「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

始まれば気になるオリンピック、その影で高まる緊張

 

 オリンピックが始まって、日本人選手が活躍すれば、やはり喜ばしく、誇らしいものです。

 始まる前までは、なにやらきな臭く、あまり興味を感じなかったものが、スキージャンプの小林 陵侑選手の金メダルで、にわかに興奮し、フィギュアスケートチームジャパンの活躍に胸躍らせました。ジャンプの団体戦ではそれはないだろうと思いつつ、何が起きるかわからないのもスポーツなのかもしれません。スキーモーグルの川村あんり選手もそうでしたが、それでも競技後のインタビューにさわやかさに感じ、今後の活躍に期待、応援したい、そんな気持ちになります。

 スポーツはスポーツとして、あまり政治の祭典の場にはして欲しくないものです。

 

 

論語に学ぶ

「天 徳を予(われ)に生ぜり。桓魋(かんたい) 其れ予を如何せん」(「述而第七」22)

 桓魋とは、宋の国の重臣で、軍司令官であった人物。なぜか孔子に反感をもっいた桓魋が孔子を殺そうとしたという。巨樹の回りで稽古する孔子を、その巨樹を倒して殺害しようとした。弟子たちが危険を察知して、先生早くお逃げなさいといったときに、孔子がこの言葉を洩らしたそうだ。

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  桓魋は武器を使わずに、孔子たちが尊んでいたであろう巨樹を倒する手法を選んだのは、冒瀆を加えようとの意もあったのではないかという。

 これに対し、孔子は、桓魋のような一軍人が、私に何を為し得ようか、私には天が与えてくれた使命がある。私は徳を備え、道を説いていかねばならない。孔子、使命観への確信の表明であるという。

変わる世界の秩序

 オリンピックの場まで益々政治によって汚されていると感じます。その背後には、米中の激しいせめぎ合いがあり、それに加え、ロシアまでが言いがかりを唱え始めています。ただでさえ、長引くコロナ禍に辟易しているのに、これ以上心配ネタを作って欲しくないものです。

 スポーツに心躍らせながらも、この先のことが心配にもなります。

 

 

「米中の新冷戦は起きないが、突然に真の衝突がロシアとの間に起きる可能性ははるかに高い」と、日本経済新聞がユーラシアグループのイアン・ブレマー社長の言葉を紹介しています。

米主導秩序 二度と戻らず テック巨人 民主主義の脅威: 日本経済新聞

「米国主導の秩序は二度と戻らず」とイアン・ブレマー氏は指摘し、米国政治が最もひどい機能不全を起こしているといいます。

いくつかの分野では政府部門の力は衰え、テック企業は一段と自由に振る舞える。テック企業は米中関係でもより大きな役割を演じる。

企業はグローバルな「つながり」の確保を重視し(米中による)戦争や冷戦の可能性を下げるだろう。一方、企業は市民に対してでなく、第一に株主に対して責任を負う。彼らのビジネスモデルが不平等を深め、市民や国家の個別の利益を頻繁に混乱させる。民主主義も確実に傷める。(出所:日本経済新聞

 また、「将来の安全保障環境では米中の関与が大きい。例えば中国が主張する南シナ海での権益をどう扱うかなどの課題では、多額の軍事費を投じる米中がルールを仕切る」といい、武力を背景にした対立が続くと指摘します。

 なかなか心休まるときがなさそうです。孔子のように、みなが相手を尊重し、徳を希求するようになれば、もう少し違う展開になるのでしょうが、有史以来、そんな平穏なときは稀で、長続きしないということなのでしょう。

 

 

「子 人と歌いて善ければ、必ず之を反(かえ)さしめ、而(しか)る後に之に和す」と、「述而第七」31にあります。

 孔子は他の人と一緒に歌の会を開くときに、もしいい歌を聞くと、それをもう一度歌ってもらい、そのあとで今度は自分も加わって合唱、和したとの意味です。萩生徂徠は、当時は歌をうたうさいには、このようにするのが礼法すなわちエチケットと解しているといいます。

 何において、エチケットのようなものが必要なのでしょう。それが定着すれば、ルールになり、規範が生まれるのかもしれません。それは「和」を求める心があってのことなのでしょう。

 

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