「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

処分はされるが、長く解決することができない問題、東電とみずほの場合 ~炉辺閑話 #42

 

 あの時から10年の歳月が過ぎ去った。それなのに、東電は一向に改善にされることが無いようだ。柏崎刈羽原発でのテロ対策不備などの問題を受け、小早川社長と原子力関連のトップ牧野常務を処分すると発表したそうだ。

小早川社長ら減給処分 原子力部門の新潟移転検討―東電:時事ドットコム

 JIJI.COMによれば、再発防止のため、原子力部門の本社機能の新潟県内への移転を検討するよう、小林会長が小早川社長らに指示したという。

 これまで経営トップがいくたび代わったことか。歴代トップは本気で、問題解決しようとの意識があったのだろうか。今回もずいぶん遅い判断だったといわれても仕方ないのだろう。もうそろそろ東電による原発再稼働は諦めた方がよいときが来ているのかもしれない。

 

 

 金融庁が、システム障害を相次いで起こしたみずほに、業務改善命令を出したという。

みずほシステム、異例の国管理 新事業凍結も(1/2ページ) - 産経ニュース

 産経新聞によれば、みずほ側にシステムの保守や更新作業の計画について提出を求め、事実上管理するという。金融庁が検査の終了を待たずに、大手銀行のシステムを管理するという極めて異例の対応で、原因究明と再発防止の徹底に全力を挙げるそうだ。

 金融庁によるこのタイミングでの介入はよいことなのだろうか。問題解決されずに尾を引くような事態になることを恐れる。この方法で問題は解決に向かうのだろうか。

f:id:dsupplying:20210507163648j:plain

 東電にしろ、みずほにしろ、なぜ長い時間をかけても一向に改善されることがないのだろうか。私たちの生活に欠かすことのできない重要なインフラなだけに、相次ぐ不祥事に強い危機感を覚える。

論語の教え

「士は以て弘毅(こうき)ならざる可(べ)からず。任 重くして道 遠ければなり。仁 以て己が任と為す。亦(また)重からずや。死して後已(や)む。亦遠からずや」

とは、論語「泰伯第八」7 にある曾子の言葉で、家康遺訓の原形と言われる。

dsupplying.hatenadiary.jp

「弘毅」の必要をずばりといい、任務の達成にそれが必要だから、と出し、次にその任務とは他ならぬ「仁」の完成である以上、それは重大にして高遠でなくて、どうしよう、と二回まで押して納得させると桑原武夫は解説する。

「弘毅」とは、大らかで強い意志を持つこと。

「死して後已む」というのは、生命を投げ出して死ぬことによってのみ、任務が完成しうるという意味ではない。人間は死の瞬間まで務めねばならぬ、生きているかぎり任務から解放されることはないと意味する。得てして日本人は、生命さえ捨てれば万事解決、と思いがちと桑原武夫は解説する。

 

 

「仁」、孔子思想の基本概念、愛情を他に及ぼすこと。いつくしみ。なさけ。思いやりなど。つまり思いやりの心で万人を愛するとともに、利己的欲望を抑え、礼儀や社会的規範を守り実践することなどといわれる。

己れの欲せざるところ、これを人に施すなかれ

孔子この言葉が「仁」をよく表しているとも言われる。

dsupplying.hatenadiary.jp

 東電やみずほの経営トップに、ほんとうにお客様のために問題解決しようとの気持ちがないのかもしれない。

「死して後已む」、命に懸けても絶対に解決してみるとの強い信念ではなく、桑原が指摘したように、問題が解決できなければ、辞めればいいと安直に考えているのかもしれない。それでは、いつまでも問題は解決されることはないのだろう。

 こうしたことが社会に蔓延っていないだろうか。そう思うことが続いているようだ。身の毛がよだつ思いがしている。 

 

「参考文献」