「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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なぜ企業の不正は続くのか、東レまでも、樹脂の燃え難さを証明するUL認証を不正取得

 

 2月に入り、暖かい春が待ち遠しくなります。とはいえ、まだまだ寒い日が続くのでしょうか。関東地方では雨も少なく、このところ乾燥が続いています。

 そんな中、またも「検査不正」とのニュースが流れています。プラスチックスや繊維などを製造販売する東レが米国の第三者安全機関 UL(Underwriters Laboratories)の認証登録を不正取得していたと発表しました。プラスチックスが燃えないことを証明する重要な認証です。

当社樹脂製品における第三者認証登録に関する不適切行為 および有識者調査委員会の設置について | ニュース一覧 | TORAY

 東レによれば、ULが定める樹脂の難燃性能を示すUL94の規格において、ULが実施する認証試験で指定されたグレードと異なる、試験用のサンプルを作成し、提出していたといいます。また、認証登録された品種の一部では、登録時の組成と異なるものを製造・販売したいたそうです。

 

 

 対象は、家電製品などに多く使用されているABS樹脂の「トヨラック®」、ナイロン樹脂やPBT樹脂、PPS樹脂「トレリナ®」、LCP樹脂、PLA樹脂「エコディア®」など。

 難燃性とは、プラスチックスの燃え難さを示しています。試験片に規定の炎を接炎し燃焼時間と滴下物の有無により評価します。プラスチックスの燃え難さはこの試験に従い、いくつかのグレードに分類されます。実使用面では製品が異常発熱を起こしても、最も難燃性が高いグレードでは、対象プラスチックスが発火しないということになります。

プラスチックスの難燃化の歴史

 今や多種多様なプラスチックスが家財や装置に使用されています。それらが燃え難くなれば、「財」への延焼を遅延させることができ、避難する時間を稼ぐ効果があるといわれます。

 一般に、プラスチックスは熱が加わると、溶けて燃えます。プラスチックスを難燃化することにより、延焼面積の拡大を低減させ、火災を抑制することができるといわれます。そこには過去の苦い経験がありました。

 1700年代にはフランスの劇場火災を端に、繊維の難燃化が始まったといいます。それをきっかけに難燃剤の開発が進み、今日に至っています。

 半導体メーカルネサスの那珂工場で昨年、火災が起き、火元はメッキ装置とされました。原因究明は続いているようですが、その装置のプラスチックス系部材が燃えたということは本来であれば、あってはならないことであったはずです。

 

 

論語に学ぶ

「法語(ほうご)の言(げん)は、能(よ)く従う無からんや。之を改むるを貴しと為す。巽与(そんよ)の言、能く説(よろこ)ぶこと無からんや。之を繹(たず)ぬるを貴しと為す。説こびて繹ねず、従って改めず。吾 之を如何ともする末(な)きのみ」と、「子罕第九」24にあります。

「正論には従わないことができようか。正論に従い欠点を改めるのがよい。一方、遠まわしの忠告の場合、喜ばない者はない。しかし、その真意を求めることが大切。けれども、喜ぶだけで真意を求めないものだから、欠点を改めない人がいる。こういう人はどうしようもない」との意味です。

dsupplying.hatenadiary.jp

 過ちを犯すことのない人などいない、というのが現実なのかもしれません。しかし、極めて重要な問題に対しては、正論をもってして正してもらいたいものです。

 問題となっている東レプラスチックスを使用した自動車や家電では、これに起因する事故は報告されていないといいます。この言葉に惑わされることなく、厳正なる対応を求めます。

 

 

「巽与(そんよ)の言、能く説(よろこ)ぶこと無からんや。之を繹(たず)ぬるを貴しと為す。説こびて繹ねず、従って改めず」

 最近の風潮だったりするのでしょうか。遠回しの表現では真意が掴めず、過ちのもとになったりするのかもしれません。

 

「参考文献」

難燃材料の規制動向と開発の方向性 大越雅之