「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【君子之に居らば、何の陋しきことか之れ有らん】 Vol.220

 

子 九夷(きゅうい)に居(お)らんと欲す。或(ある)ひと曰わく、陋(いや)し。之を如何せん、と。子曰わく、君子之に居らば、何の陋しきことか之れ有らん、と。(「子罕第九」14)

 

  (解説)

孔子は、いっそうのこと東方の夷(えびす)の国にでも行こうかと思われた。そこで、ある人がこう言った。「東夷は野鄙(やひ)なところですぞ。どうされますか」と。すると孔子はこうおっしゃった。「君子 教養人がそこに住むならば、どうして野鄙なことがあるだろうか」と。」論語 加地伸行

 

 東方の「九夷」には諸説があるという。たとえば、その一つに「倭人」とする説があるそうだ(義疏)。

 

 

 孔子は「公冶長第五」7で、「道行なわれず。桴(ふ)に乗りて海に浮かばん」といったことを思い出す。中国脱出願望があったのだろうか。

 この章を桑原は、「孔子は本気で中国脱出を考えていたのだろうか、疑わしい。しかし、孔子にも、中国の現状がどうにもやりきれない、と痛感する瞬間はあっただろう。そして、それが本来多感で勇を好む気質と結びついて、短時間ながら冒険への空想をかなりの強度をもって抱き、また内向的な人ではないので、それを親しい側近者に洩らすことがあってとしても自然である」と解説した。

 

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 なぜ九夷であったのだろうか。孔子は野蛮な夷狄をはげしく憎んでいたはずなのだが。

  

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 君子之に居らば、何の陋しきことか之れ有らん

中国に何故「中華思想」が根付いてしまったのだろうかと考えてしまう。

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