大切なコミュニケーションツールであるはずの言葉が冒涜されているように感じます。言葉がなければ、歴史を知ることもできず、学習もままになりません。
放送法に関する総務省の行政文書をめぐり国会で論戦が続いています。
高市氏 “当時の秘書官らに確認 説明受けず” 文書の内容否定 | NHK
「私の答弁が信用できないのであれば、もう質問をしないでほしい。説明しようとすると遮られるので、これまで十分に一つ一つについての説明をさせてもらうことができなかった」と、渦中の大臣が答弁したそうです。
露骨な態度で、公の場でこうした発言をすることは、どうなのでしょうか。自ら発した言葉がこだまして帰ってきているだけなのにそれに腹を立てるべきではないような気がします。
新たな同調圧力の懸念も
潮目が変わり、世の中がより良い方向に向かうのではかと期待したいところです。
マスクの着用が個人の判断に任されました。しかし、また新たな同調圧力が生まれ、外さない人への攻撃の懸念もあるといいます。
マスク緩和「少数派に配慮を」 新たな同調圧力を懸念―意思表示マークの考案者:時事ドットコム
今後は逆にマスクを外せない人が非難されるような風潮になることを懸念する。「人はそれぞれ事情を抱えて生活しており、それらが見えない時もある。変だな、おかしいなと感じても、一呼吸置いて考えることができたら、互いに暮らしやすくなると思う」(出所:JIJI.com)
弱い立場にある人たちや少数派が、バッジのようなもので意思表示をしなければならなくなっている現実に少々違和感を覚えます。
いつから同調圧力が強まることになったのだろうかと考えてしまいます。
内心の自由
「LGBT理解増進法案」について、自民党が成立に前向きではないことを「恥ずかしいことだ」と公明党の山口那津男代表が批判したそうです。
「後ろ向きの自民、恥ずかしい」 LGBT法案、公明代表が批判 | 毎日新聞
一部の自民党議員が反対し、法案はなかなか前に進まないそうです。
内心の自由を保障する憲法19条は、権力者の力で国民の考えを導くことを防ぐために存在し、理解増進法案は疑義があると、反対者の声を記事は紹介しています。
こうした少数意見には配慮があるようです。なぜなのでしょうか。
G7 サミットが5月に広島で開かれますが、その議長国が後ろ向きな姿勢であることを指摘しているようです。
G7共通の価値観は、 「民主主義」「人権の尊重」「言論の自由」などといわれます。また、首相も価値観の共有をよく口にしていますが、どうなのでしょうか。
孤立化が心配になります。
エクジットジャパン
一部の人たちの間では、「エクジットジャパン」との声が上がり、海外移住に積極的になっている人もいるようです。
何となくわかるような気がします。言葉が軽んじられ、おかしな風潮に嫌気がさし、そんな社会を危惧しているのかもしれません。
論語に学ぶ
子 九夷(きゅうい)に居(お)らんと欲す。或(ある)ひと曰わく、陋(いや)し。之を如何せん、と。子曰わく、君子之に居らば、何の陋しきことか之れ有らん、と。(「子罕第九」14)
孔子は、いっそうのこと九つの夷狄の国にでも行こうかと思われた。そこで、ある人が「夷狄は野鄙(やひ)なところですぞ。どうされますか」というと、孔子は「君子 教養人がそこに住むならば、どうして野鄙なことがあるだろうか」と答えました。
孔子が現状に居たたまれなくなり、国からの脱出を考えたのかもしれません。社会が乱れた国にいるよりも、君子 教養人さえいれば、その方が大いにマシということなのでしょうか。
情報開示
「アベノマスク」の発注情報の国による不開示決定の取り消しなどを求めた訴訟で、大阪地裁判決が、国に開示を命じた判決が確定したそうです。
「アベノマスク」単価開示へ 国が控訴断念―大阪:時事ドットコム
記事によれば、大阪地裁は、国が業者に発注した際の単価と枚数などは「秘匿性の高い情報とは考え難い」として開示を命令し、国が期限までに控訴しなかったことで確定したといいます。今後、単価などが開示されるそうです。
訴えた神戸学院大の上脇博之教授は「常識的な結論。訴訟までしないと出てこないこと自体が異常だ」とコメントしたといいます。
これまでは、おかしな空気感につつまれていたということなのでしょうか。こうした動きで少しずつでも清浄化されて欲しいものです。
「参考文書」
G7議長国へ各国のいら立ちが形に…LGBTQの差別禁止に動きが鈍い日本と岸田首相 駐日大使の連名書簡:東京新聞 TOKYO Web