「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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【其れ恕か。己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ】Vol.402

 

子貢(しこう)問いて曰わく、一言にして以て終身 之を行なう可き者ありや、と。子曰わく、其れ恕(じょ)か。己の欲せざる所は、人に施すこと勿(なか)れ、と。(「衛霊公第十五」24)

 

(解説)

子貢が質問した。「生涯、行なうべきものを、一字で表せましょうか」と。孔子は答えた。「それは、恕だな。自分が他人から受けたくないことは、他人にもしないことだ」、と。論語 加地伸行

 

 子貢、本名を端木賜(たんぼくし)といい、孔子より32歳年少。孔門十哲の一人。「言語に宰我(さいが)、子貢」(「先進第十一」3)と言われるように、弁舌にすぐれた秀才で、利殖の道にもたけて孔門第一の金持になったという。 

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  その子貢が、「我 人の諸(これ)を我に加うるを欲せざるや、吾も亦(また)諸を人に加うること無からんと欲す」というと、孔子は「賜(し)や、爾(なんじ)の及ぶ所非(あら)ざるなり」と返し(「公冶長第五」12)、軽くたしなめた。 

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己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ

子貢に身に着けることができなかった徳なのだろうか。

「夫れ仁者は、己立たんと欲すれば人を立つ。己達せんと欲すれば人を達す。能(よ)く近くに譬(たと)えを取るは仁の方と謂う可きのみ」(「雍也第六」30)と、孔子は子貢に教える。 

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  その孔子は、「吾が道は一以て之を貫く」といい、この言葉を曾子が門人たちに、「夫子の道は、忠恕のみ」と教える。(「里仁第四」15) 

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「恕」、思いやりのこと。

 

 今、このコロナ渦の時代に問われている一字なのかもしれない。

 

  

「己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ」

 この言葉も求められているのだろう。

 

 同じ言葉が、「顔淵第十二」2にも登場していた。

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 (参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