子曰わく、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。(「子路第十三」23)
(解説)
孔子の教え。教養人は、和合するが雷同しない。知識人は雷同するが和合しない。(論語 加地伸行)
社会は多様な人間が存在して成立する。その中に、君子や小人も含まれるのかもしれない。加地は、小人を知識人と解する。
「雷同」、考えもなく他の説に同調すること
国連で採択された「持続な可能な開発目標」SDGsが社会に浸透してきたのだろうか。小さな流れも、いくつも集まれば、大きな流れになっていく。大きな流れができれば、多くの人がそれにたなびき、さらに大きな潮流になっていく。
君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る
と、「里仁第四」16では、そういう。
SDGsの先駆者たちは、その理念を理解し、達成を目指していくのかもしれない。目ざとい人たちは、その大きな流れに利を求めるのかもしれない。
吾が道は一以て之を貫く
と、孔子はいい、それを曾子は「孔子の人生は、まごころ(忠)と思いやり(恕)と、それ尽きる」といった。(「里仁第四」15)
「忠恕」、SDGsの原則、「誰一人取り残さない」に近いのかもしれない。
礼の用は、和を以て貴しと為す。
「学而第一」12で出てくる有子の言葉。
そして、先王の道は斯(これ)を美と為す。小大之に由れば、行われざる所有り。和を知りて和すれども、礼を以て之を節せざれば、亦(また)行なう可(べ)からず、と続く。
和を以て貴しと為すと遠い過去からそう言われるように、「和」は、「善」とみなされてきた。しかし、それが行き過ぎると「馴れ合い」や「なあなあ」になり、マナーやモラルの乱れにつながったいく。
近ごろのSDGs活動を見ていると、そんなことを感じる。SDGsは本来、モラルのような規範(礼)になるようなものではないのではなかろうか。
(参考文献)