「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

大雪、長引いた停電、脆弱な電力事情、原発政策の転換で改善できるのか

 

「備えあれば患いなし」といいます。万が一に備えて、あらかじめ準備をしておけば、事が起きても心配事がないという意味です。

 続けざまに寒波が到来しては、日本海側で大雪になっています。「備えあれば患いなし」、事前に準備ができれば天災も乗り越えることができるのでしょうが、新潟県では前回の大雪で生じた停電が長引きました。どうしても備えが万端整えることができないこともあるようです。

喉元過ぎれば熱さを忘れた国、原発政策も転換へ

 こうした事態があるにもかかわらず、国は有事への備えを急いでいるようです。防衛力強化に加え、今度は原発政策を転換させたといいます。

 東日本大震災以来、原発の新増設・建て替えを「想定しない」としてきた政策を転換させ、廃止が決まった原子力発電所を建て替え、運転期間も現在の最長60年から延長するといいます。

 それよりも天災に動じない送電網の整備が求められていないでしょうか。

 

 

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」といいます。苦しい経験も、過ぎ去ってしまえばその苦しさを忘れてしまうと意味し、また、苦しいときに助けてもらっても、楽になってしまえばその恩義を忘れてしまうとの意味です。

 未曾有の大惨事になった福島の原発事故によって故郷を追われた人たちが未だ帰還することができずにいます。そうした心痛さえ、時間が経過してしまえば、教訓にすることなく、忘れ去られ風化してしまうのでしょうか。

 また、国内最古の原発となる関西電力高浜原発1、2号機が立地する地域の住民は不安を抱えているそうです。「国内の原発をゼロにして、電力がまかなえるとは想像しにくい」としながらも、「60年超」の運転が可能とする状況に「やみくもな延長はおかしい」と疑問を呈しているそうです。

「やみくもな延長おかしい」 原発肯定派住民も疑問―「最高齢」抱える福井・高浜町:時事ドットコム

 設計寿命が40年だったものを延命すること自体に無理がありそうです。何とも矛盾に満ちた話ではないかと感じます。それだけでなく、核のごみの問題も未解決のまま残っています。そうした状況下で、拙速に政策転換してよいのでしょうか。

灯台下暗しな国、不安を助長し、過剰な負担を求める

灯台下暗し」といいます。灯火をともす照明具の下は、周囲よりも暗いことから、「人は身近なことには案外気付かない」と意味し、目の前に存在することに、人は意識しないと気付けないといいます。

 遠い世界で生じていることに気を揉むばかりでは、国内に目が向かなかくなってしまうのかもしれません。

 努力次第で回避可能な人為的な危機を確実に起こるものと誤信し、それによって不安を助長させ、国民負担が増えるようでは本末転倒です。そうではなく、目の前にある問題を、現実的に丁寧に解決していくことが求められているはずです。信用の回復が求められています。これなくして国の将来はさらに暗澹となるだけです。

 

 

論語に学ぶ

法語(ほうご)の言(げん)は、能(よ)く従う無からんや。之を改むるを貴しと為す。巽与(そんよ)の言、能く説(よろこ)ぶこと無からんや。之を繹(たず)ぬるを貴しと為す。説こびて繹ねず、従って改めず。吾 之を如何ともする末(な)きのみ。(「子罕第九」24)

 正論があれば、それに従って改めることは貴いことである。一方、遠まわしの忠告の場合、喜ばない者はない。しかし、その真意を求めることが貴いことであって、喜ぶだけで真意を求めなければ、改めることはできない。こういう人はどうしようもないと意味します。

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説明不足に陥る理由

 安倍元首相の国葬について有識者による検証結果を政府が発表しました。世論の分断を招いたことを踏まえ、岸田首相の「説明が十分ではなかった」との意見が多かったといいます。

国葬検証、岸田首相は「説明不足」 実施に肯定評価多く―有識者聴取:時事ドットコム

 理由がはっきりしないことを無理やりに行なえば、十分に説明できないのは当たり前です。論理がなくこじつけになってしまいます。

 それでも誠意を示せば、意図は伝わるはずですが、そうならないのは、国の対応が不十分だったということだけなのでしょう。

 

 

 記事によれば、有識者が様々な意見があげているようです。自らの耳障りのよい言葉を選んで聞くのではなく、そうでない言葉もきちんと咀嚼し理解しなければ、物事が良くなることはないということなのでしょう。

 

「参考文書」

核燃料サイクル、最終処分場のめどもなく…後始末避けて原発回帰に突き進む政府:東京新聞 TOKYO Web