アウトドア大手のスノーピークの山井梨沙社長（34）が辞任しました。既婚男性との交際、妊娠を理由に、本人から辞任を申し出たことによるといいます。
スノーピークは、「本件を厳粛に受け止め、深く反省するとともに、関係者の皆さまに心よりおわび申し上げる」とホームページで謝罪したといいます。
梨沙氏は、創業家3代目として2020年3月に社長に就任、アパレル事業を立ち上げるなど、企画開発全体の責任者として成長を牽引してきたといいます。
残念なニュースです。
ENEOSホールディングスの元会長だった杉森務氏の辞任理由が明らかにされました。
ENEOS前会長の辞任、女性への「不適切な言動」で: 日本経済新聞
女性に対する「不適切な言動」があったとの報道を受け、会社が発表、「人権尊重、コンプライアンス徹底を経営の最優先事項と位置づけており、元会長がこれに背く行為を行ったことは極めて遺憾」とコメントしたといいます。残念なニュースが続きます。
注目されていた企業だけに残念なことです。優れたリーダーシップで企業を牽引していた人物もまたひとりの人間であったということなのでしょうか。
論語に学ぶ
君子に三戒（さんかい）有り。少（わか）き時は、血気未だ定まらず。之を戒（いまし）むるは色に在（あ）り。其の壮なるに及びては、血気方（まさ）に剛（つよ）し。之を戒むるは闘（たたか）いに在り。其の老ゆるに及びては、血気既に衰う。之を戒むるは得に在り。（「季氏第十六」7）
「君子には三つの戒めがある。青年期は血気の使い方が定まらず、身体の欲求が不安定で動物的である。その性欲を戒めよ。壮年期は血気盛んで、身体の欲求も盛んであるので他者の負けまいとする。その競争欲を戒めよ。老年期は血気が衰え、身体の欲求が衰え失うことを恐れる。その物欲（金銭欲）を戒めよ」と意味します。
「血気」とは、気力。生き生きとした生命力。また、活力がみなぎっていることを意味し、むこうみずなさま、はやる心をおさえきれない様子との意味もあります。自分の気力、意気などのあるにまかせた気持や行動ともとれます。
孔子が指摘した「性欲」「競争欲」「物欲（金銭欲）」は、人間がもつ根源的な欲望であって、ときに激しい衝動となって行動に現れるということなのでしょう。それ故、これらを適切に処置消化し、自分の意識下でコントロールする必要があるのでしょう。
また、それが抗し難いほどの誘惑でもあるので、倫理によって説かれ、時に法規制の対象にもなるのでしょう。
若き時は、血気内(うち)に余り、心、物に動きて、情欲おほし。身を危（あやぶ）めて砕け易きこと、珠を走らしむるに似たり。美麗を好みて宝を費し、これを捨てて苔のたもとにやつれ、勇める心盛りにして、物と争ひ、心に恥ぢ羨み、好む所日々に定まらず。色に耽り情にめで、行ひを潔くして百年の身を誤り、命を失へたるためし願はしくして、身の全く久しからんことをば思はず。好けるかたに心ひきて、ながき世語りともなる。身を誤つことは、若き時のしわざなり。（出所：徒然草）
徒然草においても血気についての行があります。
「色欲に溺れ、情に流され、思い切りのよい行動をして先の長い将来を台無しにし、命を失うような例に憧れて、我が身の安全や長命のことを考えない。そうして、好きな事にのめり込んだあげく、長く世間の噂の種になってしまう。身の破滅は、まさしく若気の至りである」と意味するといいます。
「性欲」など人間の情欲を正しく理解し、そのコトンロールのしかたを知り、その力を他に向ける方法を学ぶ必要があるのでしょう。こうしたことを身につけてこその君子 人徳者と言えるそうです。
Wikipediaによれば、ギリシア語には「愛」を表現する言葉が、基本的に四つあるといいます。「エロス （性愛）」 、「フィリア（隣人愛）」 、「アガペー （自己犠牲的な愛、無償の愛）」 、「ストルゲー（家族愛）」といいます。
「エロス」は古代ギリシアにおける神聖な神であり、また「性愛」や「肉体の愛」を意味するそうです。エロスは、女性の生殖は神秘であり驚異であり、神聖なものであった為、神と見做され、それ故、生殖の前提となる肉体の交渉での愛を必ず含意したといいます。情欲的な愛、自己中心的な愛を意味し、「アガペー」とは逆の意味といわれます。
人間の本能、根源にかかわることは難しい問題です。世の常識に照らし適切にセルフコントロールしていかなければならないのでしょう。
「参考文書」
ENEOS会長、電撃辞任の理由は”壮絶”性加害だった 「胸を触り、キスを強要」被害女性は骨折 | デイリー新潮
