「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

価値観が2025年に変わるって、ホントか ~炉辺閑話 #35

 

 「この会社を救うのか、それとも、地球を救うのか」、と話すのはユーグレナ社の出雲充社長。そんなに遠くない未来に価値観の変化が起きるといいます。

世の中の変化は、常に我々が思っているより早く起こります。25年がターニングポイントになる。私は本気でそれを信じています。 (出所:日経スタイル)

ベンチャーこそSDGs実現へ、2025年が価値観転換期に ユーグレナ・出雲社長|NIKKEI STYLE

「今、社会に求められているのは、儲けを最優先するこれまでの「金融資本主義的価値観」から、「サステナビリティ」を重視する価値観への転換です」と出雲氏は指摘し、「そんなに簡単じゃないでしょと思うかもしれませんが、私は25年を境にその価値観の大転換が起きると信じています」といいます。

 その根拠は、2025年に、15~64歳の生産年齢人口の過半数を「ミレニアル世代」以降の人々が占めるようになるからといいます。ミレニアル世代とは2000年以降に成人した世代で、今の資本主義に限界を感じ、心の底からサステナブルを欲しているという特徴がありますと説明します。

 

 

 あまり「危機、危機」と言って危機を煽るつもりはありませんが、現実、「地球温暖化」、「パンデミック感染症の世界的大流行)」の問題が顕在化し、人類の生命が危機にさらされています。人類が今すぐに滅亡する訳でもないのでしょうから、そんなに切迫感はないのかもしれませんが、自分の生活のすぐ横に、そうしたものがあると思えば、心穏やかでいることはできません。

 今年8月、西日本を中心に記録的な大雨を、気象庁は、地球温暖化による「異常気象といえる」と指摘したそうです。

今後も同じような「異常気象」は起こりえると指摘したうえで、地球温暖化の影響で水蒸気量が着実に増え、これまでにない雨量が各地で観測される可能性が以前よりもはるかに上がってきている (出所:NHK

 出雲氏が指摘するように、もっと「サステナビリティ」に近づいていくべきなのかもしれません。そのために社会のしくみや経済構造に変えていかなければならないのでしょう。

 今となりにある危機からすれば、手っ取り早いのは、脱化石燃料であったり、公衆衛生の再構築であったりするのでしょうか。

 

 

君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る

 論語「里仁第四」16 にある言葉で、「君子 教養人は道理を理解し、小人 知識人は損得を理解する」との意味です。

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「大手企業がSDGs推進に真正面から取り組むのは困難」と出雲氏は指摘、「でも、ベンチャー企業ならそれができると思います」といいます。守るべき既得権益もなく、組織が小さく機動的に動けるからとのその理由を明かします。

誰かを犠牲にして自分だけが幸せになることをよしとしない。短期的課題の解決ではなく、未来がずっと続いていくためにできることをする。(出所:日経スタイル)

 出雲氏は「義」を説いているのでしょうか。

 

 

 DeNAの会長で、経団連の副会長でもある南場智子氏が、その出雲氏を「この方はミドリムシジェット機を飛ばすんですから、すごいですね」と、話しています。

保守的なフランスが起業家大国に 日本に必要なのは「ヒーロー」だ:日経ビジネス電子版

着眼点も冴えてますが、泥臭い汗もかきます。

米国のASTMという規格に合格しないと日本でもジェット燃料として認められないのですが、審査をしてもらうところまでたどり着くのに数年がかりの粘り腰の交渉をし、晴れてASTMの認める6番目のジェットエンジン製造法であるとのお墨付きを得たわけです。 (出所:日経ビジネス

 その南場氏は、経団連の副会長となって、しきりに、「スタートアップがどんどん生まれて育つエコシステムを発展させることは日本経済にとって急務」と言います。

 出雲氏の事例からしても、そうなのでしょうけれど、社会のしくみを変えていくには、既得権益に縛られることなく、機動的に動けるベンチャーが増えていけばいいのかもしれません。

論語の教え

「速やかならんと欲する無かれ。小利を見ること無かれ。速やかならんと欲すれば則(すなわ)ち達せず。小利を見れば、則ち大事成らず」、とは 論語子路第十三」17の言葉です。

「成果を急がないことだ、目先の小利を求めないことだ。速く成果をと思うと、到達しない。小利に目がくらむと、大きな仕事が完成しない」との意味です。

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 DeNAを一から立ち上げた南場氏。自身の経験からなのでしょうか、「社会のためにはなるが、個人のためにならないことなら私もこんなに力んで人に起業を勧めたりしません」といいます。