「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【旧悪を念わず。怨み是を用て希なり】 Vol.117

 

子曰わく、伯夷、叔斉は、旧悪を念(おも)わず。怨み是(ここ)を用(もっ)て希(まれ)なり。(「公冶長第五」23)

  

(解説)

孔子の評価。伯夷、叔斉の兄弟は、かつて残念だと思ったことをいつまでも想い出したりなどしなかった。そういうわけで昔の知り人に対して恨むことが少なかった。」論語 加地伸行

 

  殷王を臣下の諸侯である周国の君主が討とうしたとき、伯夷、叔斉は諫めたが聞き入れられず、その君主は殷王紂(ちゅう)を倒して周王朝を建て、後に武王となった。その行為を二人は恥じて、首陽山に隠れ、周王朝の下でとれた食物を食べず、山菜でしのいだが餓死したという。

 

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「旧悪」には、他人の旧悪、または自分が抱いたかつての怨みとの解もあるという。加地は後者を採用している。

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)