「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【国葬】割れた世論、早くも政局との見方も

 

 功績を歴史に刻んだところで、時は流れ、その功績もどこで評価が変ることもあるのでしょう。

自分がどんなに偉いと思っても、悠久の時の流れの中では、人は時空間の立体スクリーンに映し出される小さな輝点のひとつにすぎない。(引用:「なぜ真のリーダーがいないのか」リーアイアコッカ

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 元総理の国葬が開催され、管前総理が友人代表として追悼の辞を読んだといいます。

安倍元首相の国葬、菅前首相「あらゆる苦楽ともにした」: 日本経済新聞

 故人への弔いの意が伝わってきます。この国葬について色々といわれていますが、形式にこだわらず、弔いの場とすればよかったのではないかと痛切に感じます。

 改めてご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

 歴史上に名を残す偉人でさえ、功罪、「功」と「罪」があるのでしょう。完璧な人などいないのだから。

吉田茂

 日本国憲法の制定に尽力し、サンフランシスコ平和条約の締結を導き、米軍による占領体制を終わらせ、日本の主権回復に尽くした人です。

 戦前、戦中は親英米派として嫌われ、防共協定および日独伊三国同盟にも強硬に反対していしました。太平洋戦争の開戦阻止に動き、開戦後も和平工作したり、日本の敗色が濃くなると、終戦策を画策しますが、それが露見して憲兵隊に拘束され、投獄の身となります。しかし、この投獄が幸いとなって、戦後「反軍部」としてGHQの信を得ることができたとも言われています。

 占領下から主権回復に至ったのは、吉田の功績といっていいのでしょう。

 日本の独立回復を花道として、白洲次郎などが退陣を勧めたといいますが、吉田はこれを聞き入れず、政治の世界に残ります。支持率も高かった吉田内閣でしたが、その後鳩山一郎のグループとの抗争や度重なる汚職事件を経てやがて支持率が落していったそうです。最後は内閣総辞職し、当時の自由党の総裁も辞任したといいます。

 吉田茂の功罪が戦後日本の始まりになったのでしょう。

 

 

早くも

「今の議員の多くは、選挙で勝てるかどうか、自分が大臣になれるかどうかにばかり頭が行く。だから、国葬安倍氏の業績をアピールする場にしようと考える。当然、世論は分裂する。世論や野党から、国葬反対だと言われると、(自民党の党利党略だという)自分の意図が見抜かれるのが嫌だから、(反対する人々に)黙って弔意を示せないのかと逆ギレする」と自民党のベテラン議員が話しているといいます。

民主主義の誓いをする場にならず、どこで間違えた安倍晋三元首相の国葬 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 残念なことです。そし、早くも自民党内では、来春の統一地方選で勝利できるかどうかに関心が集まっているといいます。

「岸田首相では戦えない」という声が高まれば、政局になっていくという見方も出てきているそうです。「目先の選挙しか考えない議員が増えすぎた」とベテラン議員は嘆いているといいます。

勇者

 その国葬では、岸田首相が葬儀委員長として「追悼の辞」を述べました。安倍氏を称え、その後継者は自分と主張したかったのでしょうか。

岸田文雄首相「追悼の辞」全文 安倍晋三元首相の国葬: 日本経済新聞

 また、「勇とは義(ただ)しき事をなすことなり」、Courage is doing what is right. 安倍さん。あなたこそ、勇気の人であったと語っていました。

 弔辞にケチをつけるべきではないと思いますが、少々勇気の言葉の使い方が気になりました。

ほんとうの勇気とは、進んで交渉のテーブルにつくこと、そして話し合うことである。(引用:「なぜ真のリーダーがいないのか」リーアイアコッカ

 首相にも、そんな勇気を持って欲しかったと思います。次の国会では首相も逃げず、独善となることはさけ、正々堂々と議論に挑んでもらいものです。割れた世論を修復する役目を忘れ欲しくはないものです。

 

 

論語に学ぶ

徳有る者は、必ず言有り。言有る者は、必ずしも徳有らず。仁者は必ず勇あり。勇者必ずしも仁有らず。(「憲問第十四」4)

 徳のある者であれば、その言葉はきっと優れている。しかし、いいことを言う者が、必ずしも徳をもっているとは限らない。仁に尽くす人であれば、必ず勇気がある。しかし、勇者は、必ずしも仁という徳をもっているとは限らないと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 リーアイアコッカがいう、「違いを乗り越えて話し合うことが真の勇気」に通じるものがあるのでしょうか。

 

「参考文書」

菅義偉前首相「追悼の辞」全文 安倍晋三元首相の国葬: 日本経済新聞

安倍氏の国葬、執り行われる 賛否が割れる中で - BBCニュース

「国葬めぐり、なぜ日本が分裂?」 海外メディアが相次ぎ報道 [国葬]:朝日新聞デジタル

安倍元首相国葬 会場の武道館付近で献花に訪れた人と反対派による乱闘騒ぎが勃発/芸能/デイリースポーツ online