「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

歴史的な転換点、薄れる平和主義、バイデン大統領のレコード贈呈で微笑む首相

 こども家庭庁が「子ども・子育て支援金」の年収別徴収額の試算を示し、2028年度は年収600万円の人の場合、月1000円、年収1千万円なら月1650円となるそうです。首相が説明した平均で月500円弱になるとの説明と大きく違うとの印象を持ちますが、林官房長官は「平均月額500円の試算が変わったわけではない」と説明したそうです。

子育て支援金「試算変わらず」 衆院内閣委で林官房長官:東京新聞 TOKYO Web

 政府説明があやふやで、まことのように嘘を話してはいないでしょうか。時期の後ろ倒しもあってごまかしの意図がありありのようにも感じます。いずれにせよ、このまま負担額の伸びは続きそうです。不信がますます募ります。

 

 

歴史的転換点、変わる平和主義

 首脳会談を終えた日米両首脳は、新時代の日米同盟を目指し、「未来のためのグローバル・パートナー」と題した共同声明を発表しました。

日米首脳会談、共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」を発表…「ミサイルの共同生産」への協議開催を盛り込む : 読売新聞

共同声明では、日本の防衛力強化の取り組みなどを踏まえ、「日米同盟は前例のない高みに到達した」と強調。「戦略的協力の新しい時代」に入ったとの認識を示した。(出所:読売新聞)

 中国の力と威圧による行動に強く反対し、有事に備え様々な連携を強化するそうです。これで中国や北朝鮮が「あぁそうですか」と引き下がり、東アジアに安定がもたらされればいいのですが、かえって緊張が高めることになりそうで不安を覚えます。

「国際社会は歴史的な転換点にある」と首相はいい、その正当性を主張しています。しかし、首相が独断で決めたことの方がはるかに歴史的転換で、平和主義を踏みにじり、デリケートな問題を国民的議論なしに決めたのではないでしょうか。邪まがかった新説をもっともらしい嘘で塗り固めてまことのようにしゃべるのは止めてもらいたいものです。

 

 

バイデン大統領

 そんな首相にバイデン大統領はビリージョエルのレコードを贈ったそうです。

バイデン米大統領、岸田文雄首相にビリー・ジョエルのレコード贈る - 日本経済新聞

 首相も増税メガネと揶揄されながらも防衛費増額に尽力した甲斐があったということなのでしょう。お二人ともこの上なく上機嫌のようで、羨ましいかぎりです。 

 またバイデン大統領は今回の首脳会談の成果を強調し、11月の大統領選でトランプ前大統領との対立軸に位置づけるそうです。

バイデン氏、同盟関係を対トランプ対抗軸に 日本も利用 - 日本経済新聞

 トランプ前大統領の再選を阻止したいバイデン大統領の野心は理解できないものではありません。しかし、トランプ氏以上に中国に経済的威圧をかけ対立を煽るのは如何なものかと感じなくもありません。そんな対立に巻き込まれるのは避けるべきと直観するのですが、首相は前のめりのようです。再選を目指す日米首脳の利害が一致したからなのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

天下道有れば、則ち礼楽(れいがく)征伐は、天子自(よ)り出(い)づ。天下道なければ、則ち礼楽征伐は、諸侯自り出づ。諸侯自(みずか)ら出づれば、蓋(けだ)し十世(じっせい)失わざる希(まれ)なり。大夫(たいふ)自ら出づれば、五世失わざる希なり。陪臣(ばいしん)国命を執(と)れば、三世失わざる希なり。天下道有れば、 則ち政(まつりごと)大夫に在らず。天下道有れば、則ち庶人議せず。(「季氏第十六」2)

 世に道があれば、規範や秩序は、すべて天子が主導する。世に道がなければ、規範や秩序は諸侯が主導することになる。諸侯が主導するとしても、その君主のあと十代保つのは稀である。諸侯に代わって、家臣の大夫が実権を握ったときは、その子孫は五代と保たない。まして陪臣が国政を動かす振る舞いに至っときは、その子孫は三代と保ちはしない。世に道があれば、諸侯の政権は大夫にはない。まして庶民があれこれと論(あげつら)い非難するようなことはないと、孔子は言いました。

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 裏金事件で自民党が非難され、首相は色々な言葉で揶揄されます。国民を第一に考えないから、そうなるのでしょう。いつまでこんなことを続けるつもりなのでしょうか。

 規範や秩序がなくなりつつありそうです。過ちがおこらなければいいのですが。国の未来がとても心配です。

ビリージョエルが「Goodnight Saigon」でベトナム戦争を歌っていました。

And who was wrong? And who was right? 誰が悪い?誰が正しい?

