「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

天寿をまっとうできてこそ偉人なのかもしれない

 

 都内で渋沢栄一ゆかりの企業などの集まりがあったといいます。豊かな国づくりに力を尽くした栄一の精神を広く伝えていこうと呼びかけたといいます。

渋沢栄一ゆかりの企業などが集い “精神広く伝えよう” 東京|NHK 首都圏のニュース

 NHKによれば、この集いに、栄一ゆかりの企業や団体などのトップ30人が集まったといいます。栄一が初代会頭をつとめた東京商工会議所が開催し、三村会頭が「渋沢の人生を知ると、今の大変な世の中に負けてなるものかと思う。私たちもいま一度、日本を強く豊かな国にするため、力を尽くしていきたい」と述べたそうです。

 

 

 亡くなられた安倍元首相の葬儀が無事終わったようです。ご冥福をお祈り申し上げます。

 ただいつまでも悲しんでいるわけにはいかないのでしょう。日本をよくしていくためには、時に冷徹になり、よきものはよきとして、悪しきは悪いものだったと評価し、国の方向性を調整していく必要性があるのでしょう。この10年、頑張ってきたものの満足できるものではなかったのですから。

論語に学ぶ

 甯武士(ねいぶし)は邦に道有れば、則ち知、邦に道無ければ、則ち愚。其の知は及ぶ可(べ)きも、其の愚は及ぶ可からざるなり。(「公冶長第五」21)

「甯武士」、紀元前632年頃から623年頃まで活躍した衛の国の政治家。大国の間に介在する小国の政治責任者として、国を守るのに精根を尽くしたといいます。

「邦に道義が支配しているときに、知恵を働かして善政を施くのにももちろん努力がいるが、それはまだしも困難ではない。ところが邦から道義が消え去ったときに、いたずらに正義派ぶったり賢者顔をしたりして我が身を滅ぼすことによって、邦をいっそう衰えさせるのではなく、むしろ愚者の面をして誠意を秘めつつ空とぼけをして、邦を守るほうがずっとむつかしいのである」、甯武士はこの二つを兼ね備えていた。それを孔子が評価したといいます。

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 天寿を全うできてこそ、偉人、英雄ということなのかもしれません。

 

 

 混乱の明治維新を駆け抜け、昭和まで生き延びた渋沢栄一もそのひとりではないでしょうか。享年92歳。日本資本主義の父と呼ばれます。

「道徳経済合一説」という理念を打ち出し、「富をなす根源は何かと言えば、仁義道徳、正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができない」と、「論語と算盤」で述べています。

論語』を拠り所に倫理と利益の両立を掲げ、経済を発展させ、利益を独占するのではなく、国全体を豊かにする為に、富は全体で共有するものとして社会に還元することを説くと同時に自身にも心がけた。(出所:Wikipedia

 昭和史、平成史を振り返れば、数々の不正があり、それが暴かれては少しずつ社会が良化し、規範や倫理が向上してきたのかもしれません。

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 政治家や大企業にはそうした宿命があるのかもしれません。悪しき習慣を正すことができれば、それが最大のレガシーになるように思います。

 

 

子の韶(しょう)を謂う、美を尽くせり、又善を尽くせるなり、と。武を謂う、美を尽くせり、未だ善を尽くさざるなり、と。(「八佾第三」25)

 聖人である舜を称えた楽曲「韶」は「美、その上、善」と孔子は称したそうです。同じく聖人である武王を称える楽曲「武」については、「美、しかし、善は不十分」と評したといいます。

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 武王は、殷王朝を倒し、周王朝を建てましたが、その弟周公の助けがあって完成したといわれ、「武曲」は、善が不十分とする解釈があるといいます。また、武王が武力に頼ったことも「善」とみなされなかった理由なのかもしれません。

 凶弾に倒れた昭和戦前の宰相「濱口 雄幸」、デフレに苦しむ日本を救うため、井上準之助とともに金解禁を進めるが、その途中で東京駅で狙撃事件が起きました。デフレ脱却は、その後、犬養政権によって達成されることになります。