「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【国葬と弔問外交】引き継がれる遺志は何のため、社会をおき去りにしていないか

 

 弔問外交が始まったようです。「国葬」翌日の28日まで続くといいます。岸田首相は一連の会談を通じて、「安倍元首相の外交的遺産を受け継いで、発展させる意思を内外に発信したい」としてるそうです。

 安倍氏の政策を是としているのでしょうか。盲信、過信は禁物のような気がします。

国葬への国民の反対が多いから一生懸命やっているように見える。弔問外交が自己目的化するのはおかしい」と、日本維新の会共同代表の吉村大阪府知事が語ったそうです。

弔問外交「おかしい」 維新・吉村洋文共同代表: 日本経済新聞

国葬に主要7カ国(G7)の首脳が全員欠席することなど参列者の顔ぶれに注目が集まっている状況への所感を問われると「弔問外交が自己目的化するからそういう質問が出てくる。弔意をもって静かに見送るのが本来だ」と指摘した。(出所:日本経済新聞

 国連総会に出席したばかりなのに.... 色々な勘ぐりがあって当然なのでしょう。

「弔意をもって静かに見送る」、そうあるべきなのでしょう。国葬という形式でなく、偲ぶ会、お別れ会であれば、首相の評価ももう少し違ったになったのではないでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

礼の用は、和を以て貴しと為す。先王の道は斯(これ)を美と為す。小大之に由れば、行われざる所有り。和を知りて和すれども、礼を以て之を節せざれば、亦(また)行なう可(べ)からず。 (「学而第一」12)

礼式・作法の実行においては、「和」なごやかであることが大切である。先王、古代においても、これを善しとし、美としてきた。「和」が基本だが、なごやかに過ぎれば、親しみ過ぎて狎れあいとなり「なあ、なあ」主義になりかねず、礼式・作法が乱れてしまう。

 和を知りて和す、なごやかさを活かすにしても、礼式・作法の正しさを忘れず、また形式主義にならぬよう、節度をよくしていかなければ、礼式・作法は崩れてしまうと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 故人を丁重に送りたいと願うのは当然のことなのでしょう。それでも節度を保ち、礼に従った儀式となれば、和となり、儀礼になるということなのでしょう。

 それ故、先人、先の内閣も和を貴び、華美な儀式になることを慎んできたのでしょう。

 

 

アベノミクス」に対し、識者たちが評価しています。

 故安倍元首相の経済政策のブレーンを務めた本田元内閣官房参与は、デフレマインドを払拭し、持続的な経済成長を実現することがアベノミクスの目標だったと語り、物価目標達成が見通せるようになれば、規制改革による競争促進や成長の基盤となる政府投資の実効性が高まることを目指していたといいます。

成長実現へ方策は 日本経済に試練―識者に聞く:時事ドットコム

 超円高の是正や株価上昇、企業の利益拡大、雇用改善など効果は出したが、物価や賃金上昇では道半ばでまだ成果が出ていないとの認識を示しています。

 一方で、金融は限界まで緩和しているが、企業部門はなお貯蓄超過という異常な状態で、財政出動が決定的に重要との見解を示し、「真水」の投入で、民間投資が誘発されることを期待しているようです。

財政の持続性を確保するためにこそ経済成長が必要で、そのために財政出動が不可欠だ。国債の利払いを経済成長が上回っている限り、プライマリーバランス基礎的財政収支)が赤字でも財政は改善する。経済成長によって、債務残高の相対的な規模を落としていくのが王道だ。(出所:JIJI.com)

 こうすればこうなるはずとの仮説に問題があるのではないでしょうか。長く続けても道半ばであるのなら、今一度現状を正しく認識し、仮説の検証と共に、仮説を改善、修正するのが王道で、まずそれを実行すべきではないでしょうか。

 

 

 また防衛費の増額については、「財源がないので国を守れないということはあってはならないのだから、赤字国債を出せばよい」と述べたようです。少々乱暴な物言いと感じます。財源をない状態を作り出しておいて、赤字国債とは短絡過ぎないでしょうか。

 こうしたことなので、遺志といって、その路線をいつもまでも続けることに疑問を感じてしまうのです。

 

「参考文書」

岸田首相 きょうから「弔問外交」 “外交的遺産 受け継ぐ” | NHK | 国葬