It didn't matter in the thick of the fights 激しい戦いの中ではそんな事どうでも良くなる 

・・・・

And we would all go down together 俺たちはみな死んでしまうのだろう

We said we'd all go down together みなが口にした「俺たちは生き残れない」と

Yes we would all go down together そうだな 俺たちは誰も助からないのだろう

(引用:Billy Joel Goodnight Saigon)

 首相はこの歌を聞いたことがあるのだろうか。

 


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「参考文書」

年収600万円で月千円徴収 会社員ら、子ども・子育て支援金 | 共同通信

【詳細】岸田首相 バイデン大統領が共同声明 防衛協力深め経済安全保障や宇宙など幅広い分野で連携強化確認 | NHK | 日米首脳会談

日米首脳、中国を視野に防衛協力強化へ-日本で米艦船補修拡大も - Bloomberg

 

再選を目指す不人気な首脳によるトップ会談、危うそうな成果

 米マイクロソフトが日本事業を強化するそうです。データセンターを増強し、新たに研究拠点を設ける方針だといいます。2年間で29億ドル(約4400億円)を投じ、日本への投資としては最大規模となるそうです。

マイクロソフト 日本で最大規模投資へ AI需要拡大向け事業強化 | NHK | 生成AI・人工知能

 日本における生成AIの需要拡大を見据えてのことのようです。リスキリングを推進、AIを活用できる技術者を育成し、また日本政府との間ではサイバー攻撃に関する情報の共有やセキュリティー対策などで連携を強化する方向だといいます。

 

 

 訪米中の首相が、これから発表するであろう「強固な日米同盟」による成果と言いたいのでしょうか。遅れているテクノロジー分野を外資の力を借りて一気に挽回、デジタル後進国を脱したいとの思惑もありそうです。自身の成果と主張するのが狙いなのかもしれません。

 何しろ日本は、AIで自動化される可能性の高い仕事が他国に比して突出して多いといいます。そういう事情も考慮しているのでしょうか。

AIで雇用代替、日本が突出 アジアの14カ国・地域で | 共同通信

 一方、デジタル・ITインフラを外資に頼ったままでは、円安の一因といわれる「デジタル赤字」の改善は進まず、むしろ拍車がかかりそうです。

【核心】「デジタル赤字」の地獄を抜け出せ。国産クラウド大号砲

 せっかくさくらインターネットが政府クラウド、ガバクラの事業者に国内企業として初めて選定され、これから事業拡大を図ろうとしているだけに残念なことです。

円安

 円安が進み150円台が動かくなり、この先にもう一段円安が進むとの見方も出てきているようです。

 こうした動きに日銀 植田総裁は具体的なコメントは控えるとしていますが、一方で、一般論とし「為替レートの動きが経済・物価情勢に無視できない影響を与える事態に至れば、金融政策の対応をもちろん考える可能性が出てくる」と述べたといいます。

 

 

 状況次第は追加利上げの時期が早まることもあるのでしょうか。円安が進めばさらに物価を押し上げることになります。これを手がかりとして、前回と同じように優れたコミュニケーション能力で市場と対話、追加利上げの合意形成していくこともあるのかもしれません。

日銀が24年度物価見通しの上方修正を議論へ、好調な賃上げで-関係者 - Bloomberg

 しかし、それは正常化へ向かう道程であって、ゴールはまだまだ先なのでしょう。黒田前総裁下で膨れ上がった日銀のバランスシート問題などの課題もあり、その出口戦略を示すことも求められています。

 様々なことが複雑に組み合わさり、やっかいな状況になっていそうです。植田総裁のように問題を適正に分析して細分化、その課題の優劣を評価して優先順位をつけて丁寧に進めていけば問題解決へと近づいていくのでしょう。しかし、首相は自らの成果を欲して、あれやこれやと手を出すばかりに、矛盾だらけで問題をさらに入り組んだものにしているように思えてなりません。

 

 

