ロシアが、併合したウクライナ東・南部4州に戒厳令を敷くそうです。この時期に自ら危機を作り出して賛意を得ることはできるのでしょうか。かえって孤立化することはないのでしょうか。
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一方、国内では防衛費増額の増額の議論が活発化しています。防衛力の抜本的な強化に向け、政府は「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」を立ち上げ、与党内協議も始まりました。
防衛費増、財源に法人増税案 「財務省vs経産省・経済界」の行方:日経ビジネス電子版
「反撃能力」の保有のあり方やサイバー防衛の強化などが議題に上がり、防衛費増額の規模と財源の確保策などが焦点となるといいます。
反撃能力など、自民党が勇ましいことを言っては前のめりになっていないでしょうか。
政府が年末までに改定する「国家安全保障戦略」をめぐり、自民党は、中国を安全保障上の重大な脅威と明確にすべきだとしているのに対し、公明党は慎重な姿勢を示していて、今後の与党内の協議では中国をどのように位置づけるかも焦点となる見通しです。(出所:NHK)
これに対し公明党は、米国の「国家安全保障戦略」では、中国は「唯一の競合国」という表現にとどめているとしてに、慎重な姿勢を示しているそうです。
必要以上に危機を煽るのは如何なものではないでしょうか。平和を守るための行動抜きにして、危機を作り出すことは控えるべきのような気がします。
平和主義から見えれば、軍拡競争に巻き込まれているだけにしか見えません。戦前に戻りたいのでしょうか。このままで大丈夫なのか、不安を強くします。
論語に学ぶ
弟子の子貢(しこう)が、「政」を問います。孔子は「食を足らし、兵を足らし、民 之を信ず」と答えます。
すると子貢は「この三者のうち、どうしても棄てなければならないとしましたならば、まずどれでしょうか」と質問し、孔子は「軍備だ」と答えました。さらに子貢は「では残った二者のうち、どうしても棄てなければならないときは、どちらでしょうか」と尋ねます。
孔子は「食を去らん。古(いにしえ)自(よ)り皆死有り。民 信ずる無くんば立たず」と教えたそうです。(「顔淵第十二」7)
為政者の心構え、政治における優先事項なのでしょう。信頼に重きを置き、それに立脚した上で国民生活と経済を考え、これらを整えてから国防ということなのでしょうか。
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首相は「信頼と共感」を強調しますが、政治は混乱しています。なぜなのでしょうか。「不信と反感」が拡がっている、という意見もあるようです。
首相が、宗教法人法に基づく解散命令請求の要件について答弁を修正したといいます。
旧統一教会の解散請求要件 首相「民法の不法行為も」: 日本経済新聞
参院予算委員会で立憲民主党の小西洋之氏の質問に対し、「行為の組織性、悪質性、継続性などが認められ、法令に反して著しく公共の福祉を害すると認められる行為などがある場合には、個別事案に応じて判断すべきだ」と首相は答弁したといいます。
小西氏は「朝令暮改にもほどがある」と首相を批判したそうですが、単にブレ幅が大き過ぎるのではないのでしょうか。それとも何か心変わりがあったのでしょうか。
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自民党内の世論を重視すれば、どうにも教会とその関連団体の思想に近づいていくと気づいたのでしょうか。「数は力なり」といって最大派閥ばかりを気にかけていては、国民感情と乖離し、このままでは危険と思えるようになったのでしょうか。
どんなに正論を述べたところでも、手段を違え、包み隠していた悪事が露呈し、それを擁護しているとみされてしまえば、信頼も共感もないのでしょう。そんなことで、まともに「食」や「軍」の議論もできそうにありません。
首相は何をしたいのでしょうか。まずは「信頼と共感」の回復と願うのなら、はっきり伝えるべきことがあるのでしょう。
過ちを過ちと気づき、それを修正し、言行一致となれば、党内世論よりももっと大きな力を得ることになるのではないでしょうか。
「参考文書」
ウクライナ占領地に戒厳令 南部で強制移住、奪還阻止狙い―ロシア大統領:時事ドットコム
新たな「国家安全保障戦略」 中国の位置づけも焦点に | NHK | 中国