「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【朋友には切切偲偲、兄弟には怡怡たれ】 Vol.332

 

子路(しろ)問うて曰わく、何如ぞ斯(すなわ)ち之を士と謂う可き、と。子曰わく、切切偲偲(せつせつしし)、怡怡如(いいじょ)たる、士と謂う可し。朋友(ほうゆう)には切切偲偲、兄弟には怡怡たれ、と。(「子路第十三」28)

 

  (解説)

子路が質問した。「どういうのをできる士と言うのでしょうか」と。孔子はこう答えた。「懇々と心をこめること、にこやかであること、これがそろえば、できる士だ。友人には懇々と心をこめてつきあい、兄弟にはにこやかであることだ」と。論語 加地伸行

 

子路第十三」20で、子貢が「士」について同じ質問したが、孔子の答える内容は異なる。

「己を行なうに恥ずる有り。四方に使いして、君命を辱(はずかし)めず。士と謂う可し」と。

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 子貢と子路の性格を踏まえてのアドバイスということであろうか。対比するとおもしろい。 

 由(子路)は果断。賜(子貢)は達、物事の道理に明るいこと

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子路」、本名は仲由、子路は字名。顔回(顔淵)とともに「論語」の二大脇役と桑原はいう。子路は晩年、衛の国に仕えるが、内乱に巻き込まれ殺される。  

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 「士」、曾子は、「士は以て弘毅ならざる可からず。任 重くして道 遠ければなり。仁 以て己が任と為す」(「泰伯第八」7)という。 

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「弘毅」とは、大らかで強い意志を持つこと。士の任務は、仁の達成とする。

 

 徳川家康は、この章をふまえて遺訓を遺したと桑原はいう。

「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし、急ぐべからず.....」

 家康も「仁」の達成を己の任務としていたのだろうか。 

 

 (参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