日米首脳会談、不人気な首脳による会談

 不人気で低支持率にあえぐ日米両首脳は何を議論し、その成果を共同声明として発表するのでしょうか。

岸田文雄首相とバイデン大統領、内憂抱える絆 日本製鉄の買収深入りせず - 日本経済新聞

 それぞれが再選を目指す選挙を控えており、両首脳の個人的な関係を土台に内憂の打開に期待を込める外交舞台になるといいます。利害は一致していそうで、思惑が透けます。

論語に学ぶ

魯、衛の政(まつりごと)は、兄弟(けいてい)なり。(「子路第十三」7)

 魯と衛との政治は兄弟のようなものだと、孔子はいいました。 

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 殷王朝を倒し、周王朝を建てた武王には2人の兄弟があって、彼らがそれぞれ魯と衛の国の始祖となったといいます。国が始まった初期、よく治まっていたが、その後、政治は乱れ、それはどちらの国も同様であったといいます。それを孔子は嘆き、このことばになったそうです。

 戦後日米安保で結ばれた国が劣化していくのも時間の流れからしてごく自然なことなのかもしれません。

日米首脳、中国を視野に防衛協力強化へ-日本で米艦船補修拡大も - Bloomberg

 賢人リーダーがいなかったというだけのことなのでしょう。

 

 

日本の将来

 日本の若者は、他国と比較して自分の国の将来について悲観的にみる人が多いそうです。

日本の若者、自国の将来「良くなる」15% 米英中など6カ国中最低 | 毎日新聞

 米国、英国、中国、韓国、インドなど6カ国と比較し「良くなる」と答えた割合が最も低かったそうです。自民党の裏金問題や経済の停滞がもたらす社会の閉塞感が影響しているとみているといいます。

 解決しなければならない優先課題はここにありそうです。姑息な手段に走らず、首相が真の勇気を発揮し、英断できれば状況は変わっていきそうな気がします。

 

 

「参考文書」

Microsoft、日本にAIデータセンター 4400億円投資 - 日本経済新聞

岸田首相、日本のハイテク分野への投資促進を米企業幹部に呼び掛け - Bloomberg

株価爆上げ「さくらインターネット」が描く勝ち筋 田中社長「ガバクラは"足がかり"でしかない」 | IT・電機・半導体・部品 | 東洋経済オンライン

円トレーダー、1ドル=155円見込む取引が増加-152円からシフト - Bloomberg

訂正-物価の基調上昇なら、緩和度縮小「考えないといけない」=日銀総裁 | ロイター

混乱なき政策転換に手腕、利上げでのぞく勝負師の顔-植田日銀1年 - Bloomberg

 

身を処す知事、けじめをつけない首相は訪米、歓待する米国

 お騒がせ知事、川勝静岡県知事が辞職願を提出する意向を固めたそうです。過去何度も問題発言をしては騒ぎを起こしていた行政トップの人です。遅すぎたの感は否めませんが、身を処すことで、ようやくけじめがつくということでしょうか。来月5月には選挙となるようです。

 

 

 一方問題を起こす政党トップで不人気な首相は色々口実をつけては身を処さないようです。世論調査では、その態度に「妥当ではない」との声が大きくなっています。支持率も長く低迷、信頼されていない首相ということが明白になっているにもかかわらず.....

歓待待つ米国へ

 そんな首相が国賓待遇で訪米、バイデン大統領に熱烈に歓待され、強固な日米同盟をアピールするそうです。

岸田首相、世界は「歴史的転換点」と警鐘 首脳会談前に日米同盟アピール - CNN.co.jp

こうした動きに異論がないわけではなく、特に第2次大戦時中の日本の軍国主義で多大な被害を受けた中国やアジアの他地域では反発が根強い。(出所:CNN)

 公式夕食会には音楽ユニット「YOASOBI」なども招待されているといいます。米側も手の込んだ演出をするものです。米国に利用されることは避けるべきなのですが。

論語に学ぶ

斉人(せいひと) 女楽(じょがく)を帰(おく)る。季桓子(きかんし) 之を受け、三日 朝(ちょう)せず。孔子行(さ)る。(「微子第十八」4)

 隣国の斉は女歌舞団を魯国に贈った。季桓子はそれを受け、三日間も政庁に現れなかった。孔子は祖国 魯を立ち去りました。  

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 孔子が魯の執政となり、斉国はそれを警戒し、女性歌舞団80人を贈ったそうです。魯の実質支配者であった季桓子はその芸に魅せられ登庁しなくなったといいます。今も昔も外交戦術には大きな差はなそうです。

 

 

日本版ライドシェア

「日本版ライドシェア」のサービスが始まったそうです。タクシー不足の解消が目的といいます。日本全体が人手不足で喘ぐ中、玉虫色のライドシェアのようで、問題解決されていくのでしょうか。

