。

スペースXが「クルードラゴン」打ち上げ、民間人4人搭乗 - Bloomberg

 米決済処理会社シフト4・ペイメンツの創業者のアイザックマン氏は、スペースXに今回の宇宙飛行の料金を全額支払ったほか、テネシー州メンフィスにあるセント・ジュード小児研究病院に1億ドルの寄付を約束したそうだ。

アイザックマンはスペースドラゴンの4人分の座席のうち1つに、同病院の元患者でがんサバイバーのヘイリー・アルセノー(29)を招待した。

10歳の時に骨肉腫と診断された彼女は、片足が義足だ。現在はセント・ジュード小児科病院で医療助手として働いており、宇宙に飛び立つ最年少のアメリカ人となる。 (出所:Newsweek

 

 

 1492年、クリストファー・コロンブスがヨーロッパから大西洋を横断し、アメリカ大陸周辺の島に上陸した。これが後の新大陸の発見につながり、アメリカが発展するきっかけになった。

 宇宙開発を進め、火星を目指すスペースXのイーロンマスク氏やブルーオリジンのジェフベゾス氏が現代のコロンブスのように見えてしまう。

 ただ気をつけなければならない。コロンブスの末路は悲惨だったといわれる。先住民に対し、数々の略奪や虐殺を行ったといわれ、植民地の統治に失敗し、手にした総督の地位を失い、彼の後ろ盾であったスペイン王室にも見限られ、信用も無くしていく。そして、1506年、コロンブスはこの世を去った。

 多額の資金を集め、意気揚々と大西洋の海原に旅立ったときが彼の絶頂期だったのかもしれない。

 

 

 先駆者が登場すれば、追従者が現れて、発展につながっていくのかもしれないが…

 宇宙開発に、コンサルティングファームまでもが参入するようになっているようだ。

【なぜ】2021年、コンサルが人工衛星を打ち上げる

 現在、世界の宇宙ビジネスの市場規模は約40兆円。これでも十分大きなマーケットですが、2040年頃には100兆円規模にまで飛躍すると言われています。ビジネスとして非常に魅力的な産業だからこそ、新規参入も増えているのです (出所:NEWSPICKS)

「まだ宇宙を活かしきれていない」、とデロイト トーマツは考えているという。

「衛星データ提供者が増えた今、データ販売だけではスケールが望めなくなっています」。「これからは、地球の課題を宇宙活用によって解決していく『課題ドリブン』なアプローチに変えていかなくてはいけません」

 宇宙開発を否定する気はない。しかし.....

「最近、『サステナビリティ』という言葉をよく聞きますが、突き詰めればこれは、地球が限界に来ているということでしょう。
それなら、私たちの生活空間やビジネス空間を宇宙に広げてみる。すると、地球の負荷が下がってサステナブルな地球環境が実現するかもしれない。(出所:NEWSPICKS)

 随分、横柄な意見表明ではなかろうか。地球での「サスティナビリティ」もろくにコントロールできていない人類がそんな大言壮語してもよいのだろうか。

 確かに、イーロンマスクもジェフベゾスも近いことを語るが、地上の「サスティナビリティ」に尽力し、その上で、自ら汗をかいて、その実現に精を出す。焦らあず、一歩一歩着実に技術開発し、安全を確立しながら。

論語の教え

「子 陳に在りしとき、曰わく、帰らんか、帰らんか。吾が党の小子は、狂簡(きょうかん)にして、斐然(ひぜん)として章を成せども、之を裁する所以を知らず」、と論語「公冶長第五」22にある。  

 孔子が陳にいるとき、郷里に残った若い弟子たちが、やたらと大言壮語し、きれいごとの理屈ばかり達者となっていて、それを役立たせる方法がわかっていないと、嘆いたという。

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 何でかんでも「スケール」させる必要があるのだろうか。物事には時宜があるはずだ。

 地球が限界に近づいたり、「サスティナビリティ」に近づくことができないのは必要以上にスケールさせ過ぎたからではなかろうか。

巧言令色鮮し仁

 言葉を巧みに飾り立てたり、外見を善人らしく装うのは、「仁」すなわち他者を愛する気持ちは少ないとの意味だが、コンサルティングファームに、そんなことを感じてしまう。

 コロンブスの再来になったりはしないだろうか。

 

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「関連文書」

地球周回、4人が米船で宇宙旅行 世界初「民間人だけ」 | 共同通信