子曰わく、唯(ただ)女子と小人とは養い難しと為す。之を近づくれば、則(すなわ)ち不孫なり。之を遠ざくれば、則ち怨む。(「陽貨第十七」22)
(解説)
孔子の教え。「女子と小人 知識人とは、そのつきあい方が難しい。親しく優しくすると、つけあがりわがままとなる。遠ざけ厳しくすると不平になり恨んでくる。(論語 加地伸行)
古代を生きた孔子個人の嘆きなのだろうか。こうした言葉が 「論語」に記されたことで、男社会が脈々と続く誘因になったのかもしれない。もし孔子が、ダイバーシティ、多様性が問われる現代を生きたとすれば、また違った表現になったのではなかろうか。
加地によれば、「疏」では、この章が示す女子は一般論であり、すぐれた女性もいると解釈するというが、ここは君子以外の人々、または自分以外の他者との交わりと読んだ方が、「遠」と「近」の間である「中庸」、人との交わりは「中庸」を良しとする孔子の主張が活きるのではないか。また、そう読めば、仁の実践、仁を求める意味も深くなる。
人と人の交わりは難しい。「中庸」を良しとするが、その実践はなかなかうまくいかない。だから、さらに道理を学び、徳を実践し、「仁」を希求する、と読みたい。
(参考文献)