「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【論 篤なるのみに是れ与せば、君子者か、色荘者か】 Vol.275

 

子張(しちょう)善人の道を問う。子曰わく、迹(あと)を践(ふ)まず、亦(また)室(しつ)に入らず、と。子曰わく、論(ろん)篤(とく)なるのみに是れ与(くみ)せば、君子者(くんししゃ)か、色荘者(しきそうしゃ)か、と。(「先進第十一」19)

 

  (解説)

子張が善人の進む道とは何かと尋ねたところ、孔子はこう答えた。「善人は、聖人の歩んだ迹(道)を学習しないで人生を歩むため、ここぞという妙処を知らないままなる」と。さらにこう言った。「意見が立派だからというだけで、その人物を信用するならば、本物の教養人なのかな。見かけだけの者かな」と。論語 加地伸行

  

 「善人」とは、自分が生まれたときからの人柄のままに進み、世に在って人として間違いは冒さない。「聖人」と違い、本物ではないと加地はいう。凡人ということであろうか。

 「色荘」の「色」は顔つき、「荘」はおごそか。見かけだけの君子というところであろうか。

 

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「子張」、姓は顓孫、名は師、字名が子張。陳の人で、孔子晩年の弟子。もっと若く秀才といわれる。「礼」の専門家。

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 子張は「色荘者」だったのだろうか。


 

 

 子夏と議論したときは、子夏の激しい調子を批判し、孔子のゆったりと相手の意見を聞く態度を学んでいないといい、さらに、小人の議論は、自分の意見だけが正しいと言い張り、目を怒らせ、腕をむき出しにし、早口で口から涎(よだれ)がたれ、目が赤くなり、勝を得ると喜びまわる等々と言ったという。  

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 人となり才が高く、意が広く、人の感情などに拘らないところがあったという。孔門十哲に含まれていないが、子路、子貢に次いで登場回数が多く、それだけ影響力もあったのだろうか。

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史記」に、「師や僻なり」とあるように、時として正統を離れる異説を好んだようであると、「子張」を桑原はそういう人物であったとみる。

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 「関連文書」

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(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