都内で今日から日本版ライドシェア解禁 自治体とタクシー業界に温度差も:日経ビジネス電子版

 タクシー不足に悩んでいたのタクシー業界もまた同じ。コロナ禍明け以降、タクシー運転手が戻らず苦しい経営が続く状態にあるといいます。業界としては国に厳しい2種免許の規制緩和を求め、問題改善を図りたいとの意思を示していたそうです。何が何でもライドシェア導入に反対ではなく、まずはタクシー業界を縛り付けている規制緩和をと主張したのも理解できます。それも考慮しての「日本版ライドシェア」でしょうか。問題が解消するまでには継続的な見直しと時間が必要になりそうです。

 国内にも解決しなければならない重要な課題が多々あります。円安は続き、実質賃金は23か月連続で減少しています。少子高齢化、人手不足、日本経済と財政健全化などなど。タクシー不足もそのひとつにすぎません。国内問題と外交、安全保障、どれも重要な問題なのでしょうが、やはり優先順位を付けなければなりません。

 増税しなければ成り立たない防衛計画をはじめ、ここ最近は新たな政策には増税がつき纏います。我慢ばかりでは豊かな暮らしもあろうはずがありません。国民に我慢を強いる外交とはいうのは如何なものなのでしょうか。良識を欠き独断専行に走りがちな不人気な首相でなければできないことなのかもしれません。

 


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「参考文書」

静岡 川勝知事 10日にも辞職願提出 知事選は早ければ5月下旬に実施へ | NHK | 静岡県

岸田内閣支持率23% 発足後 過去最低に並ぶ 政治資金問題は 安倍派幹部の離党勧告は NHK世論調査 | NHK | 選挙

岸田文雄首相「盤石な日米関係を世界に発信」 アメリカへ出発 - 日本経済新聞

日米首脳会談、共同声明の概要判明 米国、防衛費の大幅増「歓迎」 | 毎日新聞

日米同盟は「より対等」から「より統合」へ 米有識者ら提言 | 毎日新聞

東京で日本版ライドシェア開始 全国初、他地域も順次スタート | 共同通信

川鍋一朗GO会長「トップが現場に行かないのはもったいない」:日経ビジネス電子版

 

潮目が変わった日本経済、変えていくべきもの、変わっていくもの

 変化の激しい時代といわれています。世の中をみればそういわざるを得ないのかもしれません。安定は長く続かず、変化しまた変化していくというものなのでしょう。加えて、変化のスピードが早まってそうです。変化の波に取り残されてしまわないかと思えば不安は募ります。しかし、歴史を振り返ればやはり変化の連続で、その変化が文明の発展を促してきたのではないかとも思えます。文明が発展し、さらに変化の速度が増したのでしょう。今も昔も人はそれに合わせて意識を変えていくことを求められているということなのでしょう。

 

 

 日銀がマイナス金利を解除させ、異次元緩和策を転換させました。これもまた変化のひとつで、この先に何が起きるのだろうかと不安を感じさせ、さらに追加利上げといわれればなおさらです。

7月以降はいつでも利上げ?「植田日銀の常在戦場」 | 太田智之の「ホンマ」の経済 | 太田智之 | 毎日新聞「経済プレミア」

「常在戦場」、いつ金利が上がるかわからない環境下ではそんな意識が求められるといいます。「金利はあがらない」、ぬるま湯経済にすっかり慣れきってしまい、そこから意識を変えていくために、そんな勇ましい言葉、ちょっと過激な言葉も必要なのかもしれません。

  それ以前のごく当たり前だった経済活動に回帰するだけではないでしょうか。そんなに不安に駆られることなく、過去を学べばそれなりの対処の方法を見出せるのではないでしょうか。世界をまたそうしているように思われます。

野心、アニマルスピリッツ

 産業界ではアニマルスピリッツを求める声が上がっているようです。世界の野心家たちは、チャンスを窺い、ここぞというときに一気呵成の動きをみせます。GAFAMに加えテスラやエヌビディア、神7が誕生したのはそうした心構えがあってのことと見えるからでしょうか。

[社説]国産旅客機開発に欠かせぬ企業の野心 - 日本経済新聞

 三菱重工の国産ジェット旅客機計画が頓挫し、経済産業省が「完成機事業への参画が不可欠であり、これを目標として掲げるべき」との報告書をまとめ、再挑戦すべきだという議論が出てきたそうです。

