「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

消費者物価指数が2%超に、世界に比して低水準は良しとすべきなのか

 

 先進各国が高いインフレに悩まされています。米国では消費者物価指数(CPI)が、前年比8.3%の上昇となったといいます。食品とエネルギーが主要因になっているそうです。ハンバーガーの価格でその上昇がよく理解できるとForbesが言います。

米インフレ、ハンバーガーの値段をどう変えた? 肉類に最大の影響 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 日本でも4月の全国消費者物価指数が前年同月比2.1%上昇となったといいます。エネルギーや食料の価格が上昇したことで、3月の0.8%上昇から一気に加速しました。日本銀行は物価上昇は持続しないとみているそうです。

4月コアCPI2.1%上昇、日銀の目標水準に到達-13年半ぶり伸び - Bloomberg

 ただ他の先進国に比較すれば、日本の物価上昇率はまだ例外と言えるそうです。

 価格の上昇がニュースになることをひどく嫌う傾向にあり、現在のように経済が世界的に混乱するなかでも、企業は値上げを避けようとしているとForbesは指摘、 こうした低成長を容認する日本のアプローチは、少なくとも現在のような状況においては、都合がよかったともいえるといいます。

日本は、欧米が実施している対ロシア制裁に全面的に加わっているわけではない。だが、それでもウクライナ情勢の影響は、日本の消費者物価にも表れ始めている。(参考:Forbes)

 

 

 他国には現在の日本がこのように映っているということなのでしょうか。良いのか悪いのか、よくわかりません。

 物価が低く抑えられているのはまど良いかもしれませんが、低成長のままで、賃金の上昇が抑制されているという現実はなかなか受け入れがたいものもあります。

論語に学ぶ

柴(さい)や愚、参(しん)や魯(ろ)、師や辟(へき)、由(ゆう)や喭(がん)。

子曰わく、回(かい)や其れ庶(ちか)きか。屢(つね)空(むな)し。賜(し)や命を受けずして貨殖(かしょく)す。億(はか)れば則ち屢に中(あ)たる、と。(「先進第十一」18)

 孔子の弟子たちの性格とそれぞれの持ち味を示しているといいます。

 柴(高柴)君は愚直、参(曾参)君は重厚、師(子張)君は習熟。由(子路)君は強気と言い、孔子はこう続けた。「回(顔淵)君こそ、私のありかたに近いぞ、毎(つね)に心空しの状態となる。賜(子貢)君は天命を待ち受けず、自力で財産を増やす。考えて発言するが、いつも正確である」と、孔子が述べたそうです。

dsupplying.hatenadiary.jp

  特筆すべきは、顔淵。他の弟子たちが持ち味を有しているのに、その特色を「空」とし、虚心(=わだかまりを持たない心。先入観を持たない、すなおな態度)であるといいます。

 一方、秀才子貢は的確な判断が下せ、間違いも少なく、なお貨殖の才にも長けていたといいます。ここにある色を一人の人間として持ち得ればいいのかもしれませんが、それもまた無理ということなのでしょう。

 国にもまた、それぞれに特色があり、国際情勢や物価、国の成長に対する対応が異なるのでしょうか。日本が顔淵のように虚心であってなおかつ穏やかであれば、それはそれでいいのかもしれませんが、内実はそうではないように思えます。子貢でありたいと願いはするが、的確な情勢分析と判断に弱さがあるのでしょうか。

 

 

 愛知県豊田市を流れる矢作川の取水施設「明治用水頭首工」付近で大規模漏水が起こり、周辺のトヨタなど自動車関連の工場に影響が出たといいます。

明治用水で漏水 水事業の重み忘れるな:中日新聞Web

 この設備を所管するのは、農水省東海農政局。老朽化設備であることを認識しつつも、対応が後手後手だったようです。現代日本の縮図のような出来事に感じてしまいます。「砂上の楼閣」、見かけはりっぱのようであるが、基礎がしっかりしていないために長く維持できない物事のたとえ。基礎、基本を大切にできなければ、立派なことなどできようはずがありません。

 孔子の弟子「顔淵」のように心を「空」にし、修養を積まないと、再興はありえないのかもしれません。