時代は前に進み、世の中には便利があふれるようなりましたが、人間社会はあまり進歩していないといいます。
人間はもっと自立して、生きるために必要なものを求めて競争することもなくなる。生活はシンプルになり、誰もが高い徳を持つようになる――祖先がそう考えたのにもかかわらず、(当時の)現代人は自分の境遇に不満を覚え、物質的要求に振り回され、未来への不安にとらわれている。情報があふれているにもかかわらず、真実を知ることが難しくなっている。(出所:日経BOOKプラス)
100年以上前、『 簡素な生き方 』を著したシャルル・ヴァグネルは、こう問題意識を提起したそうです。
楠木建 100年以上前の「簡素な生き方」が現代でも生きる | 日経BOOKプラス
「人間社会の本質が当時とまったく変わっていない」、と楠木健氏はいい、現代においてもヴァグネルの言葉は通用するといいます。
著者が批判するのは、おカネそのものではなく、カネ儲(もう)けに毒された精神です。「おカネがあればなんでも手に入る」という前提で、「これでどれぐらい儲かるだろう」を基準に仕事をする。この2つの行動原理が世の中をおぞましいものにする――。(出所:日経BOOKプラス)
与党自民党の裏金問題、政権中枢を担ってきた派閥が集団となって悪行を働いていたようです。おぞましいほどの政治の腐敗です。
「政治資金パーティ」、パー券販売を通して、企業や社会を巻き込んだといってもよさそうです。世の中が混乱するのも、このためなのでしょうか。
強制捜査が入った二階派の議員が法相を務めています。これに対し、記者からは「出身派閥が強制捜査を受けていることで法務大臣の職務遂行の支障にならないのか」「捜査の厳正さが担保されていると考えるか」との声が上がっているといいます。
【詳報】裏金問題の捜索5時間、「政権危機」公明も危ぶむ 物価高に苦しむ有権者は「うんざり」「議員は裏ばっかり」:東京新聞 TOKYO Web
同じく二階派に所属する議員が万博担当相を務めています。担当相は記者会見で、大阪・関西万博の費用の全体像を明らかにし、関連するインフラ整備費は約9.7兆円に上り、うち万博会場に直接関係するものは計8390億円と説明したそうです。
大阪・関西万博、インフラ整備費9.7兆円 政府が全体像示す | 毎日新聞
これらと別に会場建設費など万博に直接資する国費負担は計1647億円で、さらに来年度以降、機運を高めるためのイベント費用なども加わる見通しといいます。
なんだかもの凄いことになってきています。
企業の不祥事も相変わらずのようです。損害保険大手4社が企業向け保険などでカルテルを行っていたとし、公正取引委員会が立ち入り検査を行ったといいます。
自動車では、ダイハツが品質問題で、生産停止する車種が拡大しているそうです。石油元売り大手のENEOSホールディングスでは社長が解任されました。女性への不適切行為が理由で、経営トップが2代連続で同じ問題で辞任する事態となっています。
おぞましい世の中です。いつになったら、この状況から抜け出ることができるのでしょうか。
論語に学ぶ
君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る。(「里仁第四」16)
君子 教養人は物事に対処するにあたって、まずそれが義であるかどうかを考えるが、小人はそれが利益につながるかどうかを考えると、孔子はいいました。
教養を高め、人格を磨く学びが求められていそうです。
「参考文書」
会場建設などに国費1647億円 インフラ整備8390億円―万博費用の「全体像」初公表・政府:時事ドットコム
損保カルテルで立ち入り検査 大手4社に課徴金命令視野―都向け契約など範囲拡大・公取委:時事ドットコム
ENEOSHD、斉藤猛社長を解任 2代連続で不適切行為 - 日本経済新聞
英紙の皮肉「大阪万博の混乱はドキュメンタリー番組の最高のネタだ」 | この時代に万博を開催する意味はあるのか | クーリエ・ジャポン