「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

進まない改革、日本の再生、その願いは国と企業で共有されていそうなのに

 

 サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏が経済同友会の代表幹事に就任しました。経済同友会は経済3団体のひとつで、経営者が個人の資格で参加し、自由に意見をぶつけ合うといいます。新浪氏は、経済活性化や社会課題の解決に取り組むと強調し、政策提言力を磨いて存在感を高めることを目指すと語ったといいます。

「新浪同友会」始動、「激動の今こそ変化の好機」強調 - 日本経済新聞

「日本経済の再生、改革を進める共通の目標に向け、お力添えいただきたい」と、総会後の懇談会に駆けつけた岸田首相がそう述べたそうです。一方、新浪氏は「経済はもっと民間に任せてほしい」と述べ、国内投資の活性化に向けて規制緩和を求めたそうです。同じ目標を持ちながら、その達成に向けてのアプローチが異なるということなのでしょうか。

 改革に向け、次々と政策を立案しお金をばらまく政府に対し、民間に任せて欲しいという新浪氏。過ぎたる政府に対し、及ぼざる同友会との印象を受けます。

政府の経済財政諮問会議の民間議員などを務める新浪氏は政権とのパイプが太く、政策提言力や発信力に定評がある。人への投資などを重点課題にかかげる政府と擦り合わせながら、具体的な施策に落とし込めるかが問われる。(出所:日本経済新聞

 ちょうどよい頃合いの中間を見つけ出して、日本経済が再生に向かえばいいのでしょう。

専門家も口にする改革

 日本は「何の事業で、これから稼ぐのか」を皆で考える時期に来ているという専門家もいます。半導体企業を海外から誘致することにも成功し、最近では、データセンターを日本に置く企業も増加しているとし、新たなインフラが整い、それがさらに発達していけば、あらゆる産業のデジタルシフトが加速し、国際競争力が高まるといいます。

バフェット注目で日本株に追い風 「PBR是正」で今やるべきこと | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 しかし、東証プライムに上場企業の約半数は1倍割れとなっているのが実情で、株価は一時に比べれば改善したものの、割安であることは否めず、その是正には改革が求められるともいいます。

スタートアップを盛り上げる仕組みづくりも欠かせないし、海外の優秀な人材を確保するためには、在留資格制度の充実も不可欠だ。(出所:Forbes)

 肝心要の経済をけん引するはずの企業の改革が進んでいないといことでしょうか。どう改革すればよいかがわかっていないのかもしれません。何をかえるべきか、それをどう変えていくのか、それがわからなければ、問題の解決は進まず、改革につながることはないのでしょう。「改革」という言葉尻に捕らわれているようことがあってなりません。

コンサル

 衣料品メーカのアダストリアの業績が好調のようです。

飛ぶ鳥落とす勢いのアダストリア、絶好調にみえる「秘訣」と「成長余地」、潜む「死角」とは

 ただ、「営業利益率が5%ちょぼちょぼという上場企業の平均以下の水準に甘んじており、同社のかつての栄光にくらべるとまだまだ寂しい感じです」と評するコンサルがいます。

論語に学ぶ

子夏(しか)筥父(きょほ)の宰と為り、政を問う。子曰わく、速やかならんと欲する無かれ。小利を見ること無かれ。速やかならんと欲すれば則(すなわ)ち達せず。小利を見れば、則ち大事成らず、と。(「子路第十三」17)

 弟子の子夏が筥父という地で宰相となり、政治の心構えを質問します。孔子は「成果を急がないことだ、目先の小利を求めないことだ。早く成果をと欲すれば、到達しなし、小利に目がくらむと、大きな仕事は完成しない」と教えました。

dsupplying.hatenadiary.jp

「子夏」、孔子学団の年少グループ中の有力者で、文学にすぐれ、最高の文献学者だったといいますが、「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」という言葉の「及ばざる」の人だったともいいます。

「師(子張)は多いな、商(子夏)は少ないな」

  同じく弟子の子張は、議論したときの子夏の激しい調子を批判し、孔子のゆったりと相手の意見を聞く態度を学んでいないといったといいます。また、小人の議論は、自分の意見だけが正しいと言い張り、勝ちを得ると喜びまわると言ったいいます。

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 先へ先へと急ぎ過ぎするばかりに大事を忘れているのかもしれません。求めているのは企業による持続的な経済活動によって日本が再生していくことなのですから、小利に目がくらむことなく、その改革を見守る必要もあるのかもしれません。まだ改革の端緒なのでしょう。

 子夏タイプの専門家が多過ぎるのかもしれません。そんな言葉に惑わされては本来の改革は進まず、問題も解決されず、何も変わることはないのでしょう。