実質賃金が18カ月連続で前年を下回ったそうです。9月は前年同月比2.4%減だったといいます。名目賃金の増加は継続しているものの、賃金の伸びが物価高に追いつかない状況が続いているそうです。
9月の実質賃金2.4%減、18カ月連続マイナス-物価高に追いつかず - Bloomberg
実質賃金の算出に用いる持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は9月に3.6%と高い伸びを維持。足元は中東情勢の緊迫化で原油価格が高止まりしている上、円安基調も続き、コスト上昇圧力が再び強まりつつある。(出所:ブルームバーグ)
これに対して、名目賃金に相当する1人当たりの現金給与総額は1.2%増の27万9304円だったといいます。これでは生活実感が改善しそうにありません。
掛け声
首相は「私が先頭に立って賃上げを働きかけていく」と述べているそうです。「政労使会議」を月内に開催、経済界や労働界と連携強化を図って、賃上げ実現を図りたいようです。
岸田首相 持続的賃上げへ「政労使会議」11月中にも開催で調整 | NHK | 春闘
お願いベースで、みなが期待する物価高騰を上回る持続的賃上げは実現するのでしょうか。専門家の多くは、賃上げの継続を予測しているものの、物価の伸びを超えていくことには懐疑的な見方をしているようです。
成長と分配の好循環「新しい資本主義」は実現するのでしょうか。掛け声ばかりで実現はあろうはずもありません。
論語に学ぶ
道同じからざれば、相(あい)為に謀(はか)らず。(「衛霊公第十五」40)
進む道が同じでないならば、互いに心を割って話し合うことはしないと意味します。
大阪・関西万博の会場建設費が500億円ほど上積みされました。コスト抑制することもなく国は満額回答したといいます。
額の過多は別にして、首相や閣僚など国家公務員特別職の賃上げがこのままでいけば実現しそうです。
一方、賃上げはどうでしょうか。「異口同音」、政労使みなで賃上げといっているのですから、容易に目標を達成できそうなのものです。しかし、なぜか結果が伴ないません。上辺では連携、協力なのでしょうが、内実、動機は異なり、「何のため」が真に共有されていることもないのでしょう。
税金のムダ遣い
会計検査院が総額約580億2千万円の税金のムダ遣いがあったと2022年度決算検査報告で明らかにしたといいます。金額、件数とも前年度を上回ったそうです。
税の無駄など580億円 指摘件数、金額とも増加―22年度決算報告・検査院:時事ドットコム
この他にも、「ゼロゼロ融資」の多額の焦げ付き問題や、ガソリン価格の全数調査についての問題、農水省においては東京オリパラの選手村への豚肉納入で架空の契約書を作成していたことを指摘しているといいます。
この報告書は岸田首相に提出されたそうです。首相はどんな対策、改善を実行してくれるのでしょうか。ここぞというときに聞く力を発揮してもらいたいものです。
生活実感が改善するまでにはとてつもなく長い時間を要しそうです。
「参考文書」
農水省、一部が架空の契約書を作成 オリ・パラ選手村への豚肉納入 | 毎日新聞
ガソリン価格の全数調査、会計検査院が「抽出調査と結果が同じ」と指摘…エネルギー庁が62億円で博報堂に委託 : 読売新聞
コロナ対策のゼロゼロ融資、1兆円が回収不能・困難 検査院が指摘:朝日新聞デジタル