航空機産業を育成するには十年単位の長期視点と、関連産業をまとめる強力なリーダーシップが不可欠だ。いくら政府が青写真を描いても、実行主体となる企業のアニマルスピリッツ(野心)がなければ絵に描いた餅に過ぎない。(出所:日本経済新聞

「問題は現実的に担い手がいるのかどうかだろう」と記事は指摘します。

 経産省主導の計画上で、アニマルスピリッツを発揮できるのでしょうか。仮に手を挙げても、頓挫が繰り返えされそうです。国が変化して主導をやめれば、自然とアニマルスピリッツも回復、健全な野心家たちが挑戦を始めるような気もします。

「失敗の教訓は未来に生かさなければならない」、国こそ失敗の教訓を活かすべきなのでしょう。変化がなければ未来はないのではないですから。

 

 

論語に学ぶ

述べて作らず、信じて、古(いにしえ)を好む。窃(ひそ)かに我を老彭(ろうほう)に比(なぞら)う。(「述而第七」1)

 前に発表された説をもとにして補い述べることはするが新たに創作することはしない。前の説を信じ好む。心の中で、ひそかに殷代の賢大夫 老彭になぞらえていると、孔子はいいました。

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はて孔子は何をいわんとしているのでしょうか。孔子が信じて好んだ「古」とは刹那的な安定ではなく、変化ということなのかもしれません。孔子が生きた古代中国においても王朝がいく度と生まれ変わり、そのたびに文明が発展し、新しい秩序が生まれる事実を、孔子は過去を学ぶことで知ったのでしょう。孔子は暴君紂によって衰退した殷王朝が武王によって倒され、その弟周公が広めた新しい秩序、規範を好んだというのだから。陳腐化した古きものをアップデートさせ、その時代にあったものへと漸進させる、その重要性を説いているのかもしれません。

 さて長く続いた自民党政治でどれだけ文化・文明は発展したのでしょうか。世界からだいぶ遅れたようです。しかし、ようやく賃金、物価、株価など経済に潮目の変化が現れ、時代の転換点にあるといいます。これをチャンス、機会にできるのでしょうか。

 

 

「参考文書」

日本は「巻き返す15年」になるか?

 

活気づく街、これが日本の未来か、半導体世界最大手のTSMCが進出した菊陽町

「JASM」Japan Advanced Semiconductor Manufacturing、半導体受託製造の世界最大手 TSMC 台湾積体電路製造が出資、ソニーデンソーなども資本参加する巨大半導体工場が熊本県菊陽町に完成し、年内に稼働を始めるといいます。最先端ではないにしても、それなりに先端の半導体を生産するそうです。

 第2工場も菊陽町に建設されることになったようで、政府は第一工場と合わせて総額1兆2080億円もの税金を投入して補助するといいます。

 台湾企業への巨額補助にも批判もあるようです。JASMの出資比率でTSMCが86.5%となることより、利益のほとんどが台湾にながれてしまうことが理由ともいいます(逆もあって一概に批判できるものでもないのですが。日本企業も海外に工場を建設しそこでたくさんの利益を上げているのですから。またそれが円安の一因ともいわれますので)。

 一方、関連の設備投資による経済効果は10年間で20兆770億円になるとの試算もあるそうです。

 

 

活気づく地元菊陽町

 半導体関連産業の集積が進む菊陽町は急発展し、大きな変化が生まれているようです。

 通勤バスが頻繁に工場に出入りし、道路は渋滞気味で、信号待ちする交差点には、病院、不動産、人材派遣、ホテル、マンション、さまざまなライフライン系の業種の看板が立ち並び、最寄りのコンビニでは時給1,000円でのアルバイト急募の張り紙もあるといいます。近隣では、ベッドタウン化が進行、巨大なマンション群が生まれているそうです。

「TSMCが来た町」で壮絶な光景を見た | ギズモード・ジャパン

「この周辺に住めるだけでも未来は明るい感じがする......」と、記事は菊陽町の現状を紹介しています。

目に飛び込んでくるものすべてにバブル感を感じられて、「いや〜…そうかー…いや〜…」と。ここだけ経済発展の次元が違いすぎて、本当に「いやいやいや…」しか声にならないのです。…(中略)...経済成長にブレーキがかからなかった別の次元の日本・菊陽町。みたいなファンタジーみすら感じましたね。資本がどうこうとはおいておいて、単純に経済成長という面を見ても、勢いがある様子を肌で感じることができて、ちょっとした異世界観光を楽しめました。…(中略)...いやほんと、この町の発展ぶりを見せつけられると、病院や交通インフラなど、暮らしの便利さが格段に違うことは想像に難くありません。その暮らしを想像すると、ストレートに言えば羨ましくてたまりません。TSMCこっちにも来てぇ…。(出所:ギズモード・ジャパン)

