オミクロン株の猛威で、郵便局の一部が休止、コンビニにファーストフード店の一部も休業するなど生活インフラにも影響が出ているといいます。ピークアウトするにはもう少し時間がかかるとの専門家の意見もあるようです。政府に対策を求める声が大きくなっているのでしょう。
「コロナを経験するまで、日本はそれなりのことができる国だとわれわれは思っていた」
と、萩生田光一経産相が30日のフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」で発言したといいます。
国内でワクチンが生産できない、マスクがない、注射針がない、給湯器の半導体やコネクター、ハーネスがないため風呂に入れない国民がいる。先進国として恥ずかしい実態が露呈した。われわれは、コロナ前とコロナ後では価値観を変えていかなければいけない。(出所:FNNプライムオンライン)
日本の衰退とは思いたくないですが、そう表現せざるを得ないのでしょうか。現在の円安も日本の競争力低下と表しているとの意見もあるようです。
こうした状況が続くようであれば、極端な意見が出てきてもおかしくないのでしょう。
ユーグレナの出雲社長が、斎藤幸平氏の「人新世の『資本論』」を論評し、「一発逆転」を狙う考え方ではないかと疑問を投げかけます。
今の地球が先の大戦の末期並みに危機的であることは確かなのですが、「世界最大の戦艦『大和』を造れば劣勢を挽回できる」という戦時中のお偉いさんや知識人たちが抱いた一発逆転的な発想では結局、物事を動かすことはできないのではないでしょうか。
「脱成長コミュニズム」への大転換で、今の資本主義の欠陥を全部直すというのは確かに実現できれば素晴らしいのですが、ミドリムシ的な発想の私としては一歩ずつ地味にやっていくしかないと思うのです。(出所:日経スタイル)
出雲氏は、日本は総論賛成・各論反対の傾向が強いことを指摘、「そんな国で、脱成長への大転換なんて絶対に難しいでしょう」といいます。今の日本の実態、実力を表している言葉なのでしょうか。
成長を求めても成長に至らず、交わされる議論は空論ばかり。成長が期待できる新規事業は生まれず、取り組みはあっても補助金頼りで、それは政府の指針に従っているだけ。自ら創造することがなくなっているのかもしれません。
論語に学ぶ
「富 求む可(べ)くんば、執鞭(しつべん)の士と雖(いえど)も、吾も亦(また)之を為さん。如(も)し求む可からずんば、吾が好む所に従わん」と「述而第七」11にあります。
「正当な方法で富が得られないのであれば、いつまでも富に恋々としていることはない。気に入らないことをして富みを手にするより、むしろ貧賤に甘んじてまっとうな生き方をした方が良い」との意味と渋沢栄一が「論語と算盤」で述べています
栄一は、正しい道や道徳によって富が得られるならと解釈します。
「まっとうな生き方によって得られるならば、どんな賤しい仕事についても金儲けせよ。しかし、まっとうではない手段をとるくらいなら、むしろ貧賤でいなさい」。 (引用:「論語と算盤」P93)
与えられることをただこなすのではなく、求められていることを自らも求めて実行すべきなのでしょう。功を焦らあず、一歩一歩、着実に進めよということかもしれません。
SDGsに、脱炭素、それに加えてデジタル化、そこには大きな市場があるという予測データが常に報道されています。
ソニーが新規事業として、EV 電気自動車を始めるそうです。またドローンを内製化し、新たな市場作りも始めたようです。
政府が提唱するデジタル化ばかりに目を奪われていると、行先を誤るのかもしれません。自分の強みを明らかにし、デジタルとの融合を図っていくべきではないでしょうか。
ソニーの強みのひとつにものづくりがあるのでしょう。ハードウェアで顧客と接点をつくり、デジタルでそのつながりを強化し、それを収益の柱にしていくということかもしれません。もちろんそこには社会課題の解決に貢献すると大きな目標があることはいうまでもありませんが。
「参考文書」