「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

欧州から訪日する要人たちと新たな国際秩序の礎を築けるか

 

 欧州の要人たちが続々と来日するという。EUのミシェル大統領に、フォンデアライエン委員長、北欧フィンランドのマリン首相、このうちミシェル大統領は被爆地 広島を訪問、演説するという。

 外交努力の成果なのだろうか。EUは、価値観を共有するパートナーと再確認する重要な機会になるといい、また、フィンランドのマリン首相も、民主主義や法の支配など同じ価値観を共有しているとし、2国間関係をさらに強化したいと述べているという。

 国際情勢の変化の影響もあろうが、ヨーロッパとの距離が縮まったのではなかろうか。ここ数年見られなかった変化にも感じる。新たな国際秩序の礎を築いていくきっかけになるのだろうか。

 

 

論語に学ぶ

詩に興り、礼に立ち、楽に成る」(「泰伯第八」8)と孔子はいった。

詩を朗誦して感動を覚え、礼法をもって世の規範を身につけ、それを基盤として、音楽の調和に従うことで、均衡のとれた生き方が完成すると意味する。

dsupplying.hatenadiary.jp

 論語では、音楽を「中和の徳」「中庸の徳」に合致するとし、音楽が乱れれば、それを正していけば、必然礼の形も整うともいう。

 伊藤仁斎は、「音楽は聞く者の心のけがれを洗い流し、かすを融かしきって、正しい人間性に到達させる、これがもっとも美しい音楽だ」と「述而第七」13で解説した。

 論語で語られる音楽は、「楽(らく)」、「楽しむ」ということに行きつくような気がする。

 軍事パレードに勇ましい音楽では疲れてしまう。国と国の関係には、論語で語られる音楽の精神が求められていないだろうか。

 

 

 国際情勢の影響なのだろうか、 政権与党で防衛議論が活発になっている。影響力のある最大派閥の長は、活発に活動し、あれやこれやと防衛力増強を説いては人々を惑わしている。

 元自民幹事長の古賀誠氏は、「国際的な緊張が高まると、『保守の右』の人はこれまでも、そう動いてきた。一番心配したことが起きている」と、核共有に釘を刺す。

元自民幹事長の古賀誠さん、憲法9条は「戦争の反省と非戦の決意」(中国新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

 古賀氏は憲法9条には「戦争の反省と非戦の決意が込められている」という信念があるのだろうか。

国連平和維持活動(PKO)への自衛隊参加を可能にした92年のPKO協力法の採決では「9条に針の穴も開けてはいけない」と議場を退席。イラク自衛隊を派遣する2003年の特別措置法の採決でも「米国が根拠なく始めた戦争だ。大事な自衛隊をなぜ出すのか」と議場を去った。(出所:中国新聞デジタル

 自民党が議論する、敵基地を攻撃する能力「反撃能力」や防衛費の増額について、「軍拡競争が始まったら戦時に戻る。外交以外に平和を保てない」と信じて疑わないそうだ。

「理想論だと言う人もいるが、何が悪い。理想を実現するのが政治の役割だ」と述べているという。

 防衛費が2%に増額となるのなら、米国と中国に次ぐ規模になり、憲法が掲げる平和主義の理念が一層、形骸化すると専門家は懸念していると、東京新聞は報じる。

防衛費増へ自民がGDP比2%案 ウクライナ侵攻受け 達成なら米中に次ぐ規模 平和主義の形骸化に懸念:東京新聞 TOKYO Web

「もし中国による台湾有事が数年後に起きて日本にも危機が迫った時に、何も準備していませんでしたでは済まされない。部隊や装備の充実を急がないといけない」との声が自民党にあるという。

 望まない未来を想定し、防衛力を強化するのはどうなのだろうか。それよりも不戦の誓いをもとにした外交をもっと活発化させるべきではなかろうか。

 

 

 孔子の弟子の子貢が「管仲(かんちゅう)」は仁者ではあるまいとの意見を述べると、孔子は、「管仲桓公を相け、諸侯に覇たらしめ、天下を一匡(いっきょう)す。民 今に到るまで、其の賜(たまもの)を受く。管仲微(な)かりせば、吾其れ髪を被(こうむ)り衽(じん)を左にせん.....」(「憲問第十四」17)と答えたという。

管仲桓公を補佐し諸侯の覇者たらしめ、諸侯をして周王室を尊崇せしめた。そのように武力を使わず、平和になったことで、民は今に至るまでその恩恵を受けている。もし管仲がいなかったならば、外国から侵略され、その国の慣習を押しつけられ、髪は結ばずさんばら髪となり、衣服も左前に着ることとなったであろう。それが管仲が成し得たことで、それは大業である......」と意味する。

dsupplying.hatenadiary.jp

 今起きてしまったことは対処するしかない。ただ未来は、そうした起きて欲しくないことを想定して準備をするのではなく、起きて欲しくないことを起こらないようにしていくのが務めではないだろうか。

 安易な行動は責任の放棄でしかない。そんなことでは、理想が実現できないどころか、真に国を守ることもできないのだろう。それが現下の国際情勢で学ぶべきことではないだろうか。

 

「参考文書」

「平和主義を志に政界へ、9条は後世へつなぐ」 自民党宏池会名誉会長、古賀誠さんインタビュー(上) | 47NEWS

(社説)日欧首脳外交 多角的な連携築く時だ:朝日新聞デジタル

EU首脳が来週訪日 岸田首相と会談 被爆地 広島訪問も | NHK | EU