「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

活気づく街、これが日本の未来か、半導体世界最大手のTSMCが進出した菊陽町

「JASM」Japan Advanced Semiconductor Manufacturing、半導体受託製造の世界最大手 TSMC 台湾積体電路製造が出資、ソニーデンソーなども資本参加する巨大半導体工場が熊本県菊陽町に完成し、年内に稼働を始めるといいます。最先端ではないにしても、それなりに先端の半導体を生産するそうです。

 第2工場も菊陽町に建設されることになったようで、政府は第一工場と合わせて総額1兆2080億円もの税金を投入して補助するといいます。

 台湾企業への巨額補助にも批判もあるようです。JASMの出資比率でTSMCが86.5%となることより、利益のほとんどが台湾にながれてしまうことが理由ともいいます(逆もあって一概に批判できるものでもないのですが。日本企業も海外に工場を建設しそこでたくさんの利益を上げているのですから。またそれが円安の一因ともいわれますので)。

 一方、関連の設備投資による経済効果は10年間で20兆770億円になるとの試算もあるそうです。

 

 

活気づく地元菊陽町

 半導体関連産業の集積が進む菊陽町は急発展し、大きな変化が生まれているようです。

 通勤バスが頻繁に工場に出入りし、道路は渋滞気味で、信号待ちする交差点には、病院、不動産、人材派遣、ホテル、マンション、さまざまなライフライン系の業種の看板が立ち並び、最寄りのコンビニでは時給1,000円でのアルバイト急募の張り紙もあるといいます。近隣では、ベッドタウン化が進行、巨大なマンション群が生まれているそうです。

「TSMCが来た町」で壮絶な光景を見た | ギズモード・ジャパン

「この周辺に住めるだけでも未来は明るい感じがする......」と、記事は菊陽町の現状を紹介しています。

目に飛び込んでくるものすべてにバブル感を感じられて、「いや〜…そうかー…いや〜…」と。ここだけ経済発展の次元が違いすぎて、本当に「いやいやいや…」しか声にならないのです。…(中略)...経済成長にブレーキがかからなかった別の次元の日本・菊陽町。みたいなファンタジーみすら感じましたね。資本がどうこうとはおいておいて、単純に経済成長という面を見ても、勢いがある様子を肌で感じることができて、ちょっとした異世界観光を楽しめました。…(中略)...いやほんと、この町の発展ぶりを見せつけられると、病院や交通インフラなど、暮らしの便利さが格段に違うことは想像に難くありません。その暮らしを想像すると、ストレートに言えば羨ましくてたまりません。TSMCこっちにも来てぇ…。(出所:ギズモード・ジャパン)

 グローバル化の波に乗って日本が進出し間もない頃の東南アジアや中国の風景というところでしょうか。かつてのバブルを知らない世代にはこうした風景は異世界に見えるのかもしれませんね。

 

 

 モノを作る工場ができて生産が軌道に乗り、長期的に利益が上げることができるようになれば、これこそが社会に対する最大の貢献なのかもしれません。工場ばかりでなく地元に多くの雇用を生み、幾重に重なる多層的な新たなモノの流れも生まれ、サプライチェーンも再編されたりします(中国や東南アジアが発展したのも同様で日本などの海外資本が進出したことによるのでしょう)。

 人が集まるようになれば、地場の産業も潤うのでしょう。企業は法人税を納め、周辺の産業も売上を伸ばせばさらに納税は増えていきます。これこそが企業の責務であり、社会貢献です。その税金が原資となって、社会保障が拡充され、また公共サービスの改善を進め、さらに次の成長産業の育成にも資金が回るようになればいいのでしょう。

 単純なソフトウェア事業単独に頼っていても、ここまで大きな貢献を生み出すことはないのかもしれません。ハードとソフト両輪を揃え、もっと大きな貢献が生み出していくべきなのでしょう。

 来日にしたTSMCの魏CEOは「日本政府の半導体産業に関する先見的な投資政策は、デジタルエコノミーに革新的な時代をもたらす」と語ったといいます。先見的であるかは少々疑問はありますが、変化のきっかけになっているとはいえそうです。

 

 

 首相が、このTSMC熊本工場を視察したそうですが、何を感じとったのでしょうか。豊かになっていく日本の未来が見えたのでしょうか。それとも米中対立を念頭に経済安全保障の強化の思惑からなのでしょうか。まさか米国に背中を押されてのことはないとお願うばかりです。国民に忍耐を求めつつも米国の後ろ盾を得られれば、政権維持も容易いなんて浅はかなことを考えていないかと邪推したりもしてしまいますが。

論語に学ぶ

葉公(しょうこう)政を問う。子曰わく、近き者説(よろこ)び、遠き者来たる、と。(「子路第十三」16) 

 楚の国 葉県の長官が政治とは何かと質問しました。孔子は「近隣の者が喜び、遠地の者が移ってくるような政治ですと、孔子は答えました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 また首相は熊本市自民党員らとの「車座対話」に出席し、出席者から「国民の怒りは沸点に達しており、ルーズな監査などを是としている党のあり方は非常に問題だ」、「女性局や青年局の問題も噴出するなど議員としての倫理観が欠如している」といった言葉を投げつけられたようです。

岸田首相 熊本で車座対話 “政治資金規正法 今国会で改正を” | NHK | 政治資金

「厳しい意見を重く受け止め、真摯(しんし)に反省し信頼回復に努めなければならないという思いを強くした。処分について意見があることは、受け止めたいが、最後は党の決定に基づいて一体で取り組むのが自民党だ。先頭に立って信頼回復の取り組みを進めたい」と首相は語ったそうですが、相変わらずというところでしょうか。

 この対話に先立ち首相は裏金事件を巡る自身の処分について、「国民と党員に判断してもらう」と発言し、与野党で反発を買ったようです。危機的な状況にもかかわらず、総裁再選や衆院解散を目指すと受け止められたことによるといいます。

岸田首相「責任は国民判断」波紋 自民反発、野党は解散要求:時事ドットコム

 当然、野党は反発し、自民党内からも「なぜ自分の責任は国民に問えば良くて、ほかの人は処分なのか。首相にはついていけない」との批判する声もあるといいます。

 さてさてどうなっていくのでしょうか。適正に政治がなされていれば、こんな事態にはならないのでしょう。孔子は言う通り良き政治ができれていれば、近隣の者が喜び、遠地の者が移ってくるようになるのだから。

 

「参考文書」

首相、TSMC工場「日本全体に波及効果」 1.2兆円補助 - 日本経済新聞

TSMC第2工場も菊陽町 魏CEOが岸田首相に表明:時事ドットコム