「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

気候危機に苛立つ若者に理解を示し、危機感の欠如を指摘するオバマ元大統領 ~ 炉辺閑話 #61

 

 英国グラスゴーで開催中のCOP26で、オバマ米大統領が登壇し、若者たちが感じる気候変動対策への「いら立ち」に理解を示し、大半の国が「パリ協定」で行った誓約を果たしていないと指摘したという。

「若者よ、怒り持ち続けろ」 オバマ氏、気候変動で活動称賛―COP26:時事ドットコム

 「怒りを持ち続けてほしい。いら立ちを感じ続けてほしい。この問題を解決するためにはそれが必要だ」と、オバマ元大統領は呼び掛けたそうだ。

 

 

 ブルームバーグによると、COP26の大半の内部関係者も、気候変動対策の進展は不十分との見解に同意しているという。

COP26気候変動会議が第1週後に立つ場所 - Bloomberg

各国政府や企業、資産運用会社は排出削減への取り組みを強めているものの、COP26で各国が示した排出削減目標が実際に最大限実行されたとしても国際的枠組み「パリ協定」が掲げた、今世紀末までの世界の平均気温の上昇幅を産業革命前と比べて1.5度以内に抑えるとの努力目標には届かない見通し。(出所:ブルームバーグ

 なかなか上手く進展していないというところだろうか。

脱炭素に後ろ向きにみえる日本企業

 読売新聞によれば、メーカーや商社、小売りなど約250社を対象に、脱炭素ビジネスについて調査した結果、関心があると回答した企業は92%にのぼったそうだが、実際に取り組んでいるのは61%だったという。

「脱炭素」ビジネス、収益化は大手でも1割…中小企業は「関心ない」6割 : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン

取り組んでいない企業に理由を聞いたところ、「方針や体制がない」(31%)、「どう取り組めば良いかわからない」(27%)と答えた企業が多かった。未知の事業分野への参入には慎重な企業が多いとみられる。(出所:読売新聞)

 特に、資金力が弱い中小企業は、さらに消極的な姿勢が目立つという。大阪商工会議所の調査(今年2~3月)では、脱炭素ビジネスへの参入に関心がないと答えた企業は約6割に達していたという。

 一部が積極的に取り組んでいても、まだまだ大きな流れを形成するには至っていないということだったのか。このままでよいのだろうか。

 

 

情、動機を善導する

「人間が物事を考えたり行ったりするに当って、第一の動機となるものは情だ」と渋沢栄一はいう。論語「述而第七」17にある、「子の雅言(がげん)する所は、詩、書、執礼(しつれい)。皆雅言す」を引用する。

 この章にはいくつかの解釈があるが、栄一は朱子説を採用し、孔子は常に弟子たちに教えるときは、今使われる新しい言語を用い、智、情、意を善導するに絶えず心を注いでいたという。

詩経」周南第一の序にも、「情中に動いて言に形わる」とある通りで、情が動いて、初めて人間は色々と考えたり、その考えた事を言行に発したりするやうになるものゆえ、人は何より先に情の発動を正しくするに努めねばならぬのだ。(参考:「実験論語処世談」渋沢栄一記念財団

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詩経」は周の文王の徳を称えた詩篇で、その人情を重んぜられた趣が顕れており、人が日常「詩経」に親んで暮らすようにすれば、自然と情の発動が善導されて人情を重んずる高尚な心情の人物にもなり得ると、栄一はいう。

 

 

 新しい首相の下で、初めての経済財政諮問会議が開催され、可処分所得の引き上げを目玉にした政策について協議したようだ。また、新型コロナの経済対策として、給付金の骨格も見えはじめてきた。

 現金給付にポイント付与.....

 首相の人情なのだろうか。こうした施策によって、人情あふれる社会は形成されていくのだろうか。

論語の教え

「哀公(あいこう) 有若(ゆうじゃく)に問いて曰わく、年饑(う)えて用足らず。之を如何せん、と。有若対(こた)えて曰わく、盍(なん)ぞ徹せざらんや、と。曰わく、二も吾猶足らず。之を如何ぞ其れ徹せんや、と。対えて曰わく、百姓足らば、君 孰(たれ)と与(とも)にか足らざらん。百姓足らずんば、君 孰と与にか足らん」と、「顔淵第十二」9にある。

哀公が有若に尋ねた。「近ごろ不作で費用が不足だ。どうすればよかろう」と。有若は答えた。「どうして税率を十分の一になされませぬか」と。

哀公は言った。「十分の二の税でも不足なのに、それをどうして十分の一に下げられようか」と。有若は答えた。「もし民の生活が十分でありますならば、君上はだれと不十分となるのではありましょうか。もし民の生活が不十分でありますならば、君上はだれと十分となるのでありましょうか」と。(引用:論語 加地伸行

「民は国の本であるから、君王たるものは民を愛さなければならぬ」ということだと栄一はこの章を解説する。

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 栄一は資本主義ということばを使わずに合本主義という用語を用いて、より公益や規範を重視し、より多くの民を潤すことを願った。

新しい資本主義

「新しい資本主義」という言葉の名の下、新政権が動き出している。

 まだ全体像がしっかり見えていないようだが、人気取りの政策に陥ることなく、この先、真に国民を永続的に潤すようになることを願わずにはいられない。

 

 

環境問題、若者の怒り「当然」 オバマ氏がCOP26で演説 写真9枚 国際ニュース:AFPBB News

 COP26で演説したオバマ元大統領は、自身の世代にある気候変動への危機感の欠如は、不安と怒りの「真の根源」となっていると言及し、若者たちに「いら立ちを感じるのも当然」と演説したという。

私の世代は、あなた方が受け継ぐ、壊滅的な可能性のある問題に十分な対処をしてこなかった」と話した。(出所:AFP BB NEWS)

 今、目の前には「気候危機」という大きな問題が、解決されないままにある。