「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

批判される万博の巨大リング、いつまでも変わらない言説、日本は老いて朽ちゆくだけ

 疲弊するミドル、制度的疲労、陳腐化しても刷新できないシステム、そんな言葉を度々聞くようになりました。日本が老いて朽ちゆくかのようです。変化を拒んできたからなのでしょうか。

 空き家の放置が目立ち、インフラは老朽化し維持さえ難しくなっているそうです。交通インフラにおいても同様のようで、人手不足などによって公共交通が縮小せざるを得ない状況といいます。日本の老朽化が深刻化を増しています。政府がところかまわずに色々と指図するものですから、手が回らずにこうした問題がおざなりになってしまうのでしょか。

 

 

「清く、正しく、美しく」、宝塚歌劇団の徒弟制度が問題視されています。芸能の世界における厳しい上下関係、それに基づく指導が問題の根底にあるのではないかとの意見があります。こうした古き慣習は何も芸能だけではないような気もします。

 一方で、元メジャーリーガーでマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏は、厳しさがなくなった高校野球の指導に疑問を投げかけたようです。

イチロー氏 「指導する側が厳しくできない」時代の流れ 「酷だけれど…自分たちで厳しくするしか」― スポニチ Sponichi Annex 野球

 北海道の旭川東高校で、野球部の選手指導を行った時の出来事だったといいます。学生野球を取り巻く指導の環境について語り、「高校生で自分を導くのは難しい。でも、結局自分しかいなくなっちゃう。だってそういう存在いないでしょ。ということは自分に厳しくせざるをえない。自分を高めていこうと思ったら」と話したそうです。

導いてくれる人がいないと楽な方に行くでしょ。自分 に甘えが出て、結局苦労するのは自分。厳しくできる人間と自分に甘い人間、どんどん差が出てくる。厳しくできる人間はどんどん求めていくわけだから。うまくなったり強くなったりできる。求めてくる人に対しては求められる側もそれはできる。でも求めてくれなかったらできないから。でも自分を甘やかすことはいくらでも今できちゃう。そうなってほしくない。いずれ苦しむ日が来るから。大人になって、社会に出てからも必ず来る。できるだけ自分を律して厳しくする。(出所:スポニチ Sponichi Annex

 大人が勝手に作ったルールに「問い」をたて、疑問を投げかけ、みなに考えて欲しいと願ったのでしょうか。いろいろな意見が生まれれば、その相違を乗り越えるために互いが歩み寄ることで、みんなで協力して物事をよりよい方向に変えることができるからと言いたかったのでしょうか。

 

 

本当はこれ言いたいけどやめとこうかなってあるでしょ。でも、信頼関係が築けていたらできる。おまえそれ違うだろって。いいことはもちろん褒める。でも、そうじゃない。言わなきゃいけないことは同級生・先輩・後輩あるけど…1年から2年に言ったっていいよ今は、大丈夫。そういう関係が築けたらチームや組織は絶対強くなりますよ。でもそれを遠慮して、みんなとうまく仲良くやる、ではいずれ壁が来ると思う。(出所:スポニチ Sponichi Annex

万博の巨大リング問題

 大阪・関西万博の象徴となる木造の巨大屋根「リング」に、「世界一高い日傘だ」など批判が相次いでいます。完成すれば世界最大級の木造建築物になるそうですが、その建設に350億円かかるといいます。また終了すれば撤去される、批判もこのご時世を反映したものでしょう。

【1ページ目】橋下徹氏 約350億円〝万博リング〟の必要性を豪語「賃金アップの具体的政策がこれ」 | 東スポWEB

 万博推進派だった元政治家が言い訳を展開し、「今、反対してる人、名前全部リストアップしてるから」と反論したようです。こんなことを今までも何度も見てきたような気がします。こうした態度、言動が建設的な話し合いの機会を奪い、一方的に「この方がいい」と断定して、偏ったルールを押し付けるようなことになるのかもしれません。

論語に学ぶ

故(ふる)きを温めて新しきを知る、以って師と為るべし。(「為政第二」11)

 伝統を墨守するのではなく、永遠の真理の今日的意味をさぐる、こうした知的訓練を重ねることによってのみ、目前の複雑で混沌とした、しかし、私たちにとっても切実な現実を鋭くまた筋道をたててとらえることができる。また、こうした態度を持つ者が、人を教える師となることができると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 

 

「不易流行」と松尾芭蕉は言いました。同じような意味といわれます。

「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」。 「不易」は、世の中が変わっても変わらないもの、変えてはいけないもの、「流行」とは世の中の変化とともに変わっていくもの。いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものを取り入れていくこと。つまり、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質と意味します。

 いつまでもルールを固守して変えることを拒むのでなく、その時代に合わせて規範を見直し、アップデートし続けなければならないということなのかもしれません。この作業がおろそかになり、またそのための議論も不十分なような気がします。

 協力して世の中をよくしていくために、「問い」を立て、意見を持ち、それを交換することが、大切といいます。「どうせ変わらないだろう」とみんながあきらめていたことも、これによって変える力になっていくそうです。

 

「参考文書」

宝塚歌劇団問題 再調査なければ改善できぬ | 中国新聞デジタル

大阪万博「リング」に批判噴出 350億円「世界一高い日傘」 | 共同通信