「フェイスブックが過去最大級の危機に直面している」といいます。フェイスブックの内部資料を米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」にリークした元社員が米議会の公聴会で証言したそうです。
AFPによれば、証言した元社員は、「Facebookは社会の分断を助長し、子どもたちに害を及ぼしており、早急に規制を課される必要がある」と訴えたそうです。公聴会を開いた議員は、議会が長らく先延ばししていた対策を講じると約束したといいます。
内部告発者、フェイスブックの規制訴え 米議会で証言 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News
エド・マーキー(Ed Markey)上院議員は、「議会は行動を起こす」と宣言。
同社のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)に向け、「あなたの会社が私たちの子どもや家族、そして民主主義を害することをこれ以上許すわけにはいかない」と警告した。 (出所:AFP BB NEWS)
その内部告発者が米CBSの調査報道番組『60ミニッツ』に出演し、「フェイスブックは自社利益のために憎悪をあおっている」と痛烈に批判したそうです。
リークされた内部資料には、フェイスブック傘下のインスタグラムが10代の子供たちのメンタルヘルスに悪影響を与えている研究結果が含まれていたといいます。
クーリエジャポンによれば、10代の少女たちの32%が、インスタグラムのせいで自分の体形に否定的な感情を抱くようになっていたそうです。
内部告発者はFacebookのアルゴリズムについて、以下のように述べたそうです。
エンゲージメントを高める、あるいはリアクションを増やせるコンテンツが最適化されるようになっています。そしてフェイスブック自身の研究で、憎悪にあふれ、人々を分断し、世論を二分させるコンテンツは他の感情よりも怒りを呼び起こしやすいことがわかっています。つまりフェイスブックは、そのアルゴリズムを仮に安全なものに変えたら、サイト滞在時間が減り、広告クリック数が減り、ひいては収益が減少することを認識しているのです。(出所:クーリエジャポン)
データ利用・分析が進み、ニュースフィードが最適化されたかのように、リコメンデーションばかりが流れる、それが世間の当たり前、常識との誤解が生じるのであれば、少々問題があるのかもしれません。
論語の教え
「其の鬼に非(あら)ずして之を祭るは、諂(へつら)うなり。義を見て為さざるは、勇無きなり」と、論語「為政第二」24 にあります。
「自分たちの祖霊でない他者の霊を祭るのは、不義のものだ。逆に、義(ただ)しいものと分かっていながら、実行しないのは勇気がないからである」との意味です。
内部告発者は、経営者に諂うことなく、自分が信じる「正義」をまっとうしたということなのでしょうか。
君子之に居らば、何の陋しきことか之れ有らん
「子 九夷(きゅうい)に居(お)らんと欲す。或(ある)ひと曰わく、陋(いや)し。之を如何せん、と。子曰わく、君子之に居らば、何の陋しきことか之れ有らん」、論語「子罕第九」14 にある言葉です。
「孔子は、いっそうのこと東方の夷(えびす)の国にでも行こうかと思われた。そこで、ある人がこう言った。「東夷は野鄙(やひ)なところですぞ。どうされますか」と。すると孔子はこうおっしゃった。「君子 教養人がそこに住むならば、どうして野鄙なことがあるだろうか」と。(出所:論語 加地伸行)
「野鄙(野卑)」、下品で卑しいこと。
「卑しい」とは、「金銭に対して貪欲である」、「品位に欠けている」などの意味があります。
ある人から野卑と見えるところがあっても、そこに君子がいるならば、どうして野卑なのだろうか。そこに住む人々にとっては野卑なことではないのかもしれません。
「正邪」は人によって異なり、「善悪」なら良識によって判断されるということなのでしょうか。
アルゴリズムがどうあれ、自分が欲する情報を提供してくれるFacebookを便利なものと思えば、たといそこに多少偏りがあっても、それはそれで便利なのでしょう、だからこそ多くの人が利用しているのかもしれません。
難しい問題です。アメリカ議会はどう対応していくことになるのでしょうか。「善悪」の判断が求められることになるのかもしれません。