年の瀬、激動の2022年も暮れようとしています。国の予算も大筋で固まり、新年に向けての準備も進ます。来年はよい年であることを期待したいものですが、期待してもよいでしょうか。何か波乱含みのような気もします。
ふくれ上がる国家予算に、増すばかりの国民負担にとほほとなります。防衛費増額、子ども予算倍増、どれもこれも必要なのかもしれません。お金をかけて解決すればよいのですが、これまでの実績を考えれば、どうにもあまり期待が持てそうにありません。
何かが間違っているのでしょう。何を正させば、良くなるのかがわからずに猛進していてはいずれ破綻します。現状維持できればマシというところでしょうか。それではいつまでも期待に応えることがないのでしょう。
注目されるOODAループと従来のPDCAサイクル
変化の激しい時代になって「OODAループ」と呼ばれる意思決定の方法が注目されているそうです。
解説書なりをながめてみると、その概要や手順、PDCAサイクルとの違いが解説されています。論理思考を養うためには、必要なことなのでしょう。
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国にしろ企業にしろ年間予算を立案し実行することはまさにPDCAサイクルを回すことといっていいのでしょう。このサイクルが適正に回っていれば、予算が達成され、期待効果を得ることができるはずです。
歳出計画は予算通りに実行できているのに期待効果を得ることがない、これがまさに今の国の状態なのかもしれません。
通常の事業予算であれば、四半期毎にC:チェックの工程を通り、予算が見直されたりします。予算進捗を確認し、問題があれば対策を施して、A:アクションして年間予算の必達に向かいます。この一連のPDCAサイクルの各過程において、実は「OODAループ」が回っているはずで、回っていなければ、計画を作ることはできず、チェックすることもできません。
事業計画や戦略を練る場合、徹底的な現状を分析し、その結果から仮説を立て、仮説検証し、意思決定を行います。仮説の立案では、最適なフレームワークを駆使し論理性高め、仮説の精度アップも図られたりするのでしょう。また、こうした一連のループを回することは実はどこかで「Act」が伴っているはずです。そうでなければ、精度の高い計画を作ることはできません。
よく言われることですが、(実行性の高い)計画ができればもう半場達成されたと同じと言われるのですから。
精度の高い仮説構築のために
たとえば今回の防衛費の増額などをみれば、それがよくわかることだと思います。国家予算の計画プロセスで「OODAループ」が回り、関係部門とのネゴが成立して、予算案が決定されていきます。
ただ防衛費においては、「観察・現状分析」と「状況判断・仮説」の精度がどうなのかとの疑問があります。いずれにせよ、この時点で問われるのが着眼点です。一般に、そこには経験知、アート的な才覚が求められます。この才覚は経験と学習によって、その性質が異なります。
政治において、同じ政党の政権が長く続けば、同じよう政策が長く続くということからいってもそうなのでしょう。
論語に学ぶ
学びて思わざれば、則ち罔(くら)し。思いて学ばれば、則ち殆(まど)う。(「為政第二」15)
知識や情報をたくさん得ても思考しなければ、どうして生かせばいいのか分からない。逆に、思考するばかりで知識や情報がなければ、一方的になり、独善的になってしまうと意味します。
日本に求められるリーダーシップ
「一党支配が続く日本の強みは、リーダーシップの一貫性だ。また、日本は少子高齢化先進国として、世界の手本になれる」と、「世界10大リスク」の発表で知られる米コンサルティング会社ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長が述べ、期待を寄せているそうです。
イアン・ブレマーに聞く「世界が求める日本のリーダーシップ」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
期待に応えることはできるのでしょうか。こうした声にも真摯に耳を傾けないと、正確な「観察・現状分析」はできないのでしょう。よく言われることですが、こうした声の中に正解があるといわれます。
期待とは、そうできていないことを指摘し、将来それが実現するように心待ちに待つことなのですから。
「参考文書」
「防衛の方が先にいっちゃった」 子ども予算倍増への道筋は?小倉こども政策担当大臣に問う | TBS NEWS DIG
変化に強い「OODAループ」とは?「PDCAサイクル」との違い|ものづくりの現場トピックス | キーエンス