「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【最後の演説】ニュージーランド アーダーン前首相が示した美徳

 

 台湾問題について語ったマクロン仏大統領が欧米の有力メディアから批判を受けているそうです。世界平和を願っての発言かと思っていましたが、「中国への抑止力を損ねる」とか、「習主席への接近はロシアのウクライナ侵攻前にプーチン大統領へ接近し、失敗したことをほうふつとさせる」などと批判的な意見があったといいます。

台湾情勢「最悪なのは米中に追随」仏マクロン大統領発言が波紋 | NHK | 中国・台湾

 記事によれば、閣僚が釈明に追われる事態となっているそうです。ルメール経済相は、「アメリカと中国のライバル関係に乗せられるのではなく、ヨーロッパの独立を築きたいのだ」と発言の意図を説明したといいます。

 何かを為そうとすれば、批判はつきものです。その批判を受け入れて、それに対応できれば、理解が促進され、為そうとしたが成るようになるような気がします。

批判と非難

 ニュージーランドの首相だったジャシンダ・アーダーン氏の退任のスピーチが報じられています。

 卓越したコロナ対応、差別、銃規制、人工妊娠中絶、賃金の公平性、ワーキングマザーなど、数々の功績を残したアーダーン氏でしたが、在任中にはいまわしい誹謗中傷や脅迫、様々な口撃があったそうです。

「心配性でも、繊細でも、泣き虫でも、リーダーになれる」──NZ元首相ジャシンダ・アーダーン、最後のスピーチと数々の名言をプレイバック | Vogue Japan

なぜ今、私が辞める決断をしたかと言うと、このような特権的な役割には責任が伴うからです。そこには、自分が指導者としてふさわしいかどうか、またそうでないかを見極める責任もあります。私はこの仕事に必要なものが何かをよく理解していますし、今の私のタンクには、その責任を負う十分な力がないことも。でも私の周りには、その力を持っている人たちがいることを確信しています。私たちはこれまで多くのことを、ともに成し遂げることができたから(出所:Vogue)

 どの国においても、誹謗中傷のような行為があるようです。建設的な批判であれば、その意見は活かされることもあるのでしょうが、度が過ぎれば、それは非難されるべきです。

 ジャシンダ・アーダーン、彼女は「思いやり」「強さ」「共感」「喜び」を残し、人々にそれを与えてくれたと、記事は指摘し、そのエピソードを紹介しています。

論語に学ぶ

子貢(しこう)問いて曰わく、一言にして以て終身 之を行なう可き者ありや、と。子曰わく、其れ恕(じょ)か。己の欲せざる所は、人に施すこと勿(なか)れ、と。(「衛霊公第十五」24)

 弟子の子貢が「生涯、行なうべきものを、一字で表せましょうか」と質問した。孔子は「それは、「恕」思いやりか」と答え、「自分が他人から受けたくないことは、他人にもしないことだ」と教えました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 孔子の言葉と、アーダーン氏の言動がだぶっているように感じます。

 時々のリーダーによって、その国のあり様も変わるのでしょう。日本もそうあって欲しいものです。極端、偏りを基準とすることなく、より良い方向へと歩むことができる国になればと願わずにいられません。

リーダーシップ

リーダーシップとは常に進歩のことであり、それを測ることができるときもあれば、できないときもある」「私がここで何をしたにせよ、決して1人でやったわけではない。(出所:Forbes)

 Forbesによれば、アーダーン氏は最後の演説でやり残したことを語り、次世代のリーダーたちにその仕事を引き継ぐようメッセージを送ったといいます。

希望

 東京大学の入学式が開かれ、藤井輝夫総長が式辞を述べ、「ChatGPT」や「多様性」について言及したそうです。

東大総長、入学式でChatGPTに言及 「経験学習が重要」:朝日新聞デジタル

「AIやロボット技術の進化した時代の大学教育では、創造性を育む基盤として経験学習が重要である」と述べ、また、ジェンダーや多様性については「多様な考えや価値観に触れるなかで、新たな自分に気がつくこともイノベーションであり、みなさんには、そうした気づきを学生時代にたくさん実感してほしい」とエールを送ったといいます。

 まだ希望はありそうです。日本でアーダーン氏のような美徳を示すことができるリーダーが誕生する日はいつになるのでしょうか。

 

「参考文書」

「ありのままの自分で」NZ前首相の最後の演説から学ぶリーダーシップ | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

NZ次期首相、アーダーン氏が在任中に受けた中傷や脅迫を非難 - BBCニュース