参議院選挙の大勢が決まったようです。米AP通信、参院選の出口調査で自民党が勝利を確実にしたとの日本メディアの報道を伝え、岸田首相にとって「大きな追い風」となると指摘したといいます。次回の参院選が予定される2025年まで政権を維持する可能性があるとの見方も報じたそうです。
岸田氏に「大きな追い風」 米報道、次回参院選まで政権維持 | 共同通信
共同通信によれば、AP通信は安倍元首相が死亡した事件に言及し、「選挙は新たな意味を持った」とした上で、各党幹部が言論の自由の重要性を強調したと報じたといいます。また事件の衝撃に動揺している日本では自民党に対し「同情票の波が後押ししているとみられる」と指摘したそうです。
論語に学ぶ
伯夷、叔斉は、旧悪を念(おも)わず。怨み是(ここ)を用(もっ)て希(まれ)なり。(「公冶長第五」23)
伯夷、叔斉の兄弟は、かつて残念だと思ったことをいつまでも想い出したりなどしなかった。そういうわけで昔の知り人に対して恨むことが少なかったと意味します。
殷王朝の「紂王」を臣下である周国の君主「武王」が討とうしたとき、伯夷、叔斉は諫めましたが聞き入れられず、二人は武王の行為を恥じたそうです。紂王は暴君といわれていましたが、天子である以上、刃を向けては道義から外れるとしたのでしょうか。この兄弟は、このあと首陽山に隠れ、周王朝の下でとれた食物を食べず、山菜でしのいだが餓死したといいます。孔子はこの兄弟を賢人と称えます。
結果に対する反応次第で、その人が何を求めているのかがわかるのかもしれません。
今回の参院選では参政党が議席を獲得し、政党要件を満たすそうです。NHK党から出馬した「ガーシー」こと東谷義和氏が初当選したといいます。存亡の危機にあった社民党は党首の福島みずほ氏が議席を確保し、なんとか政党要件を維持するための有効投票の2%以上を獲得できたといいます。
様々な願いや思いがあっての選挙結果なのでしょう。
子張問うて曰わく、令尹(れいいん)子文(しぶん)三たび仕えて令尹と為るも、喜ぶ色無し。三たび之を已(や)められるも、慍(うら)む色無し。旧令尹の政は、必ず以て新令尹に告ぐ。如何、と。
子曰わく、忠なり、と。曰わく、仁なるか、と。曰わく、未だ知らず。焉んぞ仁なるを得ん、と。
崔子(さいし)斉(せい)の君を弑(しい)す。陳文子(ちんぶんし)馬十乗(うまじゅうじょう)有り。棄てて之を違(さ)る。他邦に至れば、則ち曰わく、猶(なお)吾が大夫崔子のごとし、と。之を違る。一邦に之(ゆ)けば、則ち又曰わく、猶吾が大夫崔子のごとし、と。之を違る。如何、と。
子曰わく、清なり、と。曰わく、仁なるか、と。曰わく、未だ知らざるなり。焉んぞ仁なるかを得ん、と。(「公冶長第五」19)
「令尹」とは楚の国の宰相のこと。子文は三度宰相となりましたが、別に嬉しそうな顔もせず、また、三度その職を辞めされられたそうですが、怨みがましい様子もなかったといいます。辞める時も事務の引継ぎを立派に行ない、大政治家といわれています。孔子はまごころの人といいますが、仁者とは称しません。
「陳文子」、斉の国のすぐれた家老だったといいます。前548年、崔杼(さいちょ)が主君の荘公(そうこう)を殺したさい、彼はその無道を怒って、四頭立ての馬車十台を出しうるほどの領地を棄てて他国に亡命したそうです。しかし、そこに行ってもやはり崔杼と同じような無道な丈夫が支配しているといって、また別の国へと移っていったそうです。すると、そこでもまた不満で同じ言葉を吐いて去ったといいます。孔子はこの人物を清潔と評したが、仁者とは認めなかったといいます。
この二人の政治家は、それぞれ忠実ないし清潔ではあるが、「仁政」という見地からみると、彼らがどのように個人道徳において立派でも、社会にその恩恵が十分に行きわたっていない以上、「仁」とはいえないと孔子は指摘したといいます。おのれ一人を清くする陳文子の場合は特にそうであろうと桑原武夫は解説します。
未だコロナ渦は収まらず、また国際情勢は緊迫化し安全保障が問われるようになっています。こうした影響もあって、世界各地でインフレが起こり、景気後退していくのではないかと指摘されます。気候変動の問題にも影響し、また食糧危機も指摘されます。悪い方向へと引力が働いているようです。こうした連鎖を断ち切り、安定した社会になって欲しいものです。
力に依る支配ではなく、道義にもとづいた為政が求められてはいないでしょうか。発展も成長も、平和と安寧があってはじめて成立するのですから。
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理想はあっても現実の世界では、多数派工作など泥臭いことが無ければ前に進むことはないのかもいしれません。安定を手にすることはできるのでしょうか。政権与党がどんなカラーになっていくのか、少々気がかりです。