Jアラートが昨日の朝再び鳴り、避難が呼び掛けられました。政府の判断が正しかったのでしょうか。北からの弾道ミサイルが落下する可能性があるとしながら、それらしきものは消失したようです。
物騒な時代になってしまったようです。
鴨長明が記した方丈記の無常観なるものを感じます。長明の時代も天災や武家による戦乱が続き、乱世だったといいます。
今もまた乱世なのでしょうか。楽観的でいられたグローバル化の時代は終焉し、力をつけた新興国が勢力を伸ばした反面、先進国と呼ばれる国々が混乱するようになったのでしょう。
批判と称賛
「欧州は米国に追従すべきでない」と訴えたマクロン仏大統領への批判が高まっています。トランプ前米大統領は「こびへつらった」と非難し、米紙からは「日米による対中抑止を害する」といった声が上がったといいます。
一方、岸田首相が米誌タイムの毎年恒例の「世界で最も影響力のある100人」の指導者部門で選ばられたそうです。
「影響力100人」に岸田首相=ゲーム開発・宮崎氏も選出―米誌タイム | 時事通信ニュース
記事によれば、防衛費増強や韓国との関係修復など「日本外交の変革に着手した」とタイムは指摘し、5月のG7広島サミットでは「復活した日本のトップとして各国を迎えることになる」と評したといいます。首相には名誉なことかもしれませんが、米紙ならではの評価のようにも思えます。
こうした米紙の報道を見ていると、世界のリーダーであることに執着する米国のいらだちのようなものを感じます。 新興勢力の動きを制御できずにいることへの焦りなのでしょうか。
論語に学ぶ
子 顔淵に謂いて曰わく、之を用うれば則(すなわ)ち行ない、これを舎(す)つれば則ち蔵(かく)る。唯 我と爾(なんじ)と是れ有るか、と。
子路曰わく、子 三軍を行(や)らば、則ち誰と与(とも)にせん、と。
子曰わく、暴虎馮河(ぼうこひょうが)し、死して悔ゆる無き者は、吾 与にせず。必ずや、事に臨んで懼(おそ)れ、謀(はかりごと)を好んで而(しか)して成す者たれ、と。(「述而第七」10)
孔子が弟子の顔淵に「自分を任用しようという者があれば、世の中へ出て活動する。しかし、認められずに見捨てられたら隠遁し、わが道を楽しむ。そうした囚われのない自由の境地、そこに到達しているのは、わしとお前だけだね」といいました。
すると、別の弟子 子路がやっかんで「先生が軍を指揮されますときは、誰とならともに行動しますか」と口を出します。
孔子は「素手で虎を捕えようとか、大河を渡渉したりして、死んでもかまわないというような者とは、一緒に仕事することはできない。仲間としたいのは、ことにあたって慎重に構え、十分に計画を練って成功するような人間だ」とたしなめました。
子路、大国を切り盛りできる才をもった人物といわれ、また勇猛果敢であったといいます。当時の大国「衛」で宰相になりますが、内乱に巻き込まれ命を落とします。
無謀な冒険のようなことはするなという戒めなのでしょう。現代もまた同じことがいえるのではないでしょうか。
日本は、子路のようになるのではなく、顔淵のように振舞える国になって欲しいものです。
下僕にあらず
英BBCによると、マクロン大統領は訪問先のオランダでの記者会見で、自らの発言の妥当性を主張したといいます。
「米同盟国は下僕ではない」 マクロン仏大統領、台湾めぐる発言の正当性を主張 - BBCニュース
(アメリカの)同盟国であることは下僕になることではない。(中略)自分たち自身で考える権利がないということにはならない」(出所:BBC)
また、台湾の「現状維持」を支持するフランスの立場を変えるつもりはないと言明し、「一つの中国政策と、事態の平和的解決の模索を支持する」と述べたそうです。
対立からは距離を取り、賢者のように振舞って平和的な解決に貢献すべきなのでしょう。
「無常」、この世には常なるものはない。一切のものは生滅流転して、永遠不変なるものはないといいます。人生ははかないものとの意味もあるといいます。こうしたことを知った上で、賢人のように振舞えるのが理想なのかもしれません。
「参考文書」
台湾問題「米と理想共有」 批判受け火消し―仏大統領:時事ドットコム