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【色々なCOP26】グリーンピースに批判されるトヨタ、言い訳を始める日本政府 ~ 論語の教え #9

 

 環境保護団体グリーンピースが、COP26に合わせて主要自動車メーカーの脱炭素化の取り組みのランキングを発表した。残念ながら、日本のトヨタ自動車は最低評価になったそうだ。

トヨタ、脱炭素化で最低評価 環境団体がランキング発表:時事ドットコム

グリーンピースは報告書で、トヨタの2020年の世界販売に占めるEVや燃料電池車(FCV)の割合はわずか0.12%だったと紹介。その上で「エンジン車の段階的廃止の目標を持たないだけでなく、EVへの全面移行に対する業界最大の障壁となっている」と批判した。 (出所:JIJI.COM)

 

 

 EVへの全面移行がユートピアとすれば、EV推進を含め全方位作戦を進めるトヨタの独自の脱炭素化路線が評価されないの当たり前のことなのだろう。

 ユートピアを探し求め、そこに向かっていくのがいいことなのかもしれない。時として時間が経過すると、それがユートピアではなかったこともあるものだ。

 脱石炭を進めたい国際社会が未だその方向で一致をみることがなく、仮に自動車をEV化しても、今ゼロエミッションを達成できる訳ではない。

 批判覚悟で、実用的な脱炭素プランを提案するトヨタには何か期するものがあるのだろうか。

人事尽くして天命を待つ

「死生(しせい)は命(めい)有り、富貴(ふうき)は天に在り。君子敬して失うこと無く、人と恭々(うやうや)しくして礼有らば、四海の内、皆兄弟為(た)り」と、論語「顔淵第十二」5 にあります。

 兄弟がなかった司馬牛が子夏に向って、兄弟が無く心細くて堪えられないと語り、これを聞いた子夏が司馬牛を慰め、かつて孔子から聞いた言葉で諭したという。

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人の死生には天命があつて、死すべき時には何人といえども皆死ななければならない。富貴も天命によるものであって、人力にては如何とも為すべからざるものであると諭した。

されば天命に逆らう事なく、死生富貴を度外に置き、自分の為すべき本分を務むべきである。(参考:「実験論語処世談」 渋沢栄一記念財団

 国際社会が脱炭素を求める以上、それに向かって任務をまっとうしよう。今、批判があるなら、それを受け入れよう、いつか自分たちの本分が理解されるはずである。この一文を読むと、トヨタがそんなことを考えているのではないかと思えて来る。

 

 

君子たる者は事を敬して失徳の行いなく、人と交わるには恭謙にして礼譲があれば、天下の人はことごくこれを愛敬して兄弟と同様である。すなわち肉身の兄弟は無くとも無限の兄弟があるのである。されば人間としては自ら力めて徳を修むるに専心すべきであつて、兄弟のないのは少しも憂愁するに足らぬと答えた。(参考:「実験論語処世談」 渋沢栄一記念財団

 一方、政府は経済対策でEV電気自動車用の充電ステーションなどの整備を進めるそうだ。国際社会と協調していこうとの顕れなのだろうか。ただ、発電は未だ火力に頼り、その姿勢を改めようとせずに国際社会から非難を受けている。

 それを受けてのことか、関係大臣が言い訳を始めている。

「石炭火力については排出されるCO2を削減し、早期に脱炭素化することが重要だ」と、COP26で受賞した「化石賞」について山口環境相がそう述べ、会合で合意した石炭火力廃止の声明に日本が加わらなかった理由を、「資源が乏しく多様なエネルギー源を活用する必要がある」と、を萩生田経済産業相が説明したという。

 

 

 総論反対、各論賛成ということなのだろうか。

 国際社会の大きな流れに抗って、細流の中から賛成できることだけに賛成する。それでは論理に矛盾が生じかねず、国際社会からますますおいていかれるだけなのだろう。

論語の教え

「三年学びて、穀(さいわ)いに至らざるは、得易からざるなり」と、「泰伯第八」12 にあります。

「学問を三年しても一向利禄のこと等は眼中に置かず、なお一意専心学問を続けて行かうというような、真に自己の為に学問をするといふ篤学の人は、誠に得難いものである」ことを意味する。

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 渋沢栄一は、学問のあり方を嘆き、それが後々の災禍になることを憂いていたようです。

今の如くただ利禄の為名前を売る為に勉強するのみであったならば、自然道徳は廃れ、ただ権利のみを主張して義務は忘れ、世の中の秩序というものは何時とはなしに乱れて、遂には収拾することの出来ない状態に陥り、果ては自他共に亡びて行かねばならないということとなってしまうのである。(参考:「実験論語処世談」 渋沢栄一記念財団

生き残りは難しい

EV化に揺れる日本の自動車産業源流の地-静岡の中小部品存続懸念も - Bloomberg

エンジンを動力源とする従来の自動車は約3万点もの部品で構成され、それを支える多くの自動車部品メーカーが巨大なピラミッド構造のサプライチェーン(部品供給網)を形成。高品質な車を生産することで部品産業も繁栄を続けてきた。

ハイブリッド車(HV)であればエンジン回りの部品や燃料ポンプ、マフラーなどの部品は引き続き使われるが、各国が近年、環境規制の強化を打ち出したことでHVを飛ばして一気にEVに移行する可能性が高まってきたことでサプライチェーン内で危機感が高まっている。(出所:ブルームバーグ

 この混乱はいつになったら収束していくのだろうか。SDGsや気候変動を学校で学ぶ子供たちが社会や政治の場で活躍するまで待つしかないのだろうか。