子曰わく、君子は上達(じょうたつ)し、小人は下達(かたつ)す。(「憲問第十四」23)
(解説)
孔子の教え。「教養人は根本や全体がわかる。知識人は末端かや部分について知っている」。(論語 加地伸行)
「上」には本(もと)、あるいは道徳という意味がある
「下」には末(すえ)、または財産や利益のことをいう。
孔子は子夏に、「女(なんじ)君子儒と為れ、小人儒と為る無かれ」(「雍也第六」13)と言った。
「君子の儒」とは天下の事に責任をもち、民が安んずる志を持つもの。
「小人の儒」とは自分一身を善くするにとどまって、社会的影響を持ちえぬ者のこと。
「君子は坦(たん)たらんとして蕩蕩。小人は長たらんとして戚戚(せきせき)たり」(「述而第七」36)
との言葉もある。
「君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る」(「里仁第四」16)との言葉もあった。
「君子の徳は風なり、小人の徳は草なり」。
「草 之に風を上(くわ)うれば、必らず偃(ふ)す」(「顔淵第十二」19)
有若の言葉だが、「君子は本を務む。本立ちて道生ず。孝弟は其れ仁の本為るか」 (「学而第一」2)とある。
「君子は上達し、小人は下達す」
「下意上達」、「上意下達」という言葉にも通じるのであろうか。
(参考文献)