 グローバル化の波に乗って日本が進出し間もない頃の東南アジアや中国の風景というところでしょうか。かつてのバブルを知らない世代にはこうした風景は異世界に見えるのかもしれませんね。

 

 

 モノを作る工場ができて生産が軌道に乗り、長期的に利益が上げることができるようになれば、これこそが社会に対する最大の貢献なのかもしれません。工場ばかりでなく地元に多くの雇用を生み、幾重に重なる多層的な新たなモノの流れも生まれ、サプライチェーンも再編されたりします(中国や東南アジアが発展したのも同様で日本などの海外資本が進出したことによるのでしょう)。

 人が集まるようになれば、地場の産業も潤うのでしょう。企業は法人税を納め、周辺の産業も売上を伸ばせばさらに納税は増えていきます。これこそが企業の責務であり、社会貢献です。その税金が原資となって、社会保障が拡充され、また公共サービスの改善を進め、さらに次の成長産業の育成にも資金が回るようになればいいのでしょう。

 単純なソフトウェア事業単独に頼っていても、ここまで大きな貢献を生み出すことはないのかもしれません。ハードとソフト両輪を揃え、もっと大きな貢献が生み出していくべきなのでしょう。

 来日にしたTSMCの魏CEOは「日本政府の半導体産業に関する先見的な投資政策は、デジタルエコノミーに革新的な時代をもたらす」と語ったといいます。先見的であるかは少々疑問はありますが、変化のきっかけになっているとはいえそうです。

 

 

 首相が、このTSMC熊本工場を視察したそうですが、何を感じとったのでしょうか。豊かになっていく日本の未来が見えたのでしょうか。それとも米中対立を念頭に経済安全保障の強化の思惑からなのでしょうか。まさか米国に背中を押されてのことはないとお願うばかりです。国民に忍耐を求めつつも米国の後ろ盾を得られれば、政権維持も容易いなんて浅はかなことを考えていないかと邪推したりもしてしまいますが。

論語に学ぶ

葉公(しょうこう)政を問う。子曰わく、近き者説(よろこ)び、遠き者来たる、と。(「子路第十三」16) 

 楚の国 葉県の長官が政治とは何かと質問しました。孔子は「近隣の者が喜び、遠地の者が移ってくるような政治ですと、孔子は答えました。

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 また首相は熊本市自民党員らとの「車座対話」に出席し、出席者から「国民の怒りは沸点に達しており、ルーズな監査などを是としている党のあり方は非常に問題だ」、「女性局や青年局の問題も噴出するなど議員としての倫理観が欠如している」といった言葉を投げつけられたようです。

岸田首相 熊本で車座対話 “政治資金規正法 今国会で改正を” | NHK | 政治資金

「厳しい意見を重く受け止め、真摯(しんし)に反省し信頼回復に努めなければならないという思いを強くした。処分について意見があることは、受け止めたいが、最後は党の決定に基づいて一体で取り組むのが自民党だ。先頭に立って信頼回復の取り組みを進めたい」と首相は語ったそうですが、相変わらずというところでしょうか。

 この対話に先立ち首相は裏金事件を巡る自身の処分について、「国民と党員に判断してもらう」と発言し、与野党で反発を買ったようです。危機的な状況にもかかわらず、総裁再選や衆院解散を目指すと受け止められたことによるといいます。

岸田首相「責任は国民判断」波紋 自民反発、野党は解散要求:時事ドットコム

 当然、野党は反発し、自民党内からも「なぜ自分の責任は国民に問えば良くて、ほかの人は処分なのか。首相にはついていけない」との批判する声もあるといいます。

 さてさてどうなっていくのでしょうか。適正に政治がなされていれば、こんな事態にはならないのでしょう。孔子は言う通り良き政治ができれていれば、近隣の者が喜び、遠地の者が移ってくるようになるのだから。

 

「参考文書」

首相、TSMC工場「日本全体に波及効果」 1.2兆円補助 - 日本経済新聞

TSMC第2工場も菊陽町 魏CEOが岸田首相に表明:時事ドットコム

 

台湾花蓮県沖地震、震災経験を活かし、驚くほどのスピードで進む対応

 台湾 花蓮県沖でマグニチュード7.2の大きな地震が起きましたが、大きな規模の地震の割には被害は小さかったのでしょうか。倒壊したビルの解体も始まり、早くも日常生活をとり戻しつつあるようです。そのスピード感には驚きます。

冷房完備・温水シャワーも… 台湾地震 4時間で避難所設置、対応の早さなぜ?【Nスタ解説】 | TBS NEWS DIG (1ページ)

 さらに驚愕なのは、発災後4時間で避難所が開設され、冷房が完備、温水シャワーも設置されていたといいます。また十分な食事も提供され、マッサージに、子どもの遊び場もあるといいます。過去の震災の経験が活かされ、民間の力を活用した対応といいます。お上の指示待ちになりがちな日本との違いを感じます。

 

 

 能登のケースとは単純比較はできないのでしょうが、何か根本的な違いがありそうです。どちらも同じ地震大国で幾度も大きな被害が経験していますが、その経験を上手に活かせるかどうかが大きな差になっているのでしょうか。

 国民を守るという姿勢にも差があるのかもしれません。一歩先を行っていそうな台湾に見習うべきことが多々ありそうです。新型コロナのときもそうだったことが思い出されます。

 治政、政治の差といってもよさそうです。同じような政治体制下にありながらこれだけの違いが生じてしまうのは政治家の資質に大きな差があるということなのでしょうか。国民を守ることを第一とし、ヒューマニズムに富み、人権を意識する政治とそうでない政治の差ということなのかもしれません。眼前にある地政学的脅威に対しては、融和的であるべきなのか、それとも独立志向でいるのか、その選択肢があってそれを民主的な選挙によって選ばれた政権が政治を司るという仕組みが機能していそうです。これも見習わなければならないのかもしれません。

 

 

論語に学ぶ

夷狄の君有るは、諸夏(しょか)の亡きに如かず。(「八佾第三」5)

  野蛮な国にも首長はあるけれども文化水準が低く、とうてい中国の君主なき状態にも及ばないと、孔子はいいました。

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 この孔子の言葉が中華思想のもとになったといわれます。中華思想の是非を問う気はありません。ただ孔子は文明を尊重し、秩序ある国を強く標榜していたといいます。これを現代風に読み解いて活かしていくべきなのでしょう。

 中台に分れているどちらの中国からも差をつけられていると感じます。現実を直視しなければならないのでしょう。学ぶべきを学ばなければその差は縮まりません。対抗心を燃やし、過剰反応すれば、どんな目で見られることになるのかと心配になります。

 

 

 政治とカネ、自民党裏金事件、この事件が大きな衝撃となって政治不信へと拡大していきました。この処分を巡って自民党内で不和が生じ、新たな火種になりそうです。政治の混乱が続きそうです。これを機会として政治を変えていくべきなのでしょう。噴き出したこの負の側面を捨てさえすれば、元来、この国が持っているはずの良いところや強みに光が当たるような気もします。

「失われた30年」は企業変革の期間 日本企業は再浮上する:日経ビジネス電子版

 じり貧状態ですが、日本がこんなに長く停滞すること自体が異常なのでしょう。今なお経済大国であるし、そのGDPは世界4位なのですから。

 

 

「参考文書」

台湾地震 発生後3時間で避難所…スピード開設ができたワケ|日テレNEWS NNN

 

甘すぎる処分、責任取らない首相、危うくなっていく日本の未来

 ひとたび戦争が始まるとなかなか終わることがない、今それをウクライナパレスチナ ガザで目撃しています。戦場となればとんでもないことになってしまう、それをまざまざと見ています。国際社会が非難し、停戦、休戦を求めたところで止まる気配がありません。プーチンやネタニヤフが悪なのかもしれません。しかしその悪を国際社会が一致して懲らしめることができなくなっているのが、現在の世界のようです。

 米国一強、米国支配への反発が根強そうです。米国がその影響力を弱めさえすれば違う展開もあるのでしょう。しかしそれはなそうです。民主主義と自由主義を守らなければならない大義があるのでしょうから。それが世界のあちこちで地政学リスクを高めてしまう一因になっているのでしょうか。

 

 

 東アジアも同様でより深刻なのかもしれません。米国と中国が対立を続けています。経済戦争の様相もあり、より複雑になっているようです。そんな争いに巻き込まれないのが最善なのでしょうが、政治は好んでその渦中に入りこもうとしているようです。

日米首脳会談、共同声明の概要判明 米国、防衛費の大幅増「歓迎」 | 毎日新聞

共同声明では、日米両国が法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序をともに維持・強化する「グローバル・パートナー」であることを改めて確認。インド太平洋地域や国際社会の平和と安定に貢献していく姿勢を明示する。(出所:毎日新聞

「グローバル・パートナー」、良い響きです。 しかし現実では米国の身代わりになって自ら率先して未来の戦場の最前線に立つようなものです。米国は大歓迎してくれるのでしょう。その一方で国民はその重い役務に疲弊していくのかもしれません。じり貧の経済状況、減少し続ける人口、そんな状態で終わることのない戦争を維持することなどできようもないことは明らかです。それなのに首相は、国の未来を政権維持の道具にはしているかのようです。

処分

 自民党が裏金議員を処分しました。党内でもあまり評判がよくないようです。離党勧告の処分となった塩谷元文科相は弁明書で「まるでスケープゴートのよう」と指摘し、「清和研の一部のみが、確たる基準や責任追及の対象となる行為も明確に示されず、不当に重すぎる処分を受けるのは納得がいかず、到底受け入れることはできない」と批判、さらに「このような独裁的・専制的な党運営には断固として抗議する」と主張したそうです。また「清和研と同様、関係者が起訴された総裁派閥を率いてきた岸田(文雄)総裁の道義的・政治的責任も問われるべき」と強調したといいます。裏金議員ではあるものの、この部分は正論を述べていそうです。

 

 

論語に学ぶ

法語(ほうご)の言(げん)は、能(よ)く従う無からんや。之を改むるを貴しと為す。巽与(そんよ)の言、能く説(よろこ)ぶこと無からんや。之を繹(たず)ぬるを貴しと為す。説こびて繹ねず、従って改めず。吾 之を如何ともする末(な)きのみ。(「子罕第九」24)

 正論に従わないことができようか。正論に従い欠点を改めるのがよい。一方、相手に逆らわず、耳障りの良い遠まわしの忠告の場合、自分にも一理あるように聞こえ、喜ばない者はない。しかし、その真意を求めることが大切だ。けれども、喜ぶだけで真意を求めないものだから、欠点を改めない人がいる。こういう人はどうしようもないと、孔子はいいました。

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 さてさて一体首相の聞く力はどうなっているのでしょうか。聞くべき国民の声、厳しい意見、それをちゃんと聞けているのなら、反発など起きようはずもないのでしょうし、支持率が低迷を続けることもないはずです。

 

 

 小林製薬の紅麹サプリの健康被害が深刻です。これまでユニークなネーミングと卓越したマーケティングで消費者の支持を集めてきたそうです。規制緩和の弊害のひとつなのでしょうか。ここでも実態解明が待たれています。

小林製薬「紅麹」問題、機能性表示食品制度の怪 海外向けでは厳しい品質管理:日経ビジネス電子版

 政府にもっと積極的に動いて欲しいものです。担当大臣がもっと積極的に情報発信すべきなのでしょう。こういう時こそ政治が力を発揮すべきなのでしょう。しかし、今の政府自民党はそれどころではなさそうです。

 ネットには、消費者を意図しない買い物に誘導するダークパターンが蔓延り、被害が増えているといいます。クレジットカードの不正利用も増加、被害額が過去最悪となっているといいます。誰も望まないよう社会になっていくようです。なぜなのでしょうか。

 しかし、自民党は相変わらずなのですね。この期に及んでも権力闘争に明け暮れ、国民を顧みず、国の未来を憂うこともないようです。

離党の世耕氏、崖っぷち 二階氏と暗闘?「衆院くら替え」明言せず | 毎日新聞

 もううんざりです。ほんとうに辟易です。

 

「参考文書」

ガザ停戦交渉進展せず、イスラエル首相が合意妨げ=ハマス幹部 | ロイター

自民39議員の処分決定 安倍派の塩谷・世耕氏に離党勧告 二階派・武田氏は役職停止1年 - 産経ニュース

【解説】小林製薬「盤石」ビジネスモデルの落とし穴

機能性表示食品、消費者庁が対策チーム 「紅麹」問題で - 日本経済新聞

クレジットカード不正利用率最悪、被害額10年で5倍 官民で監視へ - 日本経済新聞