「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【回や其れ庶きか。屢空し。賜や命を受けずして貨殖す。億れば則ち屢に中たる】 Vol.274

 

柴(さい)や愚、参(しん)や魯(ろ)、師や辟(へき)、由(ゆう)や喭(がん)。

子曰わく、回(かい)や其れ庶(ちか)きか。屢(つね)空(むな)し。賜(し)や命を受けずして貨殖(かしょく)す。億(はか)れば則ち屢に中(あ)たる、と。(「先進第十一」18)

 

  (解説)

柴君は愚直、参君は重厚、師君は習熟。由(子路)君は強気と言い、孔子はこう続けた。「回(顔淵)君こそ、私のありかたに近いぞ、毎(つね)に心空しの状態となる。賜(子貢)君は天命を待ち受けず、自力で財産を増やす。考えて発言するが、いつも正確である」と。論語 加地伸行

  

「柴」は高柴のことで、「愚」、これ一筋とする気持ち。

「参」は曾参のことで、「魯」地味だがよく心得ている態度。

「師」は子張のことで、「辟」華麗で熟達している態度。 

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 「子張第十九」15で、「及び難い優れた人材だとは思うが、仁には至っていない」と子游に言われる。

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「由」は子路のことで、「喭」自信があって剛情なありかた。 

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 顔回の「空」以外、弟子たちは性格としてそれぞれの持ち味を特徴としつつ、内実として何かを有している。それと虚心「空」との対比を表していると解すると加地は解説する。

 

 

 

 「賜」は子貢のことで、「貨殖」は財貨を殖やすこと。「億」は判断すること。

 子貢、本名を端木賜(たんぼくし)といい、孔子より32歳年少。孔門十哲の一人。「言語に宰我(さいが)、子貢」(「先進第十一」3)と言われるように、弁舌にすぐれた秀才で、利殖の道にもたけて孔門第一の金持になったという。

 

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(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