「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

見送られる国の歳出改革、それで将来の不安を解消できるのか ~ 炉辺閑話 #69

 

 財務省財政制度等審議会が来年度の当初予算案の編成に向けてまとめる提言の内容が明らかになったという。

新型コロナ対策補正予算「戦後最大の例外」 財務省審議会 | 来年度予算案 | NHKニュース

 新型コロナ対策として70兆円を超える規模の補正予算を組んだ昨年度の状況を「戦後最大の例外」と位置づけ、財政の健全化を着実に進めるよう求めることがわかったという。

戦後最大の例外

 事情があることは理解はできるが、やはり異常のような気もする。一定の効果はあるのだろうが、根本解決につながらない施策を続けているように思えてならない。何事も過ぎれば、どこかで破綻するのが常である。

 

 

 OECD 経済協力開発機構が、日本の財政・金融・エネルギー政策の現状と課題をまとめた対日経済審査報告書を公表した。日銀の金融緩和については早期に縮小させないのが適当と指摘し、財政再建策として消費税率の1%ずつの引き上げや炭素税など複数のシナリオを示したという。

金融緩和、早期に縮小させないことが適当=OECD対日報告 | ロイター

 ロイターによれば、財政健全化の手法として、消費税率の毎年の引き上げや、炭素税の引き上げ、デジタル化による社会保障費用の改革で歳出効率の改善、年金受給開始年齢の引上げなど複数のシナリオを提示したという。

 外部機関であるから、効果があがりそうなことを何のしがらみもなく指摘できるのだろう。

正しき政治

 こうした状況を続けていると、ふと政治とは何なのだろうかと考え込んでしまう。

もしも今日、政党にして、真に正しき考えや正しき知を以てこれを行わんことに心掛けたならば、日本の今日の政治は正しき政治が行われていねばならぬ筈である」と渋沢栄一はいう。

正しくないことによって党の利益を図り、党利の為に正しくないことを行うことは、日本の政党界の現状ではないか。

即ち党利の為にある利権を与え、そして正しくないことを行うのであるから、何時までも政党は正しきことを行うことが出来ないようになる。(出所:「実験論語処世談」 渋沢栄一記念財団

 栄一が存命の頃から、政治に大きな変化はないということであろうか。

 

 

論語の教え

「苟(も)し我を用うる者有れば、期月(きげつ)のみにして可なり。三年ならば成る有らん」と、「子路第十三」10 にある。

 孔子が「もし私を用いて政治を担当させてくれれば、一年でよろしい。三年ともとなれば、必ず功を挙げる事が出来る」といったという。

dsupplying.hatenadiary.jp

 栄一曰わく、「誠に我を用いて国政を委任する諸侯があったならば、一年で略政治の事も緒につき紀綱(=根本となる制度や規則)を張ることも出来るが、それを三年やったならば、治定まり功なりが行われるようになる」と孔子がいったと解説する。

その国の王者が、単に論理ばかりでなしに実際に一般国民の為に仁政を行ったならば、その国はよく治って行く訳である。

即ち国民の苦痛を救い、楽しみを与えることは、孔子の常に考えておられた事である。(出所:「実験論語処世談」 渋沢栄一記念財団

 現在の政治はどうなのだろうか。

「国民の苦痛を救い、楽しみを与える」という仁政が敷かれているのだろうか。

繰り返される浪費

 政府が、来年度予算編成の基本方針を閣議決定したそうだ。

「財政支出は躊躇なく」…消えた「歳出改革」 政府、来年度予算編成の基本方針決定 財政審は財政再建要求:東京新聞 TOKYO Web

例年盛り込まれてきた「歳出改革」の表現は消え、積極的な財政支出の姿勢を明確にした。(出所:東京新聞

「危機に対する必要な財政支出は躊躇ちゅうちょなく行い、万全を期する」と記載、「経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」とも明記したという。

 繰り返される浪費にならないだろうか。同じことが繰り返し、解決の兆しが見えなければ、それは浪費、ムダ使いになってしまう。それよりは、まず将来への不安を解消することが先決のような気がする。