「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

平和主義を放棄したとロシアに批判される日本、首相は「有事の宰相」にご満悦

 

 東南アジアや中国で仕事しているとき、時に日本人であることが故に苦々しい経験をすることがあります。

「君のおじいさんたちはこの国で何をやったか知っているのか」

 今の日本は戦争を放棄し平和国家と言い訳したところで、相手の心に刻む込まれた歴史を変えることはできません。

中国で

「大規模な反日デモが計画されているらしい」、「日系デパート前でそんな動きが見られている」、「この地に留まっていたら身の安全を保障できない、至急北京の方に退避してくれ」。出張先でそう言われたことがありました。過去にあった戦争のことを思い出しました。

 日本には日本の史実があり、被害を受けた国にもその国の史実があるものです。歴史認識の差なのでしょうか。犠牲が憎悪を生むのでしょう。

 こんな経験をするたびに二度と戦争を起こしてはならないと確信し、日本は平和国家であらねばならないとの思いを強くしたものです。平和、友好を希求する尊さを身にしみて感じもしました。

 

 

今は有事なのか

「首相には平時の宰相と有事の宰相がいる。あなたは間違いなく有事の宰相だ」と、自民党の麻生氏に声をかけられたと首相が明かしたそうです。

「あなたは有事の宰相」 岸田首相、麻生氏の言葉明かす - 産経ニュース

首相は「前例のない厳しい状況に次々と遭遇している」との認識を示した上で、「政治的に極めて難度の高い問題が積み残されているが、一つ一つ答えを出していくことが自分の歴史的な役割であると覚悟している」と述べた。(出所:産経新聞

 前後の文脈がわからず行間が読めず、麻生氏の真意は定かではありませんが、首相は事実認識で大いなる勘違いをしていないでしょうか。

 事実として安倍元首相は銃撃事件で亡くなられました。ロシアがウクライナ侵攻しました。そして、米中の対立、覇権争いは続いています。確かに争いは続き、不穏な空気感が漂っているように感じます。

 しかし、それを煽ってはならないのでしょう。そんなことをすれば、平和が脅かされてしまいます。

 平和を守るためにとる行動と、有事を想定して行う行動では異なる結果が導かれるはずです。同じ政策を実行するにしても、目的が違えば結果は異なるようになります。

ニュースを見て

 国の予算が膨れ上がっているとニュースが伝えています。税収が伸びているのに、それでは歳出を賄えず、相変わらず国債頼りの予算と言います。

 防衛費の増加が突出していると伝えます。それはそれで事実なのでしょう。そのニュースを伝える画面には多数の護衛艦が海洋を進む映像が映し出され、戦闘機の画像が流れます。ゾッとします。こうして、こうしたことが当たり前になっていくのだろうかと危惧します。

 

 

論語に学ぶ

敝(やぶ)れたる縕袍(おんぽう)を衣(き)、狐貉(こかく)を衣(き)る者と立ちて、恥じざる者は、其れ由か。忮(そこな)わず求めず、何を用(もっ)てか臧(よ)からざらんとあり、と。子路、終 身 之を誦(しょう)す。子曰わく、是の道や、何ぞ以て臧しとするに足らん、と。(「子罕第九」27)

 破れた粗末な着物を着ていながら、毛皮を纏った貴人と並んで並んで立って、ひけ目を感じないでいられるのは、由(子路)くらいだろうか。それは「詩経」になる「妬(ねた)まず、ほしがらず、どうして善い人間でないことがあろう」という句にそっくりと孔子子路をほめたといいます。

 すると子路は喜んで一生この詩句を口ずさんだそうです。それを聞いた孔子は、その詩の言葉どおりにしているだけで、「善」が成立したというわけにはいかないと、たしなめたと意味します。孔子のひやかしを含めた忠言といいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 孔子は「詩経」「邶風(はいふう)」にある「雄雉(ゆうち)」の言葉を引用したそうです。「忮」は害する、つまりねたみ憎んで相手を害しようとすること、「求」は自分にないことを恥じて奪おうとすることを意味するそうです。

 率直勇敢な情熱家で、孔子に愛された子路は晩年、衛の国で宰相となりますが、内乱に巻き込まれ殺されることになります。彼が死んだとき、孔子は嘆いたといいます。もっと適切なアドバイスをしておけばよかったとの後悔でもあったのでしょうか。  

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「有事の宰相」という麻生の言葉はどうなのでしょうか。孔子のようなひやかし半分の忠言であったならと思ってしまいます。「やり過ぎだよ」、「それじゃまるで有事の宰相だよ」との.....

 

 

ロシアの批判

 ロシアが、防衛体制の強化計画について、日本が平和主義政策を放棄し「抑制のきかない軍事化」を受け入れていると非難したそうです。

日本の防衛体制強化をロシアが批判、「抑制のきかない軍事化」 | ロイター

ロシア外務省は声明で「日本が攻撃能力の獲得を含む、前例のない軍事力増強の道を歩み始めたことがはっきりと見て取れる」と主張。「歴代の政治家が繰り返し宣言してきた平和的な発展を明確に否定し、抑制のきかない軍国主義路線に戻ることを意味する」と断じた。(出所:ロイター)

 さらに「(こうした動きは)必然的に新たな安全保障上の課題を引き起こし、アジア太平洋地域の緊張を高めることになる」と批判し、「日本経済は輝かしい状態とは程遠く、国家予算の構造的不均衡が拡大している」にもかかわらず、防衛費の増額を決定したと指摘したそうです。

 正論のようにも聞こえます。ロシアに批判されるのはどうなのでしょうか。

ロシア化

 時々、プーチン大統領と岸田首相がだぶって見えるときがあります。

 プーチン大統領は、国境に圧力が迫っていると勘違いし、それに耐えきれず、こじ付けや言い訳をして結果暴発してしまったのではないでしょうか。

 プーチン色に染まったロシアはそれを止めることができず、みなを不幸へと誘ったのではないでしょうか。

 同じ轍を踏んではならないはずです。平和は守rらなければならないものなのです。