「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

日本が危ない、出生率の低下は国を亡ぼすと警鐘を鳴らすイーロン・マスク

 

「当たり前のことを言うようだが、出生率が死亡率を超えなければ、日本はいずれ消滅するだろう」と、イーロン・マスク氏がツイッターでつぶやき、「世界にとって大きな損失になる」と警鐘を鳴らしたそうだ。

「日本はいずれ消滅する」イーロン・マスクが警鐘 | Mashup Reporter

 記事によれば、日本ばかりでなく、出生率の低下を嘆き、それによって生じる未来を憂い、一方で、人類が長寿を追求することには反対の見方を示しているそうだ。

「年長者が多いと、社会に閉塞感を生む。なぜなら彼らの大半が考え方を変えないというのが真実だからだ」と理由を語った。「人々が死ななければ、われわれは古い考えに埋もれ、社会は進歩しなくなる」と主張した。(出所:Mashup Reporter)

 一理はあるのだろう。やはり若い世代が希望をもち、将来不安が解消されなければ、社会がよい方向に向かうことはないのだろう。

 

 

論語に学ぶ

君子に三戒(さんかい)有り。少(わか)き時は、血気未だ定まらず。之を戒(いまし)むるは色に在(あ)り。其の壮なるに及びては、血気方(まさ)に剛(つよ)し。之を戒むるは闘(たたか)いに在り。其の老ゆるに及びては、血気既に衰う。之を戒むるは得に在り。(「季氏第十六」7)

孔子は、君子には三つの戒めがあるという。

 青年期は血気、生命力がさかんの上、身体の欲求が不安定で動物的である。それ故、その性欲を戒めよ。壮年期は血気、気力、活力がみなぎり、身体の欲求が盛んであるので他者の負けまいとする。闘い、その競争欲を戒めよ。老年期は血気、身体の欲求も衰え失うことを恐れる。それ故、物欲に走りがちになる。その利得を戒めよ」と意味する。

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 血気を無駄な方向で浪費するのでなく、正しい方向に向けよということなのだろうか。

 

 

 イーロン・マスクが「年長者の大半が考え方を変えない」と指摘するが、それはどこかの国の大統領のことをいっているのだろうか。孔子の戒めのように、年甲斐もなく、競争心を強くしたり、自身で何かを得ようとする気持ちが強すぎているのだろう。すべきことは若い世代が自由闊達に活動し、国の活力を向上させる方向に仕向けるほうが遥かに有益なのだろう。

「益する者の三楽(さんらく)あり。損(そこ)なう者の三楽あり。礼楽(れいがく)を節するを楽しみ、人の善を道(い)うを楽しみ、賢友(けんゆう)多きを楽しむは、益するなり。驕楽(きょうらく)を楽しみ、佚遊(いつゆう)を楽しみ、宴楽(えんらく)を楽しむは、損なうなり」(「季氏第十六」5)。

「有益な楽しみに三種、有害な楽しみに三種ある。正統な礼楽のほどよきことを楽しみ、他者の善行や美点を褒めることを楽しみ、賢明な友人が多いことを楽しむ、これは有益である。しかし、贅沢な楽しみ、気ままに遊びに熱中しての楽しみ、酒色に溺れての楽しみは、有害である」と意味する。

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 社会活動の最低単位は家庭ではなかろうか。贅沢な遊びに興じ、気ままにそれに熱中しするようになれば浪費ばかりとなってしまい、家庭生活が崩壊しかねない。ほどほどをわきまえ、家族みなが尊重し合い、助け合い、家庭生活が正しいものになれば、社会もまた正しい方向へ向かっていくのではなかろうか。国が活力を取り戻すには、これしかないのかもしれない。