「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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AI活用のためには倫理、大手IT企業で倫理委員会の設置相次ぐ ~炉辺閑話 #34

 

 米IT大手、AI新技術の活用にブレーキ、倫理的問題に直面とロイターはいう。何気なくチャットボットや写真のタグ付け機能に導入されたAIであったが、AIの欠点が指摘されるようになり、大手IT各社は倫理委員会を設立しようになり、サービスの内容によってはAIの導入を断るケースも出てきたという。

 焦点:米IT大手、AI新技術の活用にブレーキ 倫理的問題に直面 | ロイター

技術は人種や性別にまつわる差別を永続化させかねず、倫理的に危うすぎる。

AIシステムは過去のデータやパターンから学ぶ必要があるため、有色人種その他、社会の主流から取り残された人々への差別的慣行を繰り返すリスクがある (出所:ロイター)

 道理や常識でもAIを活用することができれば、争いや訴訟に発展していくようなことも減るのかもしれないが、同じ理由で、まだ時期尚早、実現することは難しいのだろうか。 

 

 

人気ゲーム「フォートナイト」を開発したエピックが、アップルのアプリ内課金制度が反トラスト法(独占禁止法)に違反するとしてアップルを訴えた裁判で判決があった。

 連邦地裁は、アップルに対し、外部課金への誘導を認めるよう命じた一方で、最大30%のアプリ内課金を引き続き認めたという。

 アップルは判決を歓迎するコメントを発表し、エピックのCEOは不満をツイートし、控訴の可能性を匂わした。

アングル:アップル判決、グーグルに有利か 課金ルール見直し | ロイター

 ロイターによれば、裁判を担当した連邦地裁のゴンザレス・ロジャース判事は、流通に規制を設けることでユーザーはウイルスなどを懸念せずアプリを購入できると指摘したという。

「アプリを審査して詐欺や不快なコンテンツ、著作権を侵害するものを排除するとともに、個人情報の取り扱いに厳しい基準を設け、『広い』意味で安全性が向上する」とした。 (出所:ロイター)

 さらに判決文は、アップルが得る手数料が「桁違いの利益」をもたらしているが、制限緩和をアップルに強要すればアプリ開発業者にプラットフォームを提供しても収益を得られなく恐れがあると指摘したという。高度な安全性と集中管理という、アップルが主張する利点が損なわれる恐れがあるとしたそうだ。

 

 

論語の教え

「富 求む可(べ)くんば、執鞭(しつべん)の士と雖(いえど)も、吾も亦(また)之を為さん。如(も)し求む可からずんば、吾が好む所に従わん」と、論語「述而第七」11 にある。

「まっとうな生き方によって得られるならば、どんな賤しい仕事についても金儲けせよ。しかし、まっとうではない手段をとるくらいなら、むしろ貧賤でいなさい」と、渋沢栄一は解す。

dsupplying.hatenadiary.jp

 一方、加地は「儲かることができるものならば、通行者の整理のような仕事であろうと、私はそれをしよう。しかし、それによって特段儲かるような仕事でないのならば、貧乏を覚悟で自分の好きな道に没頭して暮らしたい」との意味とする。 

 

 

 今回、エピックとアップルの裁判で、判事は「成功は違法ではない(Success is not illegal)」と指摘、独禁法違反ではないと判断したという。

 アップルがApp Storeを作ったことで、人々は安心してアプリをダウンロードできるようになり、利用できるアプリの数と種類が増えた。ただ開発者にとっては、その市場はハードルが高く制限も多く、まるでアップルのために働くように高額な手数料が持っていかれてします。

 孔子の言葉からすれば、アップルは合理的なことをやっているのだろう。ただ、まっとなこととはいえ、少し金儲けするほうに寄り過ぎているのかもしれない。

人はときに判官びいきで、偏った判断になったりすることがある。そんなときにAIの活用もあるかと思うが、まだその活用も危うそうだ。

 その活用のために、倫理委員会の設置が必要というのだから。

 まだまだ自ら道理や道徳を学び、実践していくしかないのだろう。