「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

長引く問題解決、続く物価高騰、進まないそごう・西武の売却

 米国の6月のCPI 消費者物価指数の伸びが鈍化し、日本の物価上昇率が米国を上回ることになりました。積極的にインフレ退治に奔走した米FRBと、あくまでも好循環を指向し政策の現状維持を続けてきた日本銀行、その行動の差が現れたということでしょうか。その上、足元では日銀の設定した物価目標の超過状態が続いています。

 次回の日銀の金融政策決定会合で、植田総裁が物価の見通しと政策の整合性をどう説明するかに焦点が集まるといいます。政治色を排して、良識に則った説明であって欲しいものです。

好循環にある「好」の意味は何か? ~メカニズムには2つの顔がある~ | 熊野 英生 | 第一生命経済研究所

 いまだ悲観バイアスが根強く、それを楽観バイアスに変えていくことが課題と記事は指摘しています。現実の景気はどうなのでしょうか。企業、国民のマインドが変えることができれば、景色の見え方が変わることはないのでしょうか。

 

 

 セブン&アイ・ホールディングスが経営改革を進める中、傘下の百貨店そごう・西武の売却手続きが、西武池袋本店を巡って、地元豊島区やそごう・西武労働組合が反対の立場で示し、滞っていました。この件について、ヨドバシホールディングスが西武池袋本店1階主要部分など低層部への出店を断念する方向で最終調整に入ったといいます。

そごう・西武、売却前進も 池袋店低層部、ヨドバシ断念:時事ドットコム

 譲歩する姿勢を示すことができれば、売却手続きを前進させる可能性が出てきたといいます。この改装案に豊島区やそごう・西武労働組合などの賛同を得られるかが今後の焦点となるそうです。

 周辺に競合の大型店がひしめく激戦区で、ヨドバシは譲歩してでもターミナル駅直結という好立地を得たい考えているようだといいます。

 貪欲に自社の利益を優先しようとするモデルの限界のようにも映ります。ビジネスが成立するはずの地域のこと、またそのビジネスを支える従業員の期待を裏切っては活気ある売り場の維持も難しくなりそうです。

 何かを変えるときではないでしょうか。批判、反対の声を受け止めて、真摯に対応するとき、新しい何かが生まれ、そこから好循環が始まるのかもしれません。

 

 

論語に学ぶ

司馬牛(しばぎゅう)君子を問う。子曰わく、君子は憂えず懼(おそ)れず、と。曰わく、憂えず懼れざれば、斯(すなわ)ち之を君子と謂うか、と。子曰わく、内に省みて疚(やま)しからざれば、夫(そ)れ何をか憂え何をか懼れん、と。(「顔淵第十二」4)

 弟子の司馬牛が「君子」とは何でしょうか、と質問しました。孔子は「君子(教養人)は、何も憂えず何も懼れないのだ」と答えます。すると司馬牛は「何も憂えない、何も懼れなければ、それがすぐさま君子でありますか」と問います。孔子は「己の心を省みて少しもやましいところがなければ、一体何を憂え、何を懼れることがあろうか」と教えました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 うまくいっていないとの気づくことは、何か変えるときのサインではないでしょうか。自分自身を省みて、まったくやましいことが無いのなら、ものごとがうまくいかないということはないはずです。自己の利益を優先したりするから、やましさを感じるのでないでしょうか。

 

 

相手の立場に立って物事を考える」。どんなビジネスにとっても必須の構えであることは言うまでもありません。商売はまず相手をもうけさせなければ話になりません。相手をもうけさせて初めて自分がもうかります。(出所:日経BOOKプラス)

 批判したり、反対するのは自分の便益が確保できず、逆に奪われることを危惧するからなのでしょう。奪うのでなく、与えることができて、相手の立場になれるということなのでしょう。

 上手くいく人とそうでない人の決定的な差はそこにあるように思えます。普段はその差に気づくことないのかもしれませんが、壁にぶつかるとかうまくいかなくなった時、顕著にその差が現れるようです。

 

「参考文書」

6月の全国消費者物価3.3%上昇に伸び拡大、電気代・食品値上げで - Bloomberg

天正遣欧少年使節に見る経営グローバル化の本質 | 日経BOOKプラス