「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

異様な光景に映る自民党の税制調査会、思い込みが激しく融通がきかなくなっていないか

 

 自民党税制調査会の小委員会が開かれ、不足する1兆円の防衛費の財源確保に向け、法人税とたばこ税、復興特別所得税を税制措置の対象とする案が示されたそうです。出席した議員から反対論が相次いだそうです。異様な光景がニュースで報じられています。

防衛財源確保で増税に反対論、15日も議論=自民税調小委員長 | ロイター

多数の議員が参加した午後の会合では、復興特別所得税の活用について「(来年の)統一地方選で東北はどうなるのか」などの異論が相次いだ。(出所:ロイター)

 本質的な議論はできているのでしょうか。防衛力強化、財源確保「ありき」で進められ、選挙に影響があるから反対ではお粗末な議論なのでしょう。15日にも引き続き議論を行われるそうです。

 

 

党内には、安倍晋三・元首相が持論とした国債を財源に充てるよう求める声もある。これに対し、首相は「有事には国債で金をかき集めなければいけないのに、平時から赤字国債を発行するのはあり得ない」と周囲に語り、「強行突破」に自信を見せている。増税自体に反対しているのは「安倍氏に近かった一部の議員に限られる」(首相周辺)との見方もあるためだ。(出所:読売新聞)

防衛増税巡り首相引かず、「強行突破」に自信…復興税活用に自民からは異論噴出 : 読売新聞オンライン

 有事になることを想定するようになれば、その危機を回避するのが困難になってしまいます。ここでも「ありき」で議論が進められる極めて危うい状況に見えます。

ロシア化と脱ロシア

 ロシアでは、ウクライナでの惨劇を知りながら、侵攻に抗議して辞任した政権の要人はほとんどいないといいます。またプーチン大統領に公然と反対する高官もいないそうです。批判すれば直ちに、国家の裏切り者のレッテルを貼られるためといいます。

ロシア依存 脱却広がる アレキサンダー・ザスラフスキー氏: 日本経済新聞

プーチン氏は、米欧の対ロシア制裁が西側に相当な打撃を与えると考えている。真冬になると、欧州は凍える。欧州はやがて対ロ制裁を科し、ウクライナを支援し続けるのは意味がないと理解するはずだと思い込んでいる。(出所:日本経済新聞

 しかし、やがてプーチ大統領の論理は機能しなくなるだろうと記事は指摘します。

 欧州が直ちにウクライナ支援を止めることもなければ、ロシアとビジネスを再開することもしないとみるのが自然なことなのでしょう。中国やインドも、国際世論に背を向けて、積極的に自己犠牲を払ってまで、ロシアを支えようとすることはないだろうといいます。

 

 

 プーチン大統領に反対する声は国内にありませんが、そうしたプーチン大統領を逆手にとって、ロシア勢力圏だった国々が脱ロシアを模索しはじめ、中国がこれらの国々に触手し始めているといいます。

 プーチン大統領の誤算の連続は、不安や狭量による思い込みと見込み違いによって生じたということでしょうか。

「狭量」は排他性を生み、狂信、独裁、差別などの最悪を生み出すといいます。

政治とビジネスにおけるリーダー像は異なるのか

 政治とビジネスでは異なるのでしょうが、米アマゾンを世界的な大企業に育てたジェフベゾス氏は、アマゾンの競争力の源泉を世界共通の「Our Leadership Principles(リーダーの原則)」という14項目からなる信条にまとめていたといいます。

“狂気”と呼ばれたアマゾンのカリスマ、ベゾスの「教科書経営」:日経ビジネス電子版

「顧客中心主義の観点から、顧客を起点にすべてを考えて行動する」、「リーダーは長期的な価値を重視し、自分ごととしてマネジメントに取り組む」、「イノベーション(革新)とインベンション(発明)を追求し、シンプルな方法で実践する」、「常に学び、自分自身を向上させ続ける」、「大きな視野で思考する」、「倹約の精神を大事にする」、「同意できない場合は、敬意を持って異議を唱える」(出所:日経ビジネス

 記事によれば、この信条を末端のリーダーに浸透させることにベゾス氏は力を注いだそうです。ベゾス氏によって生み出された企業文化が、アマゾンの驚異的な成長を実現したといえるといいます。

 狭量を軸にしたプーチン大統領に対し、ジェフ・ベゾス氏は寛容の精神を元にしているのではないでしょうか。「寛容」とは、自分とは異なる意見や価値観を安易に拒絶せず許容しようと努めることをいいます。

 

 

論語に学ぶ

奢(しゃ)なれば則ち不孫(ふそん)、倹なれば則ち固。その不孫ならんよりは、寧(むし)ろ固なれ。(「述而第七」35)

 驕り奢(たか)ぶると、へりくだる気持ちがなくなり、思いあがって不遜となり、倹約すぎると自分の殻に閉じこもる固となってしまいます。どちらも行き過ぎでよくないことになりますが、他者にとって不愉快な不遜であるよりは、個人の問題である固のほうがまだましと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 「固」には、かたくて融通がきかない。かたくなな意味があります。また、固陋(ころう)となると、古い習慣や考えに固執して、新しいものを好まなくなるといいます。

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 よくないどちらの性質をプーチン大統領はもっているのでしょうか。そんな性質の人が国のリーダーになったがための今日のロシアということでしょうか。

 ここ最近の首相と自民党の動きを見ていると、何かロシア化しているようにも見え、岸田首相がプーチン大統領にだぶるところもあるように感じてしまいます。