昨年の自民党総裁選、衆議院の解散総選挙、これらを「大きな勝負」としてあげ、「今、また大きな勝負の時を迎えている」と岸田首相が述べたといいます。
誰が勝負の相手だったかのわかりませんが、常に自分自身と、強いて言えば自民党が政権維持することが目的で、国民生活や国際情勢はそのための手段とくらいしかに考えていないように感じてしまいます。自分自身の政治生命を賭して、問題解決し、この危機難局を乗り越えようとの気概はなさそうです。何事も対処療法になっているのがその証なのかもしれません。
多くの人が疑いの目でみる宗教法人を野放しにしたままで、濃い関わりが疑われる三権の長である衆院議長や元首相、それに現役大臣を見過ごしていては、規範が乱れるだけではないでしょうか。
事実関係を解明し、問題が再発しないよう法規制を強化するのが政治家の使命ではないかと思うのですが、違うのでしょうか。
問題を野放しにすれば、何でもありの乱れた社会になってしまいます。もう既にそうなりつつあるのかもしれません。五輪汚職、かっぱ寿司事件などなど、規範の乱れが止まらなくなっていないでしょうか。
また、日本の国際競争力は下落の一途のようで、先日発表された「デジタル競争力ランキング」では、63の国・地域のうち、29位に転落しているといいます。
デジタルもダメ、脱炭素は周回遅れといわれ、SDGsやスマートシティ関連の世界ランキングは低迷し、人権状況も芳しくありません。こうしたことは長い時間の積み重ねなのでしょう。これまでの政権と同じことを続けていれば、結果が好転することはありえません。
目を外に転じれば、ロシアの暴挙が止まらず、戦戦兢兢、嫌なことが起きやしないかと恐怖に慄くようになります。国際社会はロシアを説得できないのでしょうか。
岸田首相は、外交・安全保障でも「大きな課題が山積し、日本が勝負の時を迎えている」と決意を新たにしたといいます。何が勝負なのでしょうか。求められているのは根本的な問題解決と状況を好転させていくことではないでしょうか。
そのためにもまずは足元から体制を固めることが求められるのではないでしょうか。
論語に学ぶ
臧文仲(ぞうぶんちゅう)は其れ位を窃む者か。柳下恵(りゅうかけい)の賢なるを知りて、而(しか)るに与(とも)に立たざるなり。(「衛霊公第十五」14)
魯国の大夫 臧文仲は、何もしないで給料をもらっているだけだな。柳下恵が賢人であることを知りながら、主君に推薦して自分と同格にして、ともに政庁に立って政治を行おうとはしなかったとの意味です。
かつて自民党は人材の宝庫などと言っていましたが、今ではもう人材といえる人物がいなくなっているということなのでしょう。自主点検でも多くの議員が宗教法人にかかわり、また一部議員はまともな点検ができず、報告すらもできないようです。そうした人物を大臣に任命したままでこの国の政治は大丈夫なのでしょうか。
臨時国会が3日に召集されます。活発に議論し、問題解決への道筋をつけてもらいたいものです。
一方、与党内でも自民党の国会運営に対し疑問視する声が相次いでいるといいます。波乱含みのようです。
「参考文書」
岸田首相「大きな勝負の時」 臨時国会に向けて意気込み|FNNプライムオンライン
与党、開会前から国会運営に不安 野党は攻勢加速 - 産経ニュース