「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

あの事故で失くしたもの、13兆円という巨額な賠償を旧経営陣に命じた東京地裁

 

福島第一原発事故」、東日本大震災津波によって東京電力福島第一原子力発電所で事故が発生し、甚大な被害となりました。1986年4月におきたチェルノブイリ原子力発電所事故同様、最も深刻な原子力事故といわれます。

 この事故を巡って、東京電力の株主が多額の損害を被ったとして、旧経営陣5人に、22兆円を会社に賠償するよう訴え、その判決が東京地方裁判所が言い渡されたといいます。

東京電力旧経営陣4人に13兆円賠償命令 原発事故で東京地裁: 日本経済新聞

 その内容は、元会長ら4人に合わせて13兆3000億円余りの賠償を命じるものだったといいます。賠償額は国内の裁判では過去最高とみられるといいます。

 日本経済新聞によれば、今回は原発事業者の経営責任を重く捉えた司法判断といえる一方、旧経営陣が全額支払うのは困難と見込まれるそうです。

 

 

 NHKによれば、判決の冒頭で「原発事故が発生すると従業員や周辺住民だけでなく国民全体に対しても甚大な被害を及ぼし、ひいてはわが国そのものの崩壊にもつながりかねない。原子力事業者には重大事故を万が一にも防ぐ社会的な義務がある」と指摘しているといいます。それにもかかわらず旧経営陣は対応を怠ったとして、「原子力事業者に求められている安全意識や責任感が根本的に欠如していたと言わざるを得ない」と厳しく非難したそうです。

 原子力事業だけでなく、すべての産業にかかわる人たちが、この判決を重く受け止めなければならないのでしょう。いかなることがあっても安全・安心をおろそかにしてはならないということなのでしょう。

論語に学ぶ

多く聞きて疑わしきを闕(か)き、慎んで其の余を言えば、則ち尤寡(とがすく)なし。多く見て殆(あや)うきを闕(か)き、慎んで其の余を行なえば、則ち悔い寡なし。言尤寡なく、行ない悔い寡なければ、禄其の中に在(あ)り、と。(「為政第二」18)

  多くを聞いて疑わしいことを解いて、その他の確かであることについても慎重に発言すれば、まず過ちは少ない。多くを経験して不安な点を除き、その他の確かであることについても慎重に行動すれば、悔いるような過ちが少ない。発言に過ちが少なく、行動に過ちが少なければ、自然とその報酬が定まると意味します。

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 類似する事故や天災があっても、まさかそんなことが身近では起きはしないだろうという盲信があったのでしょうか。想像力にかけるところがあったのでしょう。

 

 

 地球に地殻活動がある以上、地震がなくなることはありません。ただその活動には絶対的な法則性はなく、いつどこでどんな規模の地震が起きることを正確に予測することはいまだに出来ません。それでも現代の知見より得られる予測から対処していかなければならず、それを怠れば大きな危機となってしまうということなのでしょう。それは、地震津波だけでなく、気候変動についても同じなことが言えるのでしょう。

千乗の国を道(みちび)くには、事を敬して信、用を節して人を愛し、民を使うには時を以てす。 (「学而第一」5)

 大国を導いていくには、事に当たってはは丁寧に扱って人民を欺くことなく信用し、節約を心がけて、人々の心や生活を豊かにし、人々を使うときは、時宜に心がけると意味します。

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 もっと基本的で、もっとも大切なことを忘れていないでしょうか。

 大事を忘れ、小事に心をとらわれて、あくせくし、利己的に過ぎるから、危機となってしまうのかもしれません。少し逆方向に巻き戻せば、危機は収まり、平和な世に近づいていきそうな気がします。

 

「参考文書」

東電旧経営陣4人に計13兆円余の賠償命令 判決のポイントは | NHK | 福島第一原発