「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

増えるばかりの難題、解決する意思はあるのか

 

 雨が続くと、以前よりも不安を感じるようになりました。豪雨災害が頻発するようになったからでしょうか。とりあえず、住んでいる地域では大雨のピークが過ぎたようで少しばかり安堵しています。

 頻発する豪雨も気候変動の影響といわれています。雨が降れば、毎年どこかの川の堤防が決壊し、浸水被害が発生するになりました。気候変動を止め、一方でそれに適応していくことが求められているのに、なかなか国の気候変動対策の状況が見えずやきもきするのもこの季節です。

 

 

 岸田首相が先日の記者会見で、原発の再稼働に言及し、冬の電力不足に対応するとしました。これに対し、電気事業連合会の池辺会長は、9基の原発はすでに供給力に織り込み済で、冬の需給が厳しい状況には変わりないと述べたといいます。

電事連会長「織り込みずみ」 冬の電力不足で首相「原発9基稼働」に:朝日新聞デジタル

もともと電力会社の計画では、来年1月には9基が稼働する見通しだ。政府が想定する供給力にも含まれており、電力不足の解消につながるわけではない。(出所:朝日新聞

 岸田政権は原発の最大限活用を掲げており、首相の発言は原発重視の姿勢を強調したとみられると朝日新聞は指摘します。

 真実なのでしょうか。そうであればがっかりです。電力需給を真に改善しようとの意志に欠けていることでしょうか。

 目先対処しなければならない問題があるのでしょうが、何ごとも後手後手の対応になっては、いつまでも同じことが繰り返されるばかりです。問題を解決しようとする意思はあるのでしょうか。ここ最近の国の対応にはうんざりします。

論語に学ぶ

樊遅(はんち)知を問う。子曰わく、民の義を務め、鬼神を敬して之を遠ざくれば、知と謂(い)う可し、と。仁を問う。曰わく、仁とは、難きを先にし獲るを後にす。仁と謂う可し、と(「雍也第六」22)

 「樊遅」、孔子より36歳年少の弟子。勇士と称せられたといいますが、孔子には「小人なるかな、樊須」と言われた人物。その 「樊遅」が「知」と「仁」を孔子に問います。

dsupplying.hatenadiary.jp

「民の義を務め」とは、人民を教化する道に務めることを意味し、「鬼神を敬して之れを遠ざく」は、鬼神に敬意をはらうけれども、あまり密着しないということ。「鬼」は死者の霊、「神」は日本語のカミであって、ゴッドではないと桑原武夫はいいます。宗門との正面衝突を避け、ひたすら合理主義的な学問研究の推進を邪魔されないようにするものといいます。

「仁とは、難きを先にし獲るを後にす」とは、まず苦労をして功を得ることで、安易な達成を嫌うのが仁と意味します。

 

 

 インドネシアのバリ島で開かれていたG20財務相中央銀行総裁会議が閉幕しました。前回に続き、共同声明が採択されなかったといいます。世界がインフレや食料危機などに直面していますが、またも対立が浮き彫りになったといいます。

 米国は自国の経済後退させてまでインフレ退治を進めるようとします。一方、日本の物価対策は局所的で、基本は値上がり容認で、過去の問題のデフレ脱却が第一ということなのでしょうか。世界的なインフレの流れに巻き込まれないことを願うばかりです。

「民の義を務め、鬼神を敬して之を遠ざく」、みなが今求めることに背を向け、死者の霊を敬するばかりなのは如何なのでしょうか。それを必要以上に近くに引き寄せ、まるで神格化させることにご執心のように見えてしまいます。今そのようなことの議論がさして重要ではないのでしょう。孔子がいうように遠ざけるべきではないでしょうか。

「難きを先にし獲るを後にす」ではなく、何ごとも功を得るのが先で、問題解決という難問は先送りという姿勢でしょうか。

 コロナも拡大しています。やるべきことをきちんとやる政府であって欲しいものです。